「曖昧さを楽しめれば…」プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
曖昧さを楽しめれば…
前作『ブルーバレンタイン』では壊れ行く夫婦の様子をまぁ見事に(恐いくらいに)描いてみせたデレク・シアンフランス監督の二作目ということで…。
宿命というか因果は巡るというか…。
本作を表現するならなんか曖昧な感じ。
ライアン・ゴズリング演じるルークは自業自得な感じだけど、親としての愛情はあった人だ。
一方のブラッドリー・クーパー演じるエイブリーはあの一件を思い悩みながらもそれによって出世していく。
その件を出世に利用するのは若干汚いやり方にも感じなくもないが、でもそれは彼の資質と言うか彼の選んだ生き方なんだから仕方がないし、全然アリだと思う。彼は職務を全うしただけで彼が悪いわけではないのだか、事件がトラウマになり思い悩んでしまう。
そのせいもあってエイブリーは一番大切な家族への愛情まで心が廻らなかったのかな…。なので息子がよくある感じで横道に逸れてしまう。そして因果は巡る…。
日本の時代劇や落語にありそうな仇討ちとか人情話にありそうな気もするが、本作はそのどちらでもなくやっぱり曖昧な感じで終わっていく。
その曖昧さをどうとるか?
その辺が本作評価の分かれ目ではないだろうか?
私はそれはそれでヨシとしましたが…。
物質的経済的には恵まれていても愛情不足で寂しさを抱えているブラッドリーの息子と、決して恵まれているわけではないが義父の愛情も受け、後には実父の愛情も知ることになるジェイソン、息子世代の人生ではどちらが幸せなのだろうか?考えてしまう…。
このあと彼がそれをどう克服していくのか、或いは父親と同じ道を歩んでしまうのか?その辺も曖昧で終わってるけど、バイクに乗って去って行った姿にルーク(父親)の愛を観た気がした。