「その夜の二人」その夜の侍 KIKUCHIYOさんの映画レビュー(感想・評価)
その夜の二人
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ひき逃げ事件で、被害者と加害者になった二人の主人公の物語。加害者 山田孝之への被害者 堺雅人の復讐劇かと思いきや、そうではなかった。
堺雅人演じる健一は、亡くした妻の下着を持ち歩き、彼女の最後の伝言を消せずに、事件を引きずっている。一方、加害者木嶋は、釈放後、ダラダラと日々を送り、悪辣の限りを尽くす。二人の人間模様が、対比されながら、徐々にクライマックスを迎える。
しかし、タイトル「その夜の侍」に反して、復讐の夜にはならなかった。復讐は、本気ではなかったのかもしれない? 健一は、過去から決別し、新しい人生を歩みはじめた。妻の死から5年経っていた。一方、木嶋も復讐の夜を終えて、何かが変わった。クタクタになりながらも、夜の闇に消えて行く姿は、印象に残る。
果たし状のカウントダウンを軸に、主人公二人が、相対的な関係でストーリーを展開していく、戯曲的で非常に面白かった
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