「家族の絆の本質を問いかけた傑作」そして父になる シュナイダーさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の絆の本質を問いかけた傑作
大事なのは、血なのか過ごした時間なのか。
論理的に考えれば勿論血なのでしょうが、人間の情に訴えかければそれは当然過ごした時間となる訳で・・・。
そんな普遍的なテーマを、是枝監督は一体どう描いたのか、期待して鑑賞しましたが・・・なるほど、そう来ましたか!
重きを置いたのは、どちらを選択するかではなく、タイトル通り「そして父になる」ことだったのですね。
主人公が、父親としても人間としても成長していく姿には、とにかく心震わされました!
是枝監督特有の子供達に自然な演技をさせる演出法と、主演に父親臭が全く漂わない福山雅治を起用したのが、実に面白い化学反応をみせた秀作でしたね。
福山雅治(野々宮良多)・・・人生の勝ち組、イケメン、エリート、傲慢な性格、見る者が嫌悪感を抱くにはこれ以上ない適役でした。
だからこそ、本当の父になっていく姿には心動かされましたね。
尾野真千子(みどり)・・・健気にエリート夫を支える姿が印象的な前半とは対照的に、後半は子供を思う強い女性へと大変貌を遂げました。
奥さんとしてもお母さんとしても女性としても、ほぼ完璧でしょう!しかも美しい・・・。
二宮慶多(慶多)・・・つぶらな瞳が印象的な可愛らしい少年でした。
何かと素直で優しくて我慢強い性格は、確かに良多とは間逆のタイプでしたね。
きっと親ならば、こんな子供が欲しいよね・・・と思わされること必至。
リリー・フランキー(斎木雄大)・・・金は無くとも、子供思いでとにかく底抜けに明るい父親でした。
見た目も性格も福山パパとは対照的な良い父親でしたが、妙にガサツな感じは私もちょっと苦手かも。
真木よう子(ゆかり)・・・まさに肝っ玉母さん。しかも美しい!
子供からしたら、絶対自慢の母親ですよね。こんな母さんの為ならば、何かと頑張れるような気がします(笑)
黄升げん(琉晴)・・・わんぱくだけど、弟妹思い。「何で?」が印象的な少年でした。明るい家庭に育ったら、きっとこんな感じで育つでしょう。 ただ、躾がなってないのはちょっと・・・って、子供はこれが普通か。
樹木希林(みどりの母)・・・安定のおばあちゃん演技。今回は、いつもより控えめな存在感でしたね。
夏八木勲、風吹ジュン(野々宮良輔、のぶ子)・・・良多の父親、義母と考えれば、完璧なるキャスティング、演技でしたね。さすがです。
中村ゆり(看護師)・・・美しすぎる犯罪者。希薄すぎる謝罪の意が、見る者を本当にイラっとさせました。 でも、美しいね。
慶多、琉晴が大人になった時、それぞれどんな思いが込み上げるのでしょうか・・・。