おおかみこどもの雨と雪のレビュー・感想・評価
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カ―タンの映画レビュー
見終わって、暫く経ってから感動する映画がある。
それとは逆に、観ている時は気にならない事が見終わって腹立たしくなってくる映画がある。
細田守が監督をした『おおかみこどもの雨と雪』は、まさに後者の映画だ。
本作には見終わって、となる部分が多い。
例えば、宮崎あおいが声をアテている主人公は奨学金とアルバイトで行っていた大学で、何故、正規の学生じゃない男をいとも簡単に好きになってしまうのか(影のあるイケメンだから)。
実は狼男である、そのイケメンは何の為に大学の授業に出席していたのか(あわよくば、交尾する相手を探してた)。
そして、何故、二人は避妊もせずにセックスをするのか(狼男に避妊の概念がないのかもしれないが)。
とにかく、そんな調子で物語はサクサクと進んでいく訳なんだけど、そもそも、このアニメは家族で観る事に適しているのか
なるほど、確かに、狼と人間の合いの子である雨と雪は可愛いかもしれない。
主人公が女手一つで子供を育てていく過程に感動もするだろう。
偏見や差別というテーマを深読みさせる細田守の意図も理解出来る。
いや、本作の真の狙いが偏見や差別だとしたら、尚更、狼人間という部分は要らないんじゃないだろうか(狼人間を在日三世や不倫で出来た私生児に置き換える事が可能だ)。
本作を観ていて、誰もが思い出すのがジブリの名作と言われる『となりのトトロ』だろう。
俺はアニメに詳しくはないんだけど確か細田守はジブリで監督する予定だった『ハウルの動く城』をクビになった筈
そして、その悔しさをバネに『時をかける少女』を作り、成功させたんじゃないのか
しかし、本作には『となりのトトロ』と、いくつか共通の匂いが感じられる。
一つは、本作の狼人間と同様、『となりのトトロ』がトトロを出さなくても成立する物語である点。
そして、もう一つが、嫌らしいマ―ケティング戦略の匂い――。
確かに『おおかみこどもの雨と雪』は良く出来た作品だ。
しかし、俺はアニメとして、本作を好きにはなれない
たまに暇な時見返そうと思える
想像していたものと少し違ったのでいい意味で楽しめました。
劇中に登場する様々な要素、描写に複合的な意味合いを感じますが現代社会に於けるあれやこれやっていうのは割愛しながら読み取ると、「母の生き様」という点を主題とした作品であると感じました。それは「花」「雪」「雨」という名前からも読み取る事が出来ます(考え過ぎか?とも思いましたが、まあそんくらい考えなきゃ映画とかつくれないっしょ)
設定としては「誰もがおおかみ」的な文脈を隠喩しているという解釈で間違いないかと思います。子供の人生は時として大人より過酷です。雪の「はやく大人(普通の人)になりたい」という台詞はそういった視点で見た時の子供の心情がせつなく表現されていてちょっと好きでした。
問題は「おおかみの子供産んじった!」っていう部分と「親子の成長のリアリティ」の調和のさせ方です。つまり、もしこんな事が現実にあったとしたらこんな風景があるよね?っていう描写。
極端な話この設定であれば生まれる前から子供達が子供を産むまで描ける部分はあるはずなのですが作中では雪が中学校進学するまでしか納めておらず、その中でも明らかに幼少時代の描写が執拗に施されています。嘔吐のシーンや授乳でちゃんと乳首も出すあたり、決して綺麗に描こうとはしていない意思を感じました。物語の焦点を「花」に合わせる意味もあったと思います。私的には「監督子供うまれたのかな?」って思いました。かと思えば「貯金だけであそこまでできるかよ!!」とか「そんな華奢な身体で畑仕事できねえだろ!!」とかツッコミどころも多々あって。うーん、つまり風景描写に偏りがあります。その辺は意見が分かれると思いますし、この作品に対してネガティブな感想を持っている方は描きすぎている箇所、ふわっとさせている場所が目についた、という意見が多いのかなとも思います。私は嫌いではないです。
蒟蒻シティー
【ジャンル】 感動系、家族、ファンタジー、動物 【詳細】 脚本3 セリフ4 間合い4 明快度5 映像5 音楽3 配役4 カメラワーク4 リアリティ4 感動4 疾走感3 テンポ3 アクション3 スリル4 壮大さ2 格好良さ3 恐怖1 カタルシス3
オオカミの皮をかぶった底の浅い商業映画
まず、正直な感想としては「断片的なテーマをご都合主義でまとめた上にオブラートで包んだよくわからない映画」という感じでした。 細田監督が得意とするCGも多用していて映像は非常に綺麗なんだけど、とにかくテーマが不明瞭かつ不適切。 女子大生の主人公「花」は、学生でもないのに講義を受けている長身イケメンに恋をする。 イケメンは自分がオオカミ男であることを告げるが、そのまま愛し合って子供が生まれる。 本来、人とオオカミのDNAは構造的に異なっているのでどんなに頑張っても狼人間は生まれない。このあたりで「これはSFなんですよ」と視聴者にお断りを入れているわけだ。 それにしても、「俺はオオカミ男だ」とカミングアウトした男と避妊もせずに性交してしまうあたり、最近の女子大生の乱れた性を表現しようとしているんだろうか。 それにしても獣姦である。画面には裸の女性と狼が布団になだれ込むシーンが映し出され、序盤から居心地が悪い。 「そういうシーンを描かないと後半の説明がつかない」というのもわかるが、あえて描く必要性はあるのだろうか。長年タブーとされてきた獣姦を全年齢アニメで描くのは教育上どうなのか。少なくとも自分に幼い子供がいたら見せたくはない。飼い犬と性行為の真似事でもされたら大変だ。 なんというか、発想が同人誌レベルなのである。 その後、2匹のおおかみこどもを残して父親のオオカミ男は死んでしまい、母親はシングルマザーになる。 都会のアパート暮らしだったため、暴れる子供に隣人から苦情が来たり、事情が事情なために定期検診も受けないことを不審に思った児童相談所が押しかけてくるシーンは、現代の子育てのしにくさや虐待問題を暗に表現したいのだろうか。 結局、人里離れた田舎に引っ越すことになり、廃屋のようなところに住み始めるのだが、実際問題としてシングルマザーが(特殊なハンデを背負った)子供を人里離れた田舎で育てるというのは相当の苦労があるのではないか。 これは誤解を恐れずにあえて言うのだが、「特殊なハンデ」という意味では障害児を抱える親の子育ての状況とも受け取れる。 生まれつきの体の障害は染色体(遺伝子)異常によって引き起こされるのだが、異常な染色体を持った親からは同じように障害児が生まれてくる可能性が高くなる。 障害を持った人でも恋愛し、子孫を残したいと願う気持ちはあってしかるべきなのだが、そこに葛藤が生まれるというのはよく耳にする。「もし自分のような障害を持った子供が生まれてしまったら」という恐怖がつきまとう。 最近では「障害」と呼ばずに「個性」だという風潮もあるようだが、今回のおおかみこどものようにおよそ個性と呼ぶには特殊すぎるケースの場合、子育ては壮絶なものになるだろう。 「アニメだから」という理由でそのへんの苦労を難なくこなしてしまう母親は、男性の俺から見てもバイタリティあふれるスーパーウーマンに見えた。 監督が女性だったらもう少し違う表現になっていたかもしれない。というかそもそもテーマに選ばないだろう。 しばらくの間は「貯金で」子育てするという設定だが、役所の手当もなしに子供を小学校まで育てるのにどれほどの金が必要かを考えると相当額の貯金があったのではないかと思われるが、このへんも妙にリアリティがない。実家の親には子供がいることを報告しているんだろうか。 「となりのトトロ」に代表される自然をテーマにした作品は、環境問題や自然の大切さを問いかけてくるため家族で観やすいし、映画賞などでの評価も高いんだと思われるが、自給自足のために畑を耕し、地元の農家と打ち解けていくシーンは、田舎のすばらしさを表現したいんだろうか。狙いがよくわからない。 最終的におおかみこどもの二人は、女の子が人間の世界で進学するため都会で寮生活、男の子がおおかみの世界へ戻ることを決意して一家離散する。 母親は都会に戻ることもできたのだろうが、おおかみになった男の子がいつでも戻れるようにと田舎暮らしを続けているんだろう。 「しっかり生きて!」とこどもに声援を送る母親だが、これは視聴者の誰に対するメッセージなのか。 冷静に考えると、人間界での生活を選んだ女の子はいずれ恋をして、再びおおかみの子供を産むのだろうか。 そしておおかみの世界に戻った男の子はメスのおおかみと交尾して、やはりおおかみの子供を授かるんだろうか。 そのあたりの疑問をすっかり丸投げにしたまま映画は終わる。 ちなみに、おおかみの母乳は人間のそれと成分が異なるため消化できず、おおかみに人間の育児は生物学的に不可能なんだとか。 また、世界各地で報告されている「野生児」は、発見後数年で死亡してしまうケースがほとんどらしい。たいていの場合、育児放棄された子供が半野生化するのではないかと見られている。 SF作品にリアリティを求めるなと言われたらそこまでなのだが、この作品はリアルさを追求している場所がずれていて、しかも中途半端なので妙な違和感を感じる。 おそらくではあるが、映画の企画やストーリー作りの会議で 「おおかみと人の恋という設定はどうでしょうか?」 「最近は育児が色々と問題になっているので、そのあたりも散りばめて」 「自然も入れたいよね、壮大な山とか、雪景色で」 「小さい子が急に半獣化したらかわいいよね」 「子供は二人いて、それぞれ別の人生を歩むというのは」 「いいねそれ、子供の自立という暗喩になるね」 「リアリティは、ストーリーの邪魔にならない程度で」 「これでいきましょう」 みたいな打ち合わせがあったのが感じ取れてしまうのだ 利益回収が目的の映画産業ではよくある、ご都合主義のストーリーというやつだ。 何か1本筋の通った信念のようなもの(一番何を言いたいか)がないから、都合のいいシーンを無理な設定でつなぎ合わせて可愛らしい動物というオブラートに包むという。 まさにオオカミの皮をかぶった商業映画でした 「時をかける少女」や「サマーウォーズ」が良かっただけに残念。 ではでは
はい、泣いてね作品(海猿状態)
何が言いたいのかよくわかりません。 親が必死で子供を育てること。 外野から見ればどんな親子でも感動がありますが おおかみとの子供たちって、あえての設定がよくわからん・・・ お父さんが死んでしまった理由が 最後にはわかるのかな?って思って見てたけど・・・ 泣かせようという演出が、僕にはすごくうざい。 よく解らん
非常に良かった!けれど…
非常に良かったです(^-^)
割とオーソドックスな感じもあり、少し先の展開が読めると言った感もありましたが、個人的にはもう泣けるシーンの連続でした。
アニメでは表現しずらそうな細かいトコロも良く出来ていた箇所もあったと思います。
声優もgood!
成長した雪と雨がおおかみの姿で喧嘩し、雪が雨に全く歯が立たず風呂場に逃げ込むシーン。なぜかあそこが凄く泣けました(笑)
非常に良かった!…んですが、個人的にいくつか。花の夫、雨と雪の父親の死の原因があやふやだったこと。強く、優しい母なのは素晴らしいが、花が一度も我を忘れるくらい激昂しなかったこと。(例えば雪が男の子を怪我させてしまったシーンや、雨が山に行こうとするシーン。叱りはするんだけど…もったいなかったと思う。)
あと、欲を言えば、雪の中学入学のタイミングで物語が終わってるんですが、雨が山に行く決断の時期も含めて、もう少し大人になるまでを描いて欲しかったです。
色々言いましたが、 好きな映画です(^-^)
誰も彼も必死に生きている
花のバックグラウンドがほとんど見えませんがあまり重要ではないです。おそらく。 二人の「おおかみこども」を育てるただ一人の母親としてひたむきに奮闘する様を画面いっぱいに見せてもらいました。 見ながら色々な事を考え想像し、母と子、それぞれの思いに心を揺さぶられます。 微笑ましくもなり、苦しくもなり、愛しくなり。 見せたかったのは親離れ子離れという点に尽きる気がします。 ラストシーンははとても良かったですし、監督が込めた思いも伝わってきます。 ただ最初に述べたように母親のバックグラウンドが見えない分、彼女の葛藤が薄く思えてしまう。 画で表現出来ているかというとそうでもない。 ほんの少しの見せ方で随分変わる気がします。次の作品に期待したいです。 宮崎あおいさんの優しい演技は素敵でした。 作品の色や匂いにぴったりとハマる女優さんです。 現実に向き合い笑って悩んでへこんで転んで立ち上がる。 命あるものの生き様を、丁寧に丁寧に描いた一作だと思います。 見てよかったです。
物足りなさを感じてしまった・・・
好きな監督で何処か期待して観ていたせいか後半に、物足りなさを感じた・・・ 全体的に作りは良質で好感が持てたし「母と子」のテーマも感じられたが 「おおかみこども」と言う”凝った”設定にしたのだから 個人的には、もっと強く訴えかけても良かったように感じてしまった。
いつか訪れる“子離れ”準備映画。
“おおかみの血”というのが例えば『前科』とか『身心の障害』を象徴した表現だとしたら、わりと普遍的なお話になってくる。 親がその境遇を呪ってないなら、子供たちはそれを受け入れ育ち、そしてそれぞれに生き方を選んで行くんだろう。いつの間にか訪れるその時に、ちゃんと背中を見送れる親でありたいと思わせられた。
泣けたけど少しもやもや
花はいつも笑顔でいる、悲しくても笑顔という映画的な設定だったと思うのですがわたしの中では常にどこか物悲しいイメージが残りました。そこをもうキャラ設定をはっきりとしてほしかったと思いました。みなさんがどのように感じましたでしょうか。
でも映画自体はとても泣きました。特に雨が森に行く時、良く分からないけど泣けました。
ラストだけ魂を感じた
飛行機の中で見ました。 この映画は知らなかったです。監督さんも知りませんでしたが、アニメ「時をかける少女は」見たことがあります。(退屈な映画という印象。) この映画の絵は、コンプレックスアニメにならないように注意し工夫した絵って感じ。 本質はコンプレックスアニメの絵と同じように思えます。 見れなくはないが、むずがゆい。 雨が最後に選んだ道が、それに答える花が、監督さんが一番見せたかったところでしょう。 そこには、魂を感じました。 感動しました。 ただ、それ以外のストーリーが・・・ 妄想だから、魂は感じない。 頭でも考えてないから、関心もしない。 一枚の絵にもバックグラウンドをスケッチブックいっぱい妄想しないのでしょうかね。 花の両親は?友達は?花の好きな食べ物は?好きな色は?好きな教科は?初恋の人は?実家は一軒屋?犬を飼っていた? そういうの何も設定してないような軽いストーリー。 田舎の人に受け入れました^^のクダリは必要だったんでしょうかね? この監督さんはまだ発展途中って感じですね。期待してます。 雪の声はよかった!
母親への手紙。
この映画は「母」に対する手紙だろうと思いました。 母親が傷つくだろうとわかっていながら、それをあえてやってしまう気持ちは、男の子なら誰にでもある経験でしょう。 自立心からか、それとも屈折した表現で愛情を確かめたいのか、いずれにせよ今となっては土下座しても足りないようなことを平気でしていました。 しかしそれでも子どもを心の底で肯定する母親というものには、息子は結局かないません。 この映画はそんな「母」に向けての感謝の手紙なのだと思います。 理想的すぎるといわれるのも、納得。大概の息子は底の底で、この映画から感じられる母親のイメージを、持っているのだと思います。 本人にはとても言えないですが。
不思議とリアルな家族関係
“細田守監督の最新作”それ以外には何の前情報もなしに劇場へ行きました。
監督の作品は『時かけ』『サマーウォーズ』を視聴済みです。若干話を忘れてますが。
良い映画です。視聴後は、前二作同様に朗らかな気分になれる映画だと思います。
狼と人間の混血児を持った母親の育児体験記という、いささか大胆な設定のお話なのですが、その実、意外とリアルな現実の親子像・家族像を表現しているんじゃないかなあと思い、共感出来る点も多かったです。
特に、雨と雪が全く正反対の道に進むというストーリーは、実際自分も兄とは大きく違う事に興味を見出し、衝突もしながら別々の道に進んだ経験があるので、とても共感が出来ました。
他にも、親の意志に反して成長してしまう子供の姿であるとか、気づかない内に身も心も大きくなってしまう子供の姿であるとか、こうした一般的な親子関係が、狼と人間の混血児という大胆な設定によって強調しながら表現されています。
一方で、少々不可解な点もいくつか。
まず、雨が山に入るのを何故そこまで花が嫌がったのかです。
そもそも、狼でも人間でも、どちらの選択も出来るように人里離れた山奥に居を構えたのではなかったのでしょうか?
だとするなら、花はそうした雨の選択を尊重できるはずです。
仮に咄嗟の親のエゴで快く思わなかったとしても、当初は“先生”に対しても挨拶に行くなど理解を示していた描写もあった訳だし、あれほど必死になって(雪の存在を完全に放っておいて)山の中を探しに行く理由がよくわかりませんでした。
また、後半にかけて展開が早くなり、小学校卒業で話が終わってしまうのもちょっぴり尻切れトンボな気がします。
さぁ!これから思春期だ!面白くなるぞ!って所で終わってしまうのです。
可能ならば高校卒業くらいまでは描いて欲しかった。そして、雨が山に興味を持つのも中学生とかの方が自然です。
いくら狼と言えども、半分は人間なので流石に10前後で親元を離れるというのは違和感が。
と言っても時間の関係上ここは難しそうですね。
雪が草平くんに秘密を打ち明けるシーンも意外とあっけなかった。
秘密を打ち明けるのではなく、何らかの事件でしょうがなくバレてしまう。
でも実は草平くんは元から雪が狼である事を知っていた、それを黙っていた。
そうした草平くんの心遣いを知った雪は草平くんに心を開くようになる。
こういった展開の方が、すんなり感情移入できる様な気がします。
(個人的な妄想全開ですが笑)
あとは、もう少し花に人間味を持たせても良かったのではないかなあと。
どんな辛い事にも耐えて一人でやり、笑って、可愛くて、あまりに欠点が無さすぎる様な気がします。
普通なら、いや、普通でなくとも育児放棄寸前の所まで行きそうなもんですが、そうでもないのでしょうか?これくらい普通?(子育ての経験は無いので笑)
とまあ、高評価の割に色々書きましたが、全体として大胆な設定を上手くまとめあげていると思います。
やはり、雨と雪がそれぞれ別の道に進もうと選択していく心理変化の過程。
これはそれぞれしっかり描写されていて、素晴らしいと思います。
映像は特段美しいという訳では無いと思いますが、細田監督作品らしく、登場人物達の表情の変化には注目だと思います。本当に豊かな表情を見せてくれます。
宮崎あおいさんの声も違和感が無くかなり合っていると思いました。
スタッフロールで彼女の名前を発見して驚いた位です。
2時間の上映時間はあっという間でした。
見終わったなら、自分の子供時代に思いを馳せるも良し、現在絶賛育児中のお母さんは、育児の活力にするのも良しでしょう。
そういう自分は、雨や雪のように狼モードになりたいなあと思いました(笑)
なんとも言葉にできない
子育て、葛藤、自然、共生共存、秩序、慣習、子離れ、親離れ、独り立ち
・・・でファンタジーな。感じ。
絵がキレイだったなー。
大沢たかお と 宮崎あおい の声に癒された~
それだけでもGOOD!
子育てについて考えるきっかけ
全くの事前知識なしで家族と見に行った。アルプスの少女ハイジ
のような大人も楽しめる子供向け映画を想像していたのだが、予
想とは違い、子を持つ大人向けに訴えかけるものがあったように
思う。
アニメはジブリアニメを見る程度で、それほど詳しくないのだが、
描写がお見事。都会のシーンについてはディテールまで丁寧に、
田舎のシーンも草木や水、雪の描写まで丁寧に書き込まれている。
自然を扱ったドキュメンタリーなどの実写映像だと意識せずに眺
め過ごしてしまう風景描写が、アニメだと風景の輝きや妙のそれ
ぞれに印象を残す。
ここまで細分にこだわっているからこそ、物語で監督が訴えかけ
たい問題に説得力がでてくるのではないかと思う。
他人との交流を最低限にしてもやり過ごせた日常と、子を持つ事
で否応なしに周囲との軋轢を生む現実の対比。うがち過ぎかもし
れないが、障害児を持つ親の立場についても監督は注意を払って
いたのではないだろうかとまで思える。
田舎暮らしも単に自然万歳ではなく、DIYの厳しさや近所の助け
合い精神が描写されており、単なる田舎礼賛を連ねるだけの作品
ではないのが見て取れる。
でも一番監督の言いたかったのは母性と父性の問題ではないだろ
うか。
父親が雨と雪の幼少期に亡くなってしまい、母一人、都会で子育
てをし、さらには田舎で一からの暮らしを作り上げる部分は果た
してそれが可能か?という突っ込みもあるけれども、あえて現代
のママさんたちに頑張ってほしいというエールを送っているのか
もしれない。
父である私にとっては父性の問題についても考えさせられた。作
中では子育てに父が関与しないがために、却って父性の重要性が
提起されているように思う。それは韮崎の爺さんや、おおかみの
先生が彼ら一家にもたらす影響によって、想像し得る。
男と女のそれぞれの生き方を決める上で、女は環境に順応し、男
は父性と本能に導かれるままに、女親から離れていく。この見方
が生物学的に正しいのか私にはわからないが、今の情報氾濫の世
の中で子育てについて迷う私を含めた親たちにとって、示唆を与
えてくれているのは確かである。
下の娘(雨と同じぐらい)にとっては退屈に思えたかもしれない
が、上の娘(雪と同じぐらい)にとっては、自分のこれからを決
める上で考えるきっかけになればよいなと思った。
余談だが、子作りのシーンらしきものが冒頭に少し。本作品は子
供にも見てもらうことを十分に考えていると思うのだけど、ここ
まで描いてしまうんや、と思った。参考になった。
'12/09/23 ワーナーマイカルシネマ 多摩センター
父親不要論?
子を持つ父親としては、父親が死んで・・・というシチュエーションによる父親不在、母親だけががんばっている風なストーリー展開というのはさびしい。精神的支柱にはなっているようだが、母子の絆は強調され、父親はいなくていい存在のように描かれる部分で、手放しには賞賛できないものを感じる(この作品としては妥当な展開とは思うが)。
父親の遺影が自動車免許証だったりするが、戸籍、身分証明はどうしたのかとか、それに付随して死亡届はどうしたのかと言った部分が気になる。
ファンタジーにしては妙にリアリティがあるのも困り物。
そのくせ、雪山で遊ぶシーンはまるっきりアニメ映画だったりするわけで、やや感情移入がしにくい部分を感ずる。
ラスト、子供たちが旅立ってしまうところに寂寥感が漂い、締めは良かったと思う。
丁寧な自然描写だが本物にはとうてい及ばず
上映時間が2時間弱、なのにまるで3時間以上座らされていたかのような退屈感のある映画でした。 人間である母と狼男の父の出会いから、子供達の一定の成長までを描いたストーリーなのですが、どんなテーマを念頭に作られたのか、正直全く判りませんでした。 上映中に印象に残ったのは、数がやたらと多く、時間も余分にたっぷりと掛けられた自然描写の数々。風のささやき、草の息吹、水の調べなどが一生懸命にアニメーションで描かれています。 ・・・が、やはり本物に叶うはずも無く。森の中の動物達のたたずまいなど、きちんと撮影されたドキュメンタリーでなら非常に興味をそそられますが、敢えてアニメで観たいとは思いません。スタッフの誰かが、不必要なチャレンジ精神を発揮してしまったのでしょうか。 作品中の時間の流れもあまりにご都合主義が鼻につきますし(畑1面を耕して畝をつくり、さらに新しく1面を一から開墾するシーンが、観客の立場からは1日か2日で女性一人でやり遂げたように見えました・・・無しでしょう)、とてもあの傑作を作った方々とは思えない残念な結果でした。 暴言覚悟で正直な感想を記すと、常識に欠ける若者が、いきおいで出来ちゃった婚してもきっと幸せになれるよ、子供は勝手に育つんだから、というエール?を送る映画なのかな? 子供時代の、特に雪ちゃんの表情は可愛かったですね。
良いお話(作品)ではあるけど
この作品は良いお話ではあるんですけど二時間ちょっとでは到底足らないでしょう。(もう少し最後まで描いて欲しかった)
最初に雪と雨の幼少期のシーンが長すぎるように感じました。
この作品子育てをメインテーマにしてるのは分かるんですが雪が中学生になったところで「えっ、ここで終わるの。なら冒頭の雪のセリフはなんだったの?」と声に出してしまいたかったです。
ところどころに雪のセリフが入るけど、「んっ、この作品は雪が昔を懐かしむように思い出しながら進んでいくなら花はもう亡くなられているのかな」と周りの皆さんに聞きたかったです。
次に雨が10歳かそこらで将来を決めるのは早すぎるのでは?
人間でそのくらいの歳に将来の意志を決める子はいてもおかしくはないけど
いくらおおかみこども(人間とおおかみの年齢は違うけど)といえども早すぎるなーとツッコミを入れたかった。
楽しめる良い作品ではありますけどこの二点だけはどうしても考えてしまいます。他の方々はどう思われるでしょうか?
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