おおかみこどもの雨と雪のレビュー・感想・評価
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全く感情移入が出来なかった・・・悲
細田作品は好きな方です。
全体的に評価の高かった本作品を楽しみにしていたのですが、
私には全く合わず残念でした。
エンターテイメントでは無く、ヒューマンドラマとしての映画でした。
そして、合う合わないが出やすい映画だと感じました。
他の方の評価にも記されていますが、
本作品は登場人物の誰かに感情移入が出来るかどうかがキーのようです。
自分は全く、誰にも感情移入出来ませんでした。
確かに描写の美しさや田舎生活の素晴らしさはあるのかもしれませんが、
「(苦悩等も含め)素晴らしさ」の押しが強く、長い。
自然描写の中にも風土や文化、歴史等の意味があれば良いのですが・・・
ストーリーは、様々な場面において物事の因果関係の表現が
欠如、あるいは、不明瞭であり、
それを見てみないふりするには、
ファンタジー感やエンターテイメント性が掛けており
妙な所で妙に現実感を出されて、概ね中途半端。
自分のカチカチの頭では追いつけません。
加えて声優陣、雪のナレーションが小学校の音読会の様で
気になって私の耳には言葉が入らず、
花の声も「あおい様」がちらついてしまい・・・。
見方を変えると純朴さは出ているのかもしれません。
とはいえ、花の葛藤や雪・雨の成長の表現において
子育て経験者、子供好きの方、懸命に自立をされてきた方などから
支持される理由は分からなくも無く、
良い悪いで二元的に評価するならば、良い映画でした。
映画という媒体には向かない話
こんないい映画を見逃していたとは・・・・。
こんないい映画なんで劇場で観なかったんだろうか?
自分でも不思議に思っています。
雪が教室で男の子に自分の正体をばらすシーンはぞくってきました。ホントにいいシーンでした。風立ちぬの結婚式のシーンと同じ感動があった。
ああいうシーンを観て感動すすると生きているうちにあと何回こんな感動に会えるんだろうかと少しおセンチになってしまいます。
海外でこの映画はやっていないのですかね?こういういい映画を世界の人にも見てもらいたいですね。
夏に見たい映画
ジブリの「風立ちぬ」が自分はダメ派だったので、こちらの映画の方がよいという
レビューを見てすぐにDVDを借りました。
結果、こちらの方が断然よかったです。
風景の描写の美しさや、コマの使い方、人物の見せ方、どれをとっても感動しました。
普段ジブリ以外は現代アニメを見ないのですが(ジブリも最近は惰性で見てますが)、
これは他の方にもおすすめしたいです。
ストーリーも構成がしっかりできているので、人物に感情移入しやすく、
自分の小さかった頃、娘時代を卒業した頃、(母にはなってませんが)結婚後など
どれをとっても、「ああ、そうだったよね」というシーンに出会えました。
もともと「ど田舎」育ちだったので、畑のシーンも「そうそう!」と
思わずうなずいてしまいました。
また、テンポもよいので、作品にぐいぐい引き付けられました。
☆4.5にしたのは、自分の人生を変えてしまうくらいの衝撃とは
ならなかった点で5にしませんでしたが、風景描写の美しさはもっと見たいと
思う作品でした。
「彼」が物語から退場するのが早すぎか?
狼との混血種である「彼」が物語から退場するのが早すぎる。
サマウォーズでも陣内栄という登場人物が序盤あたりで死亡した。
細田守の映画はキーパーソンを早期退場するのが手法なのかな?
中の人は多分もっとしたたかだぜ。
前作『サマーウォーズ』で一躍日本のトップアニメーターとして認知されるようになった細田守だが、この『おおかみこどもの雨と雪』もまた、7月から長期に至るまで上映され続けているということを鑑みれば、その評価が非常に高いということがうかがい知れる。主人公・花の愛した男が実は狼男で、彼との間に設けた子をシングルマザーとして田舎で育て上げるという趣旨は全作同様、田舎の人々の温かさという回帰的な羨望や、家族という社会における最小のコミュニティをモチーフに扱ったものだといえるだろう。私的には、映画を観始めて数十分で「これ賛否両論、どころかアンチと信者に極端に分かれそうだ」という感想を持った。それほどまでに、肯定要素と否定要素がこの作品には混在している。
否定的な側面として、ディテールを盛り込むことによって起こる物語の破綻が挙げられる。主人公の花が奨学融資でバイトして苦学生するのは良いとして、クリーニング屋のバイトで仕送りなしで生活できるかどうか疑問であるし、信念持って勉強してるのに狼男という圧倒的マイノリティと避妊もせずに子供を作るし、ワープア街道まっしぐらなのに二人目までつくるし絶滅種の父親がゴミ収集車で片付けられるし引越し屋のトラックの運転手で長期間親子三人が暮らしていける貯金なんて残せるわけないし休学した学校どうしたのか気になるし(休学中も学費かかるし、中退は奨学金一括返済ですよ?)予防接種とか人間でも犬でもどっちかでやっとかないとマジでプロプレムだし田舎の人々の描き方が紋切り型だしあんなでっかいボロ屋を一人でキレイにできるわけないし野菜作りを失敗しているのって絶対長期の出来事だからそのあいだ生活どうしてたのか疑問だし新しく始めたバイトが安すぎるし12年間で子供たちを「育て上げた」って言うには短期間すぎるし、後どうしようもなく宮崎あおいの声から「森」の香りがするなどなど、ケチをつけ始めたら際限なく出てきてしまう。ディテールによってリアリティが失われているのなら、それは肯定されるものではないし、そういう面ではこの物語は失敗している。だがそういった批判を踏まえた上でも、少し視点を変えれば逆方向には細田守の理想が、冒頭の質感を感じさせる花々のように咲き誇っていることを観客は知るだろう。
主人公・花はひたすら受け入れ続けてきた。狼男という夫を、その血を受け継いだ子供たちを一人で育て上げるという道を、あらゆる困難を笑顔一つで受け入れた。そしてこの花の「受け入れる」という態度に、観客は細田守の人生観や世界観(正しい用法での)を垣間見ることができたのではないだろうか。社会にしろ自然にしろ、個人はその大きな渦にただ飲み込まれるしかない。しかし、そこで人が最初にして最後の強さを発揮できるとしたら、それは「受容」という強さではないだろうか。そして、父親が生前に言った「子供たちを自由に生きさせたい」ということの終着点に、雨は受け入れたいものを探し出し、雪は受け入れてくれるものと出会ったのであるならば、まさにこの父と母はその生き方と残した言葉によって子供たちを導いたのだといえる。
終盤に、森に生きることを選んだ息子を花は「私はまだあなたに何もしてあげられていない……」と言って引き留めようとする。だが既に花は「受容」という、もっとも母として強い愛を子供達に与えていたのではなかっただろうか。この物語における愛とは、与えることではなく世界の受容の仕方だったはずであり、そして既に息子は母からそれを学んでいるのである。そこが人の世であろうと自然の中であろうと、その愛さえあれば、きっと子供達は母と同じく花の咲く丘で誰かと寄り添うことができるに違いないのだ。
抵抗や変革を行わず、しかし決して諦めもしない。「受容」という静かな生のあり方を大自然を使い躍動的に描いた今作、アニメーションがどうしようもなく「絵を動かす」というメディアである以上、これまでのアニメは「動き」を魅せることに終始するしかなかったが、細田は「受容」からなる「佇まい」をアニメで魅せることに成功しているのである。この技法を以てしてこの作品が革命的であるという評価は頷けるものがある。ただ、二時間弱という尺の中、駆け足で物語を進める必要があったためか、出来事の「結果」ばかりが先立ちそこに「動機を持った人間」の、特に「大人」の不在を感じざるを得なかった。そこが今ひとつ作品を楽しむ上で壁になっていたことが残念だ。
面白いのにタイトルで避けてました。
おおかみにんげんという設定で頼る人がいない中、
生き方を模索する大人向けアニメに感じました。
先の展開が読めず死ぬ系かなと思ってたら
雨と雪はそれぞれの生き方を自分で見つけ出し、
花は心配する自分を信じることで納得させる。
それぞれにまだ不安は残るけど、自分の道を歩んでいく。
信念を持って生きたいものです。
しかも描写が細かい。
最近色々な映画を見てきたけど、日本のアニメにも表現のすごいのはまだまだありそうですね。
あと気付かなかったけど声優が凄かった、宮崎あおいとか大沢たかおとか林原めぐみとか。
楽しい映画でした。
「時かけ」から劣化し続ける・・・・・・
細田監督作品は「時をかける少女」で好きになりましたが、「サマーウォーズ」を見て自分の評価がガクッと下がり、今回もまた下がりました。以下、その理由として4点挙げられます。
①冒頭で「母についての物語です」と断っているのに後半は息子と娘の話になってしまっている。話が一貫していない。おそらく子供も見ることを鑑みて子供達の話を入れたのだろうが、かえって話が散漫になった。冗長にも感じ、一緒に見ていた母も「まだ終わらないの?」とぼやいていた。
②「田舎の大自然の美しい風景」の描写がしつこい。「大自然の素晴らしさ」をテーマとして物語に組み込まないかわりに映像でアピールしようというのだろうが、かえってくどいと感じた。「『この美しい大自然を知ってもらいたい、大切にしてもらいたいんです』という気持ちは、もう十分伝わったからから勘弁してくれ」と言いたくなった。
③「おおかみこども」が全然関係無い。ファンタジーなモチーフな割に、物語を駆動させる装置以上の役割がない。これが例えばラピュタなら、シータの台詞『なぜラピュタが滅びたか、今分かったわ。(以下略)』にテーマが集約されるようにモチーフとテーマがしっかりと絡み合うが、本作には何の意味もない。
④確かに田舎の地域社会の人間関係には本作で描かれるような良い面もある。だが、排他の原理も強い。最近、田舎の村で村人のいじめから大量殺人が起きたが、こういう負の側面に対して監督は無頓着なのだろうか。
サマーウォーズもモチーフ(血縁関係のコミュニティ)に対して良い面しか語っていないが、相変わらずこの人はテーマに対して良い面しか語らない。
細田監督はポスト宮崎監督と言われていますが、自分は決してそうは感じません。
宮崎監督はテーマに対しても公平でストレートなメッセージをぶつけてきます。そして、そこに嫌みな感じがないです。
ですが、個人的な感覚で申し訳ないですが、細田監督の場合は何か嫌みな感じがするんです。主張がうるさい割にテーマに対して公平な態度ではない・・・・・・、そういう風に感じられます。
「雪」の無邪気っぷりが最高っ☆
これはアニメでもなんでもなく、母親の愛情の物語ですな。
いや、夫婦愛だったり・・
親子愛だったり・・
兄弟愛だったり・・
男児の独り立ちのはなしだったり・・
女児の初恋のはなしだったり・・
・・するのだな*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
てか、蒼井優さん(本作には関係無いが)もだけど・・
宮崎あおいさんのCVは破壊的に素晴らしいぞ。・゜・(ノД`)・゜・。
あめとゆきの声優さん?も上手!!!
ジブリの没落(*風立ちぬ見ないと分からないが)により、危機が囁かれたジャパニメーションですが・・
いえいえ何の何の♪───O(≧∇≦)O────♪
マッドハウスもだし・・
プロダクションIGもだし・・
もちろん細田さんはじめ本作スタッフも!!!
素晴らしいです!!!
日本のアニメーションは大丈夫!!!
谷村美月さん。
●サマーウォーズに続き、こちらにまで(つД`)ノ
☆評価は・・
DVD新作300円基準で(*^^)v
DVD買う度 ◎◎◎◎◎
モ1回見たい度 ◆◆◆◆◆
おすすめ度 *****
デートで見る度 ◇◇◇◇◇
観た後の行きたい土地】
里山?山里?田舎に行きたくなります。
観た後の食べたい一品】
焼き鳥をタレで(≧∇≦)
こちら、伯爵准品質保証作品です♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪
泣きそうになった映画
自分の中で一番良かったシーンはラストシーン。
雨の遠吠えが「大丈夫だよ、心配しないでお母さん」と言ってるように聞こえて涙腺が緩む。
その後の花の「元気に生きるのよ!」で涙があふれそうに。
あの遠吠えひとつで雨がちゃんと大人のオオカミに育ったことを理解したんだなぁと。
そして映画が終わったあとに流れた主題歌、「おかあさんの唄」でラストシーンを思い出してまた涙が…。
一つ「ん?」って思ったのが雨の少年期が年齢の割に成長しすぎていたような…。
そこはオオカミだからなのかなぁと自分を納得させて。
でもやっぱり総合して考えるとよかったと思う。
また見たいと思える映画だった。
見たことのない時をかける少女やサマーウォーズを見ようかなぁと思えた。
最後にグッと泣けました。全編ほんわかな母親の愛
劇場は子供がグズル予想だったので・・・DVDを待ってました~。
子供と一緒に鑑賞しました。おおかみと結婚して
間もなく・・・死んでしまう夫。
残された妻はおおかみと人間の子供2人を一人で育てるんですが~
まだ・・・おおかみと人間とをうまくコントロールできない子供達。
おおかみになったり、人間になったり・・・
無邪気に騒ぐ子供達はとってもかわいかったです。
やがて・・・とある田舎に家を借りて生活を始めるんですが・・・
子供も成長して・・・姉は人間として・・・
弟はおおかみとして生きることを共に選んでいくのですが。
最後は弱虫だった弟が力強く・・・おおかみとなって山に行ってしまうんですが・・・
このシーンは子供も号泣。私も子を持つ母親として我が子が自立して
自分の元を去ってしまうのはせつなかったです。
全体的に映像美がとっても美しく、
草や風の香りが漂ってきそうな風景が印象的です。
最後の最後でグッと涙がでましたので
最後までストーリーに身を任せ
ゆったり楽しめる作品でした。
子供にもとってもおススメな作品です。
何回観ても飽きない
深イイでしょ!!
てっきりひっそり隠れて生活してたが狼人間とバレてあたふたする映画かと思った。
これは家族愛の話だな~。
雪の幼児期は育児あるあるすぎて笑った。
自我が出ると半分狼になる所がリアルにうちの子のイヤイヤのイメージそのままw
雨の夜泣きにクレームつける住人。
雪が乾燥剤飲んでしまう所。
あとは忘れたけど、育児の大変さをうつしてる。
狼人間とする必要があったか?とレビューに書いてあったけど、設定が人間だったら普通の地味すぎて退屈な映画だったと思う。
ただの客寄せ的な設定だと思うけど育児に対してはもの凄く共感できる。
雨が狼として生きる所は特に考えさせられる。
花の『山に行っちゃダメ!!あなたはまだ10歳の子供なのよ!!』は親が思い描いた生き方を子供に押し付けてるあたりが子離れできない親を想像させてくれる。
狼人間じゃなくても世の中には子供の自立に反対する親もいる。
『しっかり生きて!!』は子供の生き方、存在を認めた親の姿だと思う。
この作品は設定が飛び抜けてるのに内容がスローで、あえてそこがとても良いです。
ただなぁ~(。-∀-)
色々無理がある設定でモヤモヤw
シングルマザーで世間から閉鎖的で育児してたらイライラだってあるはずなのに花はいつも穏やかに子供に接する。
↑がなんだか人間らしくないし、嘘くさく感じた。
もっと苦悩とか花が弱音を吐くシーンを出しても良かったと思う。
いまいち
カ―タンの映画レビュー
見終わって、暫く経ってから感動する映画がある。
それとは逆に、観ている時は気にならない事が見終わって腹立たしくなってくる映画がある。
細田守が監督をした『おおかみこどもの雨と雪』は、まさに後者の映画だ。
本作には見終わって、となる部分が多い。
例えば、宮崎あおいが声をアテている主人公は奨学金とアルバイトで行っていた大学で、何故、正規の学生じゃない男をいとも簡単に好きになってしまうのか(影のあるイケメンだから)。
実は狼男である、そのイケメンは何の為に大学の授業に出席していたのか(あわよくば、交尾する相手を探してた)。
そして、何故、二人は避妊もせずにセックスをするのか(狼男に避妊の概念がないのかもしれないが)。
とにかく、そんな調子で物語はサクサクと進んでいく訳なんだけど、そもそも、このアニメは家族で観る事に適しているのか
なるほど、確かに、狼と人間の合いの子である雨と雪は可愛いかもしれない。
主人公が女手一つで子供を育てていく過程に感動もするだろう。
偏見や差別というテーマを深読みさせる細田守の意図も理解出来る。
いや、本作の真の狙いが偏見や差別だとしたら、尚更、狼人間という部分は要らないんじゃないだろうか(狼人間を在日三世や不倫で出来た私生児に置き換える事が可能だ)。
本作を観ていて、誰もが思い出すのがジブリの名作と言われる『となりのトトロ』だろう。
俺はアニメに詳しくはないんだけど確か細田守はジブリで監督する予定だった『ハウルの動く城』をクビになった筈
そして、その悔しさをバネに『時をかける少女』を作り、成功させたんじゃないのか
しかし、本作には『となりのトトロ』と、いくつか共通の匂いが感じられる。
一つは、本作の狼人間と同様、『となりのトトロ』がトトロを出さなくても成立する物語である点。
そして、もう一つが、嫌らしいマ―ケティング戦略の匂い――。
確かに『おおかみこどもの雨と雪』は良く出来た作品だ。
しかし、俺はアニメとして、本作を好きにはなれない
たまに暇な時見返そうと思える
想像していたものと少し違ったのでいい意味で楽しめました。
劇中に登場する様々な要素、描写に複合的な意味合いを感じますが現代社会に於けるあれやこれやっていうのは割愛しながら読み取ると、「母の生き様」という点を主題とした作品であると感じました。それは「花」「雪」「雨」という名前からも読み取る事が出来ます(考え過ぎか?とも思いましたが、まあそんくらい考えなきゃ映画とかつくれないっしょ)
設定としては「誰もがおおかみ」的な文脈を隠喩しているという解釈で間違いないかと思います。子供の人生は時として大人より過酷です。雪の「はやく大人(普通の人)になりたい」という台詞はそういった視点で見た時の子供の心情がせつなく表現されていてちょっと好きでした。
問題は「おおかみの子供産んじった!」っていう部分と「親子の成長のリアリティ」の調和のさせ方です。つまり、もしこんな事が現実にあったとしたらこんな風景があるよね?っていう描写。
極端な話この設定であれば生まれる前から子供達が子供を産むまで描ける部分はあるはずなのですが作中では雪が中学校進学するまでしか納めておらず、その中でも明らかに幼少時代の描写が執拗に施されています。嘔吐のシーンや授乳でちゃんと乳首も出すあたり、決して綺麗に描こうとはしていない意思を感じました。物語の焦点を「花」に合わせる意味もあったと思います。私的には「監督子供うまれたのかな?」って思いました。かと思えば「貯金だけであそこまでできるかよ!!」とか「そんな華奢な身体で畑仕事できねえだろ!!」とかツッコミどころも多々あって。うーん、つまり風景描写に偏りがあります。その辺は意見が分かれると思いますし、この作品に対してネガティブな感想を持っている方は描きすぎている箇所、ふわっとさせている場所が目についた、という意見が多いのかなとも思います。私は嫌いではないです。
蒟蒻シティー
オオカミの皮をかぶった底の浅い商業映画
まず、正直な感想としては「断片的なテーマをご都合主義でまとめた上にオブラートで包んだよくわからない映画」という感じでした。
細田監督が得意とするCGも多用していて映像は非常に綺麗なんだけど、とにかくテーマが不明瞭かつ不適切。
女子大生の主人公「花」は、学生でもないのに講義を受けている長身イケメンに恋をする。
イケメンは自分がオオカミ男であることを告げるが、そのまま愛し合って子供が生まれる。
本来、人とオオカミのDNAは構造的に異なっているのでどんなに頑張っても狼人間は生まれない。このあたりで「これはSFなんですよ」と視聴者にお断りを入れているわけだ。
それにしても、「俺はオオカミ男だ」とカミングアウトした男と避妊もせずに性交してしまうあたり、最近の女子大生の乱れた性を表現しようとしているんだろうか。
それにしても獣姦である。画面には裸の女性と狼が布団になだれ込むシーンが映し出され、序盤から居心地が悪い。
「そういうシーンを描かないと後半の説明がつかない」というのもわかるが、あえて描く必要性はあるのだろうか。長年タブーとされてきた獣姦を全年齢アニメで描くのは教育上どうなのか。少なくとも自分に幼い子供がいたら見せたくはない。飼い犬と性行為の真似事でもされたら大変だ。
なんというか、発想が同人誌レベルなのである。
その後、2匹のおおかみこどもを残して父親のオオカミ男は死んでしまい、母親はシングルマザーになる。
都会のアパート暮らしだったため、暴れる子供に隣人から苦情が来たり、事情が事情なために定期検診も受けないことを不審に思った児童相談所が押しかけてくるシーンは、現代の子育てのしにくさや虐待問題を暗に表現したいのだろうか。
結局、人里離れた田舎に引っ越すことになり、廃屋のようなところに住み始めるのだが、実際問題としてシングルマザーが(特殊なハンデを背負った)子供を人里離れた田舎で育てるというのは相当の苦労があるのではないか。
これは誤解を恐れずにあえて言うのだが、「特殊なハンデ」という意味では障害児を抱える親の子育ての状況とも受け取れる。
生まれつきの体の障害は染色体(遺伝子)異常によって引き起こされるのだが、異常な染色体を持った親からは同じように障害児が生まれてくる可能性が高くなる。
障害を持った人でも恋愛し、子孫を残したいと願う気持ちはあってしかるべきなのだが、そこに葛藤が生まれるというのはよく耳にする。「もし自分のような障害を持った子供が生まれてしまったら」という恐怖がつきまとう。
最近では「障害」と呼ばずに「個性」だという風潮もあるようだが、今回のおおかみこどものようにおよそ個性と呼ぶには特殊すぎるケースの場合、子育ては壮絶なものになるだろう。
「アニメだから」という理由でそのへんの苦労を難なくこなしてしまう母親は、男性の俺から見てもバイタリティあふれるスーパーウーマンに見えた。
監督が女性だったらもう少し違う表現になっていたかもしれない。というかそもそもテーマに選ばないだろう。
しばらくの間は「貯金で」子育てするという設定だが、役所の手当もなしに子供を小学校まで育てるのにどれほどの金が必要かを考えると相当額の貯金があったのではないかと思われるが、このへんも妙にリアリティがない。実家の親には子供がいることを報告しているんだろうか。
「となりのトトロ」に代表される自然をテーマにした作品は、環境問題や自然の大切さを問いかけてくるため家族で観やすいし、映画賞などでの評価も高いんだと思われるが、自給自足のために畑を耕し、地元の農家と打ち解けていくシーンは、田舎のすばらしさを表現したいんだろうか。狙いがよくわからない。
最終的におおかみこどもの二人は、女の子が人間の世界で進学するため都会で寮生活、男の子がおおかみの世界へ戻ることを決意して一家離散する。
母親は都会に戻ることもできたのだろうが、おおかみになった男の子がいつでも戻れるようにと田舎暮らしを続けているんだろう。
「しっかり生きて!」とこどもに声援を送る母親だが、これは視聴者の誰に対するメッセージなのか。
冷静に考えると、人間界での生活を選んだ女の子はいずれ恋をして、再びおおかみの子供を産むのだろうか。
そしておおかみの世界に戻った男の子はメスのおおかみと交尾して、やはりおおかみの子供を授かるんだろうか。
そのあたりの疑問をすっかり丸投げにしたまま映画は終わる。
ちなみに、おおかみの母乳は人間のそれと成分が異なるため消化できず、おおかみに人間の育児は生物学的に不可能なんだとか。
また、世界各地で報告されている「野生児」は、発見後数年で死亡してしまうケースがほとんどらしい。たいていの場合、育児放棄された子供が半野生化するのではないかと見られている。
SF作品にリアリティを求めるなと言われたらそこまでなのだが、この作品はリアルさを追求している場所がずれていて、しかも中途半端なので妙な違和感を感じる。
おそらくではあるが、映画の企画やストーリー作りの会議で
「おおかみと人の恋という設定はどうでしょうか?」
「最近は育児が色々と問題になっているので、そのあたりも散りばめて」
「自然も入れたいよね、壮大な山とか、雪景色で」
「小さい子が急に半獣化したらかわいいよね」
「子供は二人いて、それぞれ別の人生を歩むというのは」
「いいねそれ、子供の自立という暗喩になるね」
「リアリティは、ストーリーの邪魔にならない程度で」
「これでいきましょう」
みたいな打ち合わせがあったのが感じ取れてしまうのだ
利益回収が目的の映画産業ではよくある、ご都合主義のストーリーというやつだ。
何か1本筋の通った信念のようなもの(一番何を言いたいか)がないから、都合のいいシーンを無理な設定でつなぎ合わせて可愛らしい動物というオブラートに包むという。
まさにオオカミの皮をかぶった商業映画でした
「時をかける少女」や「サマーウォーズ」が良かっただけに残念。
ではでは
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