愛と死のエルサレム
劇場公開日:1972年9月2日
解説
イスラエルを背景に、パレスチナ解放運動に飛び込んだアメリカの一青年の愛と行動を描く。製作はラム・ベン・エフレイム、監督はジョン・フリン、脚本はトロイ・ケネディ・マーティン、撮影はラウール・クタール、音楽はジョン・スコット、編集はノーマン・ウォンストールが各々担当。出演はブルース・デイヴィソン、ニコル・ウィリアムソン、ダリア・ハルプリン、ドナルド・プレザンス、イアン・ヘンドリーなど。
1972年製作/アメリカ
原題または英題:The Jerusalem File
配給:メトロ
劇場公開日:1972年9月2日
ストーリー
エルサレム大学で考古学を研究するアメリカ人学生デビッド(ブルース・デイヴィソン)は本国でのハーバート大学時代、イスラエルとアラブ双方の学生と友だちになった。彼は、近くアメリカに帰るので友人の1人アラブ・ゲリラグループのリーダー、ラシード(ジーブ・レバー)をアラビア人地区に訪ねた。その時、1台の車から、機関銃が発射された。2人は傷つき、デビッドは病院に運ばれ、テロリストたちを追求するイスラエルの憲兵サミュエルズ少佐(ドナルド・プレザンス)の監視下におかれた。少佐は彼にテロリストの確認をさせようとしたが、デビッドはそれを断わり、ラング教授(ニコル・ウィリアムソン)に助けを求めた。ラングは少佐の上司を動かしてデビッドを釈放させたが、少佐は彼のパスポートを保管して離国を不可能にした上、彼を監視した。デビッドの責任を負わされたラングはクーメランの古跡発掘に参加させ、勉強を続けるよう彼に勧めた。その発掘キャンプで、デビッドはイスラエル女子学生ニュリット(ダリア・ハルプリン)にひかれ、彼女がラングの愛人であることに心を痛めた。一方ニュリットも、デビッドのおかげで危うく死を免れたことから彼を愛するようになった。発掘場で知りあったイスラエル人過激派学生バラク(コーヤ・Y・ルビン)から、イスラエル・グループとアラブ・グループとの会合を実現するために力を貸してほしいと頼まれたデビッドは、百年戦争といわれている今の紛争を幾分でも短縮できるかも知れないという彼の真剣さに打たれて、お膳立てに乗りだした。デビッドは、彼が二重スパイとは知らず、古銭の店を営むアラビア人アルトゥリ(ジャック・コーエン)を通してラシードに接触しようと試みたことから、会合のことがラングに筒抜けになり、彼の教室から締めだされた。会合の計画が進み、デビッドは帰国を見あわせることにしたが、ニュリットとの愛が急速に深まるにつれ、この決心は強まっていった。一方、少佐はラシードが隠れていると睨んだ地区の手入れを行なった。ラシードはデビッドのアパートに逃げ込み、秘密の会合は急速に具体化した。当日、デビッドはあるカフェで会合の成功を祈っていたが、少佐に発見されてラングのところへ連行された。そして会合の場所や時間についてラングの激しい追求を受けたが、会合が終わるまで決して口を割るまいと決意した。一方、イスラエルとアラブを代表する双方の若者たちが、暗黒の砂漠の中に燃える1つの火を囲んでいた。コーヒーを飲みながら語り合うラシード、ニュリット、バラクの胸に明るい火がともっていた。数時間後、恐ろしいニュースが少佐によってデビッドにもたらされた。現地に駆けつけたデビッドは、砂漠の朝の光の中に、テロ団の手にかかった8つの死体を見いだして立ちすくんだ。彼の努力が若者たちの死に手を貸したに過ぎなかったことを思い、暗然とした。そして悲しみに打ち沈みながら、ニュリットのなきがらに別れを告げた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・フリン
- 脚本
- トロイ・ケネディ=マーティン
- 製作
- ラム・ベン・エフレイム
- 撮影
- ラウール・クタール
- 音楽
- ジョン・スコット
- 編集
- ノーマン・ワンストール
- 字幕
- 高瀬鎮夫