アルトナ

劇場公開日:

解説

フランスの実存主義者ジャン=ポール・サルトルの舞台劇『アルトナの幽閉者』を「ニュールンベルグ裁判」のアビー・マンが脚色、「自転車泥棒」、「ふたりの女」のヴィットリオ・デ・シーカが監督した極限まで人間性を追求した心理ドラマ。主演は「ふたりの女」のソフィア・ローレン、「ニュールンベルグ裁判」のマクシミリアン・シェル、フレドリック・マーチ、ロバート・ワグナー、フランソワーズ・プレヴォーが脇を固めている。製作はソフィア・ローレンの夫で「ふたりの女」のカルロ・ポンティ。

1963年製作/アメリカ
原題または英題:The Condemned of Altona
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1966年9月20日

ストーリー

戦後、急速に復興し、繁栄するドイツ。戦前戦後を通じドイツ造船界を支配するゲルラック(フレドリック・マーチ)は、医師に喉頭ガンで余命いくばくもないと宣告された。そこで、自分の後継者にと2男の弁護士ベルナー(ロバート・ワグナー)を、アルトナの自邸へ呼び寄せた。ベルナーは妻で女優のヨハンナ(ソフィア・ローレン)を伴い父親を訪ねたが、何故か父親の申し出を断る。アルトナでの最初の夜、ヨハンナは邸の中のどこからか聞こえてくる異様な物音に目を覚まされた。物音の主は意外にも、夫からずっと以前に死亡したと聞かされていた長兄のフランツ(マクシミリアン・シェル)だった。ヨハンナがフランツの部屋でみたものは、くたびれたナチ将校の軍服に身を固めたフランツと、ヒトラーを始めナチの写真や絵で埋った乱脈極まりない装飾であった。そんなフランツを、妹のレニー(フランソワーズ・プレヴォー)が甲斐がいしく世話していた。フランツに異常な興味を覚えたヨハンナは、毎夜強引に彼の部屋に入りこみ接近するのだった。次第に彼の秘密が解けていく。戦時中、ゲルラック邸がナチの捕虜収容所になっていたことや、フランツが保護しようとかくまったユダヤ人僧侶を父親がナチに手渡してしまい、それ以来フランツの頭がおかしくなったこと。ヨハンナの温かい励ましに、フランツは正気をとり戻していく。そしてベルナー夫妻がアルトナを去る日が訪れた。ベルナーが次期社長を受け継いだからだ。最後の夜、フランツはヨハンナに彼が犯した罪の告白をした。それは2人のロシア人を助けるため、部下の500人を犠牲にしてしまったというのだった。これに対してレニーは手厳しく彼を責めたてた。フランツは耐え切れずに、戦争中幾度も人を拷問にかけ情容赦もなくそれらの人々を殺したことを告白した。…心の晴れやらぬフランツはゲルラックに伴われ、造船所へ出かける。父はフランツに、すべては悲観するにあたらぬ、フランツが行ったことも、ゲルラックが築いた力も、すべては今日のドイツの繁栄をもたらすための方便であったのだ、と説いた。ここにおいて、フランツは初めて自分と父親が犯した罪の深いことを知り、造船場の高い足場から父親を道連れに、飛び降りて自殺した。

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