恐怖城

解説

ヴィクター・ホルベリンが監督し、エドワード・ホルベリンが製作したホルベリン 作品で、ギャレット・ウェストンが原作脚色し、アーサー・マーティネリが撮影に当たったもの。主演するは「魔人ドラキュラ」「黒い駱駝」のベラ・ルゴシで、「地の極みまで」「電話姫」のマッジ・ベラミー、「盛り場の大蜘蛛」のジョン・ハロン、ジョセフ・カウソーン、ロバート・フレイザー、ブランドン・ハースト等が助演している。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:White Zombie

ストーリー

いつも恐ろしい伝説と奇怪な迷信に包まれている西インド・ハイチの島に起こった物語である。この島にゾンビイと呼ぶ1人の殺人鬼が住んでいると言い伝えられている。彼は夜中、墓地を襲い死骸を盗み出し、魂なき肉骸を妖術によって思う侭に繰り、ありとあらゆる悪事を犯していると言うのである。原住民たちはゾンビイの名を聞くことさえ恐れ戦いた。ニューヨークの娘マデラインは許婚ニイルの勤めの関係でこの土地へやってきた。船中で知り合ったボーモンの親切な言葉にすすめられて彼の邸宅に滞在し、そこでニイルとの結婚式を挙げようと暗い夜道に馬車を走らせるのであった。暗い暗い闇の彼方に6人の死人を伴ったゾンビイの恐ろしい眼が光っていた。ボーモンの親切には深い企みがあった。彼は一目見たマデラインに横恋慕しニイルの手から彼女を奪うために、世にも陰険な手段を取ったのである。すなわちゾンビイの妖術によることであった。結婚式の夜花嫁マデラインは奇怪にも死んだ。愛する者に先立たれたニイルは身も心もなく悲しみ酒に溺れ切った。しかしその頃ゾンビイたちはボーモンと共に墓地に姿を現しマデラインを何処ともなく運び去った。この島に30年間住み、原住民等の迷信を研究しているブルナー博士はこの奇怪な事件を島民が恐れる殺人鬼の仕業とにらみ、失意の極にあるニイルを励まし、殺人鬼の住居と目される絶壁の古城に向かった。それは禿鷹の群がる恐ろしい場所であった。今は殺人鬼のために生ける骸に失望を感じ、良心に責められ殺人鬼に向って彼女の魂を取戻すべく頼んだ。それは却って殺人鬼の怒りを招き、ボーモンは遂に殺人鬼のために命を奪われる破目になった。殺人鬼の悪業が絶頂に達し多くの人の命を奪われて行く時、彼の妖術を見破ったブルナー博士は科学の力によって、彼に対抗した。遂に殺人鬼は自らの操った死人等と共に絶壁から墜落して了ったが、彼の自滅によってマデラインは意識を取戻し、ニイルの手に抱かれたのである。

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映画レビュー

5.0ほんとにほんとに最初のゾンビ

2024年4月29日
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鑑賞方法:その他

泣ける

悲しい

怖い

私、とんでもない失態を晒してしまいました。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」がゾンビ映画の始祖なんて言っちゃいましたがもっと古いのありましたね…。ちゃんと自分で調べなきゃだめね…(泣)

さて、映画史において最初にゾンビが登場したのが本作「恐怖城」。原題「White Zombie」。なんと1932年の作品とのこと。
「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は現代ゾンビ映画のテンプレを確立させた作品で、「恐怖城」は映画界にゾンビを初登場させた作品。…って誰かが言ってました(保険)。

その内容たるやいかに!
この作品に出てくるゾンビは死んでから蘇るのではなく、仮死状態にされた人間のようです。虚ろな目、ノソノソと覇気のない動き、自我は無く、ゾンビマスターに操られる存在です。
ゾンビマスター!
そう、現代ゾンビ映画に多い感染系のゾンビと根本的に違うのはここですね。
そしてこのゾンビ達はソンビマスターが命令しない限り人を襲ったりしません。普段は工場で働いています。文句を言わず、24時間ぶっ通しで働いてくれる完全無欠の労働マシーンです。

このゾンビマスターをかの名優ベラ・ルゴシが演じているのですが、素晴らしいインパクトを見る者に与えてくれます。この少し大袈裟かな?と思える演技は好き嫌いが別れるかも知れませんが、私は好きです。

ストーリーは意外な愛憎劇。ゾンビ化されたヒロインをめぐる愛と悲しみのストーリーは涙無しには観れません。人間対ゾンビの大殺戮ショーを期待していた私は意表を突かれ涙腺崩壊。

若干前に出過ぎな気がする音楽が素晴らしい!いや、この塩梅がいいのだろう。クラシカルな弦楽による演奏が各場面を彩ります。

ゾンビの怖さというより、ゾンビ化されることの悲しさが強調されていたかと思います。労働ゾンビはさながら日本社会を支えている社畜サラリーマンのようでもあります。(失礼…)

ベラ・ルゴシの名演、非常に濃いストーリー、何よりゾンビ映画はここから始まった!多分!(笑)
文句なしの名作でした!

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吹雪まんじゅう