「タランティーノが描く西部劇の新境地はさしずめニョッキ・ウエスタン!」ジャンゴ 繋がれざる者 覆面A子さんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノが描く西部劇の新境地はさしずめニョッキ・ウエスタン!
ジャンゴ 繋がれざる者~を見てきました!
そのレビューを。
タランティーノ監督の作品を観ていると、
何故か三谷幸喜さんとかさねて観てしまう。
映画が好きで好きで、
恐らく彼は、たくさんたっくさん
マカロニ・ウエスタンを観ていて。
その豊富な知識を土台に
今回の作品では
過去の名作を力の限りオマージュしてる様に感じたり。
それがこうじて
少なからずもイタズラ心やらサービス精神やらが
働きすぎてしまい、
シリアスになりきれず、
見る人をくすりとさせてしまうあたり。
私だけかなぁ。
もちろん、その熱さは十分
役者さんたちにインスパイアされていて、
過激さの誘発というか、化学反応というか、
とにかくどの役者さんも力の限り熱演してる。
今回初の悪役を演じるレオナルド・ディカプリオの
憎らしくも溌剌奔放な極悪っぷりったら!
私にとっては一番好きなディカプリオの出演作になったくらいだ。
その嫌味なくらいの悪っぷりは
サミュエル・L・ジャクソンも負けておらず、
映画史上、最悪な黒人を、
こちらはなんともねぶるようにネチネチ丁寧に演じている。
本来サミュエル・L・ジャクソンは
ジャンゴの方を演じるはずだったらしいのに
彼が出てきたのは物語後半以降。
私が時計を見た限りにおいては、
ダイハード ラストデイ(上映時間98分だったか)なら
エンドテロップも終わってるかもな後半っぷりw
ちなみに、あの、ディカプリオも
話が始まってほぼ後半にさしかかるくらいに登場。
なんて贅沢な使い方!
ってことで、この映画。
正確には西部劇ではなく南北戦争が始まる前の南部劇。
復讐劇ではなくラブストーリーと異色に次ぐ異色で、
目を覆いたくなる壮絶なスプラッタシーンも(これも、恐らくタランティーノのサービス精神)
C・イーストウッドがこれを見たら、どう思うんだろうか?って気になるくらい。
ドイツ語も多く含まれているから
ドイツ=ジャガイモの要素を加味して
ニョッキ・ウエスタンって新境地でいいんでない?
感想としては、とにかく、ホントに楽しめましたよん。
ストーリー
南北戦争前の19世紀中期(1858年)
アメリカ南部を舞台に、農園の奴隷・ジャンゴ(Django・ジェイミー・フォックス)が賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手によって自由の身になる。
やがて彼らは協力しあい、ひと冬華々しいほどの賞金首狩りを成し遂げる。
しかしジャンゴの願いはお金以外の所に。
それは奴隷市場で離れ離れとなってしまった妻・ブルームヒルダを捜すこと。
ジャンゴの妻の名がたまたま
「ブルームヒルダ」という名前であったことから、ワーグナーの『ニーベルングの指環』における、勇者ジークフリートによるブルームヒルダ姫の救出劇を重ね見たキング・シュルツ。
彼はブルームヒルダが今は大農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の元にいることを突き止めジャンゴとともに、彼の妻を助ける作戦を考える。
愛する妻奪回のし烈な闘いを描くラスト30分の壮絶な展開は見もの!
ディカプリオは役に入り込むあまりに
クリスタル・グラスを割ってしまい、大流血。
しかし彼は役を崩さないどころか
鬼気迫る迫力とその大量に流れた血液をもって
アドリブまで効かせ、
そのまま狂気じみた農園主を演技し続けた。
このシーンは圧巻。
キング・シュルツ演じる
クリストフ・ヴァルツはこの作品で
アカデミー賞助演男優賞を受賞したらしいけど
個人的にはディカプリオも
ノミネートされても良いのでは?
と思える彼の体当たりの演技が見れますよん。