「余韻が・・・」その夜の侍 moさんの映画レビュー(感想・評価)
余韻が・・・
見て、ああ。こんな終わり方なんだ。とストンと入ってくる方とピンとこなかった方といるみたいです。私は結末から、しばらく悶々と考えさせられました。
人の露骨な悪意に不快になった方もいらっしゃるみたいですが、私はあまり気にならなかったです・・・。むしろ悪意や汚い部分が作中でほんの少し垣間見ることができる平凡で他愛ない会話とか、思いやりとか、そういうもの引き立てていたように感じます。
復讐劇ですから殺意や悪意が中心にあるように見えて、実は何気ない思いやりや日常が大事なんだということを教えてくれる映画だったような気が私はしました。
中村は理不尽に妻を奪われて、なんとなく虚無感とぽっかり何かが無くなったような気持ちを埋めるために妻の生活の痕跡を消し去ることができなくて。このぽっかり胸に空いたなにかっていうのが何気ないけど幸せな中村の日常だったんじゃないかなあ。と。
それは木島を殺そうと決意をしてからもやっぱり心にいつもあったことなんだと思うんですよね。木島はなんとなく生きてる、と言われますが、なんとなく生きるっていうのと何気ない日常ってそれなりの努力をして手に入れる平和な生活と、なにもしないでただ過ぎて行く生活で似て非なるもので、ある意味で中村は木島に近い生活を妻を無くしてから続けてるとおもうんです。
でも、色々な人からの思いや言葉を受けてその中で少しずつ前を向こうともがき始めて、中村の目指すところは新しい、他愛ない平凡な生活なんだろうな、と思いました。
うまくまとまりませんでしたが、中村の心の動きだけでなく、特に山田孝之さん演じる木島も暴力的で熱しやすく冷めやすくまた空虚な良いキャラクターとして描かれています。
どんな方でも一度見てみてそれで気に食わなければ二度と見ない。もしそれで少しでも私のように心に響く方がいればなあと思います。