ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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答えは一つではない
小学校1年生の息子と3Dで観劇した。
話のメインである海での漂流。
これは人生を表現してるのだなと思った。
そう考えると話が進むたびにパイが生活している、ボートから伸びる筏の居住性が良くなっていく様が可笑しい。
そして、自分にはどうしようもない大きな力によって、そこに蓄えた財産が一瞬で奪われてしまうことにも人生の無常、不条理を感じてしまう。
そしてパイが弱り切ったときに流れ着く浮島。
沢山のミーアキャットがいる。
これは主人公である他者から見た我々であり、私たち自身から見た他者なのかなと思った。
ミーアキャットの数匹は虎に食い殺されてしまう。無作為に。更にパイによっても虎の餌としてまた数匹殺される。
更に夜には足元の島は生き物を死に導く大地へと変わる。ミーアキャットに出来るのは木の上に逃げることのみ。
大勢の中で安心かと思いきや避けきれない不幸はいつも突然やってくることを示唆しているようだった。
最後にパイは今まで話してきたことを否定するような話を始める。
そして観客に投げかける。
どっちが事実だと思うか?と。
それは結局はっきりとは明かされないが、信じていたものが斯くも脆いことに観客自身が揺らされる。
最後に、正直小学校1年生の息子には内容はふんわりとしか伝わらなかったようだ。
だが、それを補って余りある映像美。
クジラのジャンプ。
トビウオの群れ。
パイに飛びかかる虎には実際に仰け反っていた。
観劇には3Dをお勧めする。
スタッフロールにまで3D映像が組み込まれているのは気が利いているなと思った。
綺麗で哲学的でドラッギー(゚∀゚)アヒャ
世界中で大ベストセラーになった小説『パイの物語』の映画化だけど、原作は全然知らなかった(;´∀`)
町山智浩さんがラジオで紹介してるのを聞いて、そして予告編を劇場で観て興味を持って観に行きましたε=ε=ε=┌(o゚ェ゚)┘
オープニングは動物園の牧歌的な風景から始まり、「ママジ」こと水泳が得意なおじさんから紹介されたというカナダ人のライターが、大人になったパイの所に取材に来て、パイは不思議な話をする。
まずはヒンズー教、イスラム、キリスト教、仏教・・・色んな宗教にのめり込んでいくパイの様子が描かれる。
動物園を営んでいた父親が、カナダに移住することになって動物を連れて船に乗り込むが、そこで大嵐に巻き込まれて船は沈没。パイは1人で救命ボートに乗って漂流することになるが・・・
何とそのボートには足を怪我したシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてのどが渇いてたところを捕獲されて「サースティ」という名前を付けられたものの「リチャード・パーカー」と呼ばれている虎が!!!工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工
ハイエナはシマウマとオランウータンを食い殺し、そのハイエナは虎のリチャード・パーカーに食い殺され、ついには虎とパイだけになり、パイは虎に食い殺されないようオールを組んで筏を作ってボートにつなげてその筏の上で漂流する。
非常食も命からがら持ち出して、何とか生き延びていく。
それまでに海に落ちた虎を救い上げたり、トビウオの群れがばしばし飛んでくるシーンでも逆に餌を与えるし、虎に完全に依存しながら漂流するようになる。
パイはママジから水泳を教えられたから、船が沈没した時も泳いでボートまでたどり着けたわけで、さらにボートの上で神様に感謝しながら捕まえた魚を食う。
この映画は全然違う話が繋がってるようにも見えるけど、宗教の話も家族の話もちゃんと伏線にはなってるわけですな゚+。゚(・∀・)゚。+゚イイ!!
つまり「何で生き残れたのか?」という答えにもなってる。
何もない大海原で漂流してる時、空の星が海面に映ってあたかも宇宙を漂流してるような感じ∑(゚ω゚ノ)ノ
そこから鯨が出てくるシーンなんてほんとに幻想的だし、このあたりの映像なんて3D効果がいかんなく発揮されてると思う。
何だか幻覚でも見てるようなドラッギーな映像だし、町山さんも言ってたけど『2001年宇宙の旅』とそっくりなシチュエーションイイネ♪d('∀'o)
何日か漂流した後、たまたまミーアキャットの大群が生息する浮島に漂着して一安心ε-(´∀`*)ホッ
でもよ~~~~く見ると動物の骨みたいなのが地面に万遍なく散乱してるのが分かるし、ミーアキャットは可愛いけどあんなに大量にいると何だか不気味だし、綺麗な風景でありながらも不吉な印象がガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
パイは木の上にハンモックを作って寝てるところ、なぜかミーアキャットが木の上に上ってくる。
パイがふと地面に目を向けると、昼間水浴びをしてた水たまりでなぜか魚が溶けて骨になってる風景がエェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエライコッチャ
この映像も綺麗ながらも残酷なイメージ(゚∀゚)アヒャ
夜になるとこの島の水は動物を溶かす物質に変わるんだとか。
あの地面に散らばってる動物の骨はそういうことだったのか・・・・
何ともはやクレイジーな設定と言うか、そんな場所現実にはないだろ?っていう話(;´∀`)
この辺りからあれ?(・ω・)って感じになる。
その後この島を出て、さらに漂流を続けた結果、メキシコにたどり着いてパイは救出されて一命を取り留める。
そして虎のリチャード・パーカーはジャングルに姿を消す。
日本から来た保険外交員はその話を信じるわけもなく、ほんとのことを話してくれと問い詰める。
そこで驚愕の事実が・・・
工エエェェ(´д|゚∀゚)っ|`)ェェエエ工
だから虎の名前が「リチャード・パーカー」だったのか(ノ∀`)アチャー
エドガー・アラン・ポーの小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』で、4人の男が漂流して飢えと渇きで極限状態になって、これからくじを引いて当たった奴を殺して、残った奴がそいつを食うことにして、くじを当てた給仕係のリチャード・パーカーという青年が刺し殺されて食われてしまうという話がある。
さらにこの小説が発表されてから50年後、実際に全く同じような事件が現実に起こったという事実コワ━━━((;゚Д゚))━━━!!
さらにさらに、その時殺されて食われた人の名前も同じ「リチャード・パーカー」
エェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエライコッチャ
ポーの小説が現実になっちまうという、身の毛もよだつ「本当にあった怖い話」ですなヒィー(>ω<ノ)ノ
そして生き残る動物がシマウマ、ハイエナ、オランウータン、虎というのも、これは「価値観の心理テスト」のメタファーだとTBSラジオの「たまむすび」で赤江さんが言いそうになってたけど、俺はこの心理テスト実は知らなかったもんで、調べてみてなるほど!!( `д´)b オッケー!と納得できた(゚∀゚)アヒャ
まあ落ちとしては、保険外交員はこんな話をしても信じないし現実的ではないから、虎とか出てこない話をしたら・・・・
Σ(´∀`;)
全然予想もつかなかった(゚∀゚ ;)タラー
シマウマが日本人の船員、ハイエナが横暴なコック、オランウータンが母親、そして虎がパイ自身のことで、コックが日本人と母親を殺し、パイがコックを殺したということ。
パイがボートの船底にいたネズミを虎の口に投げ込むシーンがあるけど、あのシーンがまさに象徴的(゚д゚)イーヨイイヨー
前半でパイの父親が「人間は見たいと思うものを見るもんだ」と食事中に話してたけど、正にパイは自分の母親を殺したコックを殺したという事実を覆い隠すために虎のオブラートで包んで、精神的な安定を保とうとしてたのか・・・・
浮島の下りなんて完全な妄想と言うか幻想で、あのあたりから段々現実感から離れていくのもそういうことだったのか・・・(;´・ω・)
とにかく哲学的でありながらもクレイジーで、さらに幻想的で綺麗な映像美も楽しめて、とても予測できない大どんでん返しの大落ちはほんと楽しめたワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
時間の長さも感じさせないしお勧めですъ(゚Д゚)グッジョブ!!
ラストの余韻がとても良いです。
以前、映画館で予告編とメイキング映像を何度も見た。
それは、スタジオに舟を浮かべて、撮影している様子だった。
≪え~~~~。こんな映像を見せないでよ。信憑性(もちろん映画なんだけど)が薄れるじゃん。。。≫
それで、見ようか止めようか、随分迷ったのだけれど、結局見に行った。
ある作家が、小説の題材になりそうな人物がカナダにいると教えられ、トロントにいるインド人に会いに行く。
その人物が語り始める、自身の体験。
そんなゆっくりとした始まりの部分に、少々毒気を抜かれてしまった私だけど。
円周率のπが名前となる由来や、自身にまつわる幼い頃の出来事など、どうでもイイじゃんと思いながら見ていたのだけど。
動物達に癒されたりしたのだけど。
それも、いつの間にかだんだんと興味深くなってきたり。
気がつけば、ベンガルトラとパイと一緒に、海に放り出されていた。
過酷な漂流生活。
食事。
トラ。
どこへ向いて行くやら、さっぱりわからない救命ボート。
どうするのよ~~~。
でも、そんなパイには、知恵があった。
賢いな~。
生死をかけた信じがたい体験をした人は、神の存在を身近に感じるのだろうか。
パイもトラも、生死をかけ、生き残った同士だ。
そんな一人と一匹の繋がりがとても良い。
ラストの展開に、アッと思った。
監督の力量に感服。
映像には、引き込まれた。
映像美でいえば期待以上
すごく気になってみに行きましたが、正直期待はずれの部分が否めないです。
映像はとても綺麗です。
みていて圧巻されたし感動しました。
でもあまりにも現実味がなく、うまく出来すぎている気がしました。
目が覚めたら島にたどり着いていたり、飢えているちょうどそのタイミングで魚が飛んできたり。
それから映像美にこだわっていたところもあってかCG感が拭えず感情移入が出来なかったのが残念です。
最後のどんでん返しはあーなるほどねとは思いましたが、自分はあまり面白く感じられなかったかも。
幻想的“過ぎる”と感じてしまうサバイバル劇
トラのリチャードを始めとした、実物と見間違うほどの精緻極まるCG。
橙色・青色・緑色・黒色・碧色と、七色に変貌する水面や空の美しさ。
それら2つが合わさった幻想的且つダイナミックな映像(跳躍するクジラやトビウオの群れ……)。
人生の過酷さと理不尽さ、そして信仰によってその理不尽さに意味を見出だそうとする姿。
3D効果も含めて映像演出は素晴らしいし、物語の深みも感じる。
いかにもアカデミー賞好みのスケールとテーマを持った、良く出来た映画だと思う。
が。
ダメだった。
僕は乗れなかった。
泣ける映画ばかりが良い映画とは言わないが、涙は一滴も流せず淡々とした鑑賞に終始した。
(トラと抱き合うシーンだけは少し心が動いたけど)
映像が美しく幻想的過ぎて『作り物』という印象が拭えず、
サバイバルの過酷さが薄まって感じたのかも知れない。
トラやハイエナとの命懸けのやりとりの恐怖も、
初めて魚を殺した時の泣きながらの謝罪も、
どこかでフィクションだと割り切って観ていた気がする。
主人公と作家の対話で進む物語のスタイルも、
漂流生活の孤独感や絶望感を薄めてしまったように思う。
その為に、リチャードとの共存関係の強固ささえも。
それに、全体的に、どうも淡白。
家族とのシーンは時間をかけて描かれていたハズなのに、何故だかその絆が
非常に淡いものに感じられ、家族を失った悲しみが今ひとつ伝わらなかった。
(リチャードとの絆も然り)
「生きる事は手放す事。別れを言えずに失う事」という象徴的な台詞もその為に心に響かず。
ただ、最後の語りが真相だったとするなら物語のテーマも変わってくる気がするが——
つまり、パイはトラと共にサバイバルなどしておらず、
愛する母を奪った残忍なコックを殺し、独りきりでサバイバルしていたとするなら、
パイは残酷な現実を幻想のオブラートに包んで乗り越えたという事か。
あるいは残酷な現実を乗り越える為にトラのように残酷にならざるを得なかったという事か。
それはそれで感じ入る部分も無くは無いが、
トラとの触れ合いも別れも全部作り話だったんかぃと考えると
長々した話の最後に夢オチを聴かされたようなヤな気分になる。
うーむ、以上です。
あの作家と同様、僕の頭では『途方も無さ過ぎて意味が掴めない』だけかしら。
スピリチュアルな要素に興味のある方ならもっと感じ入る点もあるかもですが……。
<2012/1/26鑑賞>
身も心も引き込まれる冒険物語
原題:「LIFE OF PI」
邦題:「ライフ オブ パイ、トラと漂流した227日」
原作:「パイの物語」ヤン マーテル
監督:アング リー
題名の通り16歳の少年がインドからカナダに渡航する途中で 海難事故に遭いトラと救命ボートで漂流した末に救助される冒険物語。
ストーリーは
パイは動物園を経営する父親と教養ある母親とに間に生まれ育った。数学に出てくる、割っても割っても割り切れない円周率のパイにちなんで名前をつけられた。幼い内から よく勉強が出来て、パイがスペルが「PI」で発音するとピー(おしっこ)とも読めるために、小学校で虐めにもあうが 逆に秀でた知識で生徒ばかりか先生方からも尊重させるようになる子供だった。ヒンズー教だけでなく、イスラムにも仏教のもキリスト教にもユダヤ教にまで 改心し、すべての宗教と自分は協調して生きていけると信じていた。そんな一風変わり者のパイも16歳になり、美しい少女に恋をする。 しかし家族はカナダに動物園ごと移住することに決めていた。
大型貨物船に沢山の動物達や彼らの食料を乗せ、家族の旅が始まる。しかし、出航してしばらくすると嵐に遭い船は沈没、パイは傷ついたシマウマとともに救命ボートで脱出する。嵐が過ぎ去り、パイは両親も兄弟も失ったことを知る。
運良く生き残ったオランウータンを海上から拾い上げ、ボートに積まれた非常食を探索していると、救命ボートの船底から獰猛なハイエナが飛び出してくる。ハイエナは傷ついて動けないシマウマとオランウータンを襲う。パイの素手では、小さなボート上の殺戮を止めることができない。しかし、船底には、ハイエナをも簡単に食い殺すトラが潜んでいたのだった。トラは次々と動物を餌食にする。パイは寸でのところで、いかだを作ってボートから乗り移り、トラの攻撃から逃げ延びる。
救命ボートのトラと、それにくくりつけられた、いかだに乗るパイとの生存をかけた闘いと漂流が始まる。 パイは、いかだで雨をためて、魚を釣って生き延びる。そしてボートに移って、トラと水と食料を分け与える。トラが空腹に耐えかねて飛び魚を追って、海中に飛び込むと、その隙にボートに乗り移って、救命ボートの船底から水や非常食を取り出す。パイとトラは、何十日も漂流し、いくつもの嵐を乗り越えるうち、互いに生き残り同志の共存関係が出来てくる。パイは、トラが生きているからこそ自分も生きる意味を持つことができるのだということを知る。
227日たった。とうとう、島にたどり着き、ボートが砂浜に打ち上げられるが、パイにはもう砂地を立って歩く力がない。トラはボートから飛び下り、林に入って行って姿を消した。林に姿を消す前に 一度だけ振り返ってトラはパイを見つめた。
というお話。
冒険小説でお伽噺だが、とても映像が美しい。3Dの必要はない。3Dでなくても充分過ぎるくらい自然が美しく描かれている。大海の日の出と日没。輝く果てしない海の大きさ。くらげが漂い、鮫が回遊し、巨大な鯨がボートをかすって行く。荒れる海、なぎの梅。海の表情を映しだすカメラワークが秀逸だ。
映画のはじめのころに、出てきて、回想の形で繰り返されるインドのまばゆいばかりの色彩の多様さ。色とりどりの花々、インド舞踊の衣装の美しさ、香りたつようなインドの少女たちの美しさにも心奪われる。
おまけに、コンピューターグラフィックで、ここまで出来るのか、と驚くほど動物達の表情が豊かで動きがリアルだ。トラがパイと漂流するうちに段々とやせ細り、最後に林に姿を消す頃には 骨と皮になっている。とてもリアリテイがある。
トラはリチャード パーカーという名前を持っている。エドガーアラン ポーの「ナンタゲット島出身のアーサーゴードンビムの物語」という1838年に書かれた恐怖小説があって、小説の中で4人の男が海で難破した末、リチャード バーカーという男が3人に殺されて食べられる という話がある。で、実際1884年に実際に、同じ状況で、カニバリズムがおこり、偶然殺されて食べられた男がリチャード バーカーという名前だった、という記録が残っている。本当だったら、ポーの小説よりも怖い。
しかしこの映画のリチャード バーカーというトラは、むしろ、ヒンズーの輪廻思想で、トラは人の生き代わりなので、大切にしなければならないという思想からきているのだと思う。パイの動物園では このトラは始めからリチャード バーカーを呼ばれて尊重されていた。
貨物船の食堂で働く、人種差別でタチの悪いコックが出てくるが、彼はジェラール ドバルデュー。フランス人の役者だが、最近、フランスにこのまま居ると収入の65%を税金で取られるばかりなので、と、国籍を捨ててロシア人になってしまったことで話題になった。
この映画で、残念なのは、モノローグがインド人独特の強いアクセントの英語で ものすごく聞き取りにくいことだ。英語で語ってくれるが、英語の字幕をつけてもらいたかった。
でも身も心も引き込まれる冒険物語。 文句なしに映像を楽しめる。
本当に美しい映画だ。
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