ウォール街の狼
解説
「ニューヨークの波止場」に次ぐジョージ・バンクロフト氏主演映画で、「試験結婚」「モダン十戒」等を脚色したドリス・アンダーソン女史が執筆した台本により「希望の船」「三罪人」「女優情史」のロウランド・ヴィー・リー氏が監督した。助演者は「ニューヨークの波止場」「忘れられた顔(1928)」のオルガ・バクラノヴァ嬢、「アビーの白薔薇」「マンハッタン・カクテル」のナンシー・キャロル嬢、「マンハッタン・カクテル」「スペインの花」のポール・ルーカス氏等で、ブランドン・ハースト氏、アーサー・ランキン氏等も出演している。、カメラマンは「父と子」「女優情史」等のヴィクター・ミルナー氏。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Wolf of Wall Street
ストーリー
ニューヨーク株式取り引き所にジム・ブラッドフォードという豪快な相場師がいた。彼は向こう意気が強くてがむしゃらな男だったので「ウォール街の狼」と呼ばれていたが、彼は元来頭は良い方で才智縦横の男であった。彼は無教養でその言語動作は粗暴だったが相場の馳引きは実に堂に入ったもので決して大損をしたことはかつてなかった。このジムを中心にしてタクラーやロビンスなどという五、六名の仲間がそれぞれ金を出してロッキー・マウンテン銅株を買った。ところがその株は下がる一方なのでロビンスなどは気をもんで売りに出そうと主張したが、ジムは彼らに耳をかさず、却って買い方にまわった。しかしそれには金が足りないというので以前共同出資者だったスターゲスの後援を求めることとなった。がスターゲスはジムを嫌って承知をしないので、ジムの苦肉の策を用いてスターゲスの抱込みに成功した。かくてジムは安値のロッキー・マウンテン銅株を買込んで、1週間かかって銅株騰貴すべしという記事を新聞に書かせ頃合いを見て一挙に株を手放した。これで彼らは1億ドルからの儲けをしたのだったが、狼のジムは満足せず、この株の暴落を見越して今度は空株を売り、瓦落に乗じてうもう一儲けしようと考えた。この企てを気付いた実株を買込んでいる強気筋はジムの裏を掻こうと待構えた。それで危険を感じて仲間は手を引き、ジムとタイラーの2人だけとなった。ところがジムは彼が愛しているオルガが近頃タイラーと情を通じていることを知ったので、タイラーを破産させて復讐しようと決心し、売るべからざる時に売りに出て故意に強気筋の思う壺に陥り、自分も破産すると共にタイラーを無一文にして了った。かくて狼のジムは無一文になったが楽天家の彼はまたヤマを張っで賭けるつもりなのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ローランド・V・リー
- 脚本
- ドリス・アンダーソン
- 原作
- ドリス・アンダーソン
- 撮影
- ビクター・ミルナー
- 題字
- ジュリアン・ジョンソン