「一人一人はリアル。でもその社会はリアルではない。」桐島、部活やめるってよ サマーサマーさんの映画レビュー(感想・評価)
一人一人はリアル。でもその社会はリアルではない。
まず、若い役者たちの演技が細やか。
もう、監督の操り人形にでもなったかのよう。自然な台詞回しや美しい間に引き込まれていく。
そして、カットがどのカットも美しい。映像だけでも充分もつ映画です。
特筆すべきは音楽。
放課後の校舎には吹奏楽部の楽器の音色が響くのはもの凄くマットウ。その音色がごく自然にクライマックスを盛り上げるのですから文句無しのアイデアです!
ただ、パンフには「あなたの”記憶”を幸福にも残酷にも刺激する」とありますが、私はそういうのにはピンときませんでした。
なぜならこの登場人物には自発的にユーモアを放つ者がいないから。
そんな社会にはリアリティを感じられないのです。
この映画ぐらいの軋轢ならユーモアさえあれば解決できますし、最後にクロスオーバーしようとするキャラクターがいますが、本来ならそれはユーモアを持つ道化の役割です。あのキャラクターがかかんにクロスオーバーしようとしたところで結局はグループを移動するだけに終わるでしょう。
だから、鋭いボケをかませる者がいつもクラスの人気者である理由です。
物語を成立させる為にこの集団劇であえて道化役を用意していないならそれはご都合主義といわれても仕方ないです。
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