「敗者の美学」グランド・マスター 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
敗者の美学
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シーンによって変わるチャン・ツィイーの口紅の色。
とてつもなく格好よくて痺れた。
カンフー映画のはずなのに、私にとってはそこが見所だったかも。
それでもいい。
「神は細部に宿る」って言葉があるけど、この映画、細部が格好いい!
窓枠や洋灯の意匠。
カンフーシューズや襟元の刺繍。毛皮の色合。
じいさんの連れた猿。
作り物の美しさだけど、退廃と色気がたっぷりつまっている。それでこそのウォン・カーウァイ。
もう一つ見所があるとすれば、負けた者の美しさだろうか…。
チャン・ツィイーとの闘いに敗れ横たわるマーサンの美しさ。
闘いには勝ったものの静かに朽ちて行くチャン・ツィイーの儚さ。
なんという敗者の美学。それでこそのウォン・カーウァイ。
お話的にはイップマンの話というより
チャン・ツィイーをめぐる3人の強い男の話になっていたような。
トニー・レオンも良かったけど、チャン・チェンのカミソリも最高でした!
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