「シュールな笑いとノスタルジア」横道世之介 タブローさんの映画レビュー(感想・評価)
シュールな笑いとノスタルジア
大学最後の年に公開されて劇場へ観に行った映画。
劇場で観た当時よりも、今観た方が心に響いた。
主人公の横道世之介がシュールなキャラクターなので笑えるシーンは多いが、基本的には淡々とした日常系映画である。
この主人公のキャラクターがどこまで好きかによって映画の評価が別れそうだが、私は友達になりたいと思ったので良い映画に感じた。
作品全体に溢れる少し長回しぎみの映像には、10代後半から20代前半の頃の日常で流れていたあの時間が確かに存在している。
途中、主人公とヒロインが二人で名前を呼び捨てでずっと呼び合うシーンがある。このシーンはおそらく作中でもっとも笑えるシーンであり、劇場で観た当時も観客から笑い声が聞こえてきた懐かしい思い出がある。
しかしこのシーン、同室にいる家政婦は泣いているのだ。
これは公開当時は何も思わなかったが、ただ名前を呼び合うだけで幸せを感じる二人の若さと純情に昔を思い出して泣いていることが、久しぶりの鑑賞で身に染みるように理解できた。
コメントする