仔鹿物語(1946)
劇場公開日:1949年6月14日
解説
ピュリッアー賞を得たマージョリー・キナン・ローリングスの小説を映画化したもので「キューリー夫人」のポール・オスボーンが脚色し、「愛の調べ」「町の人気者」のクラレンス・ブラウンが監督にあたった1947年作品のテクニカラー色彩映画である。主演は「王国の鍵」「パラダイン事件」のグレゴリー・ペック「失われた週末」「高原児」のジェーン・ワイマン、初出演の少年俳優クロード・ジャーマン・ジュニアで「ブーム・タウン」のチル・ウィルスス、「旋風大尉」のクレム・ピヴァンス、「心の旅路」のマーガレット・ウイチャリー、「ミニヴァー夫人」のヘンリー・テラヴァーす、「明日への戦い」のフォレスト・タッカーその他が助演している。「男は神に非ず」のチャールズ・ロシャー、レナード・スミス及びアーサー・E・アーリングが撮影を監督し、音楽は故ハーバート・ストザートが作曲した。なお色彩撮影賞、子役演技賞のオスカーを与えられた。
1946年製作/アメリカ
原題または英題:The Yearling
劇場公開日:1949年6月14日
ストーリー
フロリダが北部のやぶ地帯の空地にバクスター一家は自然と戦いながら農作をしている。父親のペニイはやせて背の高い男で未開の原野を開墾し、家畜を育て、家畜荒らしに来る野獣を退治するのが仕事である。母はブロンドの小柄な女であるが1日中、台所仕事に追われ、遊び盛りの11歳の息子ジョディーを小うるさく叱るか根はやさしい働き者だ。ある朝、家畜荒らしの大熊の足跡をたよりに、ペニイとジョディーは3頭の犬を連れてでかけた。運悪くペニイの猟銃は爆発したので熊を逃がし、かえって犬を犠牲にしてしまう。鉄砲なしでは危険なのでペニイは隣人フォレスターを訪ねる。フォレスター一家は父と母のほかに大男の息子達アーチ、ミルホイール、ギャピイ、バック、レムの5人と背骨の曲がった末子がいる。ペニイは連れて行った猟犬とレムの最上の銃とを交換する。レムはその小犬が大きなクマ犬の子だと信じこんだのである。その後ペニイは作物を売りにヴォルージアへ出掛ける。お共をしたジョディーは彼が崇拝するオリヴァーが旅から帰って、恋人のツウィンクと結婚すると聞いて喜ぶ。ツウィンクにはレムもほれていて、オリヴァーがレム達と会うと大喧嘩となり、ペニイ親子もオリヴァーの見方をして戦った。このため両家は不和となり、バクスターの豚が盗まれたのもフォレターの仕業だと考え、ペニイは取り返しに出掛ける。その途中ペニイは大毒蛇に足をかまれ、シカを射殺してその肝臓と心臓とで毒を吸いとる。殺されたシカの仔ジカは森の中で鳴いていた。ペニイは死にひんしたが助かる。それはシカのおかげだから、といってジョディーは仔ジカにフラッグと命名し、楽しい毎日を遊んで暮す。ところがある朝、トウモロコシの若苗が根元まで食い荒らされていた。母に叱られたジョディーはさくをこしらえる。しかしフラッグは一跳びに越えてトウモロコシを食べる。さらに煙草の若苗も食い荒らしたので、ジョディーはフラッグを殺せと命名される。悲しんだ少年は仔ジカを森の中に追い込んだが、翌朝フラッグはもどってきた。母が仔ジカを射ったが、仔ジカは重傷を受けただけだった。苦しむフラッグを見るにしのびず少年は仔ジカを射殺した。その悲しみにたえずジョディーは家出し、ボートに乗って川を下った。餓死しかけたジョディーは船長ボイルに助けられた。程経で彼は心配している父母の許へ帰って来た。もはや少年ではなく、1人前の若者として。
スタッフ・キャスト
- 監督
- クラレンス・ブラウン
- 脚色
- ポール・オズボーン
- 原作
- マージョリー・キーナン・ローリングス
- 製作
- シドニー・フランクリン
- 撮影
- チャールズ・ロシャー
- レナード・スミス
- アーサー・E・アーリング
- 編集
- ハロルド・F・クレス
- 作曲
- ハーバート・ストサート
受賞歴
第19回 アカデミー賞(1947年)
受賞
撮影賞(カラー) | チャールズ・ロシャー レナード・スミス アーサー・E・アーリング |
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美術賞(カラー) |
ノミネート
作品賞 | |
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監督賞 | クラレンス・ブラウン |
男優賞 | グレゴリー・ペック |
女優賞 | ジェーン・ワイマン |
編集賞 | ハロルド・クレス |
第4回 ゴールデングローブ賞(1947年)
受賞
主演男優賞 | グレゴリー・ペック |
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