「宮部だってスーパーヒーローじゃないから」永遠の0 あっくんさんの映画レビュー(感想・評価)
宮部だってスーパーヒーローじゃないから
何か映画の主人公って首尾一貫していないと気が済まないとかスーパーヒーローのように間違った行動と取られるようなことはしてはならないと思っておられる方がかなりいるようで
レビューをみていると、前半の宮部に感情移入できないとか、前半と後半の宮部の姿が乖離し過ぎていて理解できないみたいな事を書かれている方がいらっしゃいますが、私はそうは思いませんでした
乱戦の中、宮部隊が上空に逃げていたというくだりがありますが
別に逃げていたわけではありません
敵一人を倒すために自分一人の命を捧げても全く意味がないんです
生き残る事で多くの敵を倒すことができる
だから、生き残る必要があるんです
簡単に命を投げ出すなと言ってるだけなんです
(この事は原作にも描かれていますが、そこを全て語る事が映画として正しい描き方だとは思えません。その間にあるものを考えるのが映画の在り方だと思います)
ただ、自分が生き残る事で味方が死ぬことも数多くある
その事も事実としてあるでしょう
同時に当時の軍隊では敵と刺し違える事が美徳とされている時代にはそのような考えは理解されなかったことでしょう
それでも宮部は生き残る事を選択している
妻と子に会うために…
しかし、戦況が悪化してくればそんな事は言っていられなくなる
終戦間際になれば自分が生き残るということは味方を死ぬことに直結してくる
その罪悪感に苛まれた姿が後半の宮部の姿なのではないのでしょうか?
数多くの戦友や後輩たちが命を落として行く中で自分だけが生き残っているという
そして、戦争が長引く事で帰るべき場所が遠くなってゆく
さらに死が近づいてくる
味方を犠牲にして生き残ってきた宮部が最後に大石に生きる事を託したのは、身を挺して命を救ってくれた彼に対する感謝
そして、自分にはない生きる力を彼に見たのではないでしょうか
そして、宮部は特攻をすることで我が家へと帰る事が出来たのです
その想いはそれまでに大東亜戦争で命を落とした兵士たちの想いと重なる
私はそう思いました