「徹底的に考え抜くこと。」そして父になる bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
徹底的に考え抜くこと。
今は亡き、ギリシアの映画監督、テオ・アンゲロプロスが、いい映画を作るにはどうしたらいいか、との問いに、「徹底的に考え抜くことだ」と云い切っています。この映画を観終わってから、このことばを思い出しました。
突然、現れる、裁判の場面がありました。そのなかで、女性看護師が妬みから、わざと子供を交換したと告白しています。エリートサラリーマンの福山雅治の幸せそうな家庭を妬んだらしいのですが、いかんせん、唐突すぎます。もう一方の被害者であったリリー・フランキーに対して、この看護師がどのような気持ちを持っていたのかは一切、語られていませんでした。それから、尾野真千子の出身地が群馬県でリリー・フランキー一家も群馬在住ということでしたが、リリー・フランキ―一家のことばには、どこか関西弁の匂いがしました。リリー・フランキーも真木よう子も関西出身で途中から群馬に移住したのでしょうか。よく判りません。最後になって、福山雅治が息子が撮っていた写真を見て、涙し、腹を固める場面がありますが、あれしきのことで、一度、決めたことが根本から崩れるのでしょうか。私には疑問です。また、リリー・フランキ―が育てた子供が事あるごとに「オ―・マイ・ガ―」(oh my God と云う事なのでしょう)を連発していましたが、今の日本でそんなことを云う子供はまず、いないでしょう。インターナショナルスクールにでも行っている設定だったのでしょうか。大きな違和感を感じました。
テーマ、役者と、いい素材がそろっていただけに、散見される破綻した箇所には失望しました。前述のように脚本にかなりの難があるのです。詰めが甘いのです。そうは云っても、一見の価値はある映画です。これから、観に行こうと考えている方は、全国共通鑑賞券1300円をお求めになってから行かれた方が良いかと思われます。当日券1700円では、ちょっと高いかな。
私自身のコメントにも入れましたが、やはりあの裁判シーンは絶対おかしいですよね。
写真についてもほぼ同感ですが、そのへんは実際の当事者になってみないとわからない心理なのかもしれません。
ただ「オーマイガー」については、ややスノビッシュにいえば、「育ちの悪いガキがたまたまなにかで覚えたフレーズを連呼しているだけ」のような感じで特に違和感は覚えませんでした。
全体としては同じような印象を受けたように思われますがいかがでしょう。