ふがいない僕は空を見たのレビュー・感想・評価
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踏みつけられても芽は伸びる
オムニバス形式で綴られる「生」を描いた作品。いずれの主役も好演。特に田畑智子は、やってることを考えると、そのキャラは本来同情しがたいものであるが、芯の強い存在感で、生きていくことの性、罪を犯しながらも生きていく姿を体現しており、キャラへの嫌悪感を打ち消してくれる。
窪田正孝のパートは印象的なシーンが多かった。チラシをばらまくシーンやおにぎりを貪るシーン、虐待された女の子の悪態シーンなど。
不幸な要素が多く、見てて少し疲労感も感じた部分もある。窪田、原田パートはもう少しコンパクトにしても良かったのかもしれない。
お母さんすごい。まじすごい
良かったなぁ。
小説を読んだときは「エロいなぁ」っていう以外あまり何も感じなかったんだけど、映画で観たらすごく良かった。
永山絢斗、田畑智子、原田美枝子、窪田正孝、三浦貴大っていうキャストも大好きな感じ!
みんな何かかしら闇を抱えまくってて、スカッとするキャラは梶原阿貴扮する長田光代くらい。
家庭訪問に来た先生に啖呵切ったシーン、超かっこ良かった!
最後、卓巳の引きつった笑いが印象的。
高校生だもんなぁ。マジでよく学校行けたなぁ。
暑苦しい言葉にはせず命の尊さや自分への愛を伝えてくれたお母さん、むき出しの感情をぶつけてきた福田、自分と同じように傷付きながらお互い一人で生きていく道を選んだあんず、それぞれへの想いが卓巳を立ち直らせたんだろうなぁ〜。
とにかく卓巳のお母さんの神対応がすごすぎる。
絶対ゲッソリしそうなのに動揺を微塵も表に出さず仕事に邁進し(そういう意味で仕事っていつか必要になってくるんだろうなぁ)、その都度いろいろ悩んではいるけど根本がブレない感じ。
卓巳のお父さんのくだりは必要だったんだろうか、、、あんな立派なお母さんでも完璧じゃないっていうことかなぁ。
そうだとしても事件直後、引きこもった息子に対して「そのうち出てくるでしょう」っていうスタンス、神社で「お祈りにきたら息子に会っちゃった」っていうセリフ。
世紀末的に気まずい状況に直面した母親の言動としてリスペクト以外の何物でもない。
私でもこんなうまく立ち回れるかなぁ、、、無理だよなぁ、、、
福田がお弁当を食べるシーンは泣きそうになった。
プライドとか見栄とかそんな悠長なこと言ってられない状況になってしまって。
でもやばい系の田岡さんが助けてくれて。
闇を抱えた者たちが寄り添いあって助け合って生きていくんだけど、ときにその闇があまりに大きすぎて綻びを修正しきれない。
田岡さんみたいに逮捕されてしまう人もいれば、福田みたいにギリギリのところで踏みとどまる人もいて。
なんかリアル。呑気に生きてきた私は経験したことのない生々しさ。
卓巳とあんずがいつかまたどこかで会えたらいいなぁ〜なんて思いましたとさ。
救いを求めた人達を鈍器で殴打!
パラレル・プリンセス・バージョンアップ!
何かに夢中になって現実逃避していた人達が、鈍器で殴られるような衝撃を受けて、現実に戻ってくるお話です。
子供ができないことを姑に責められ、決して守ってくれないマザコン夫に嫌気が差した里美(田畑智子)は、高校生の卓巳(永山絢斗)を誘惑し、自宅でコスプレセックスをしている(あわよくば卓巳の子を妊娠したいと思っている)。田畑さん、脱げる女優さんだったんですね!今後も頑張って欲しいです。
パラレル・プリンセス・バージョンアップ!は、里美がコスプレしている姫の変身呪文です。現実から妄想世界逃げ込む際の、切り換えの言葉です。
けれど妄想世界まで、意地悪な姑はずかずかと踏み込んで来る。
姑にプレイを盗撮され、夫も知ることになります。
離婚して欲しいというと、夫に動画をばらまくと脅される。強引に家を出ると、夫が妙なSNSにその動画を貼り付けて、結果、卓巳の学校まで知られることに。
痴呆症の祖母と二人暮らしの高校生の良太(窪田正孝)は、サラ金まみれの母にバイト代を巻き上げられる。鬱積した感情は、SNSに貼り付けられた卓巳の動画のコピーを近所に配って回ることで発散している。
でもバイト先で、年上男性と知り合う。
勉強を教えてくれ、祖母を父親の病院に無料で入院させてくれた彼は、なんと幼児へのわいせつ罪で逮捕されます。ね、鈍器で殴ってくるでしょう?
二面性!今更ですが、人間の複雑な心理に戦慄すら覚えます。
あの、救いを求めてはいけないのでしょうか?
なんとかかんとか生きていて、ちょっと光が見えたから手を差し伸べた途端に、鈍器!
現実から逃げる人達を、運命は嫌いなのでしょうか。
こうして首根っこひっつかんで、「現実に向き合え」というのでしょうか?
なんだか恐ろしくなりました。
勿論、それぞれに希望が見える終わりかたになっています。
だって生きるしかないもの。
全てを受け入れて、空を見上げて悟る。そんな作品でした。
出演陣は皆上手いが群像劇としてはバランスを欠いてる
出演陣は皆上手いのだが,群像劇としてはバランスを欠いているというか詰め込みすぎの印象.主役陣も熱演だったが,監督は窪田正孝などの周辺を描きたかったのかな.
追記】田畑智子さんのぬぎっぷりにただただ驚嘆(`´)!!!
さよならみどりちゃん・・での星野真理さん。 TAKESHIS・・での京野ことみさん。 そして・・本作での田畑さん! (※TANKAの黒谷さんはチト違う気がする・・。) 特に田畑さんの汚れっぷりは凄いぞヽ(^o^)丿 驚いた・・驚いた⌒(^・^)⌒ 映画の『スジ・脚本』としては・・ (原作書未読ですが)なかなか奥深い?まさに邦画向きなのかな?と思います。 星☆評価は・・ DVD準新作基準で(*^^)v③(旧作基準では④) DVD買う度 ◎◎◎◎◎(田畑さんの裸体が、絶妙に生々しい♪) モ1回見たい度 ◆◆◆◆ おすすめ度 *(※幸せな物語では無いかなぁ???) デートで見る度 ◇ 観た後の行きたいお店】 コンビニヽ(^o^)丿 劇中の・・オリジナルアニメソング??? 田畑さんの歌声、かわいかったヽ(^o^)丿 追記】】】 もう一度良く見直して・・・ なかなか良いな。と印象変わりましたヽ(^o^)丿 主人公あんずの気持ち・・分かりませんが・・、でも切なかったです。 再記ですが・・邦画ならではの秀作に思います(*^^)v
それぞれのどうしようもなさ
人は誰でもそれぞれに自分でもどうすることも出来ないどうしようもなさを抱えている。
里美にとってそれは間違った結婚だろうし、良太にとっては生まれ育った環境(父親の不在、祖母と良太を放ったらかして男に走った母親、貧困)だろうし、卓巳にとっては自分の本心さえ分からない自分自身だろう。
彼等のどうしようもなさを単純にくらべることは出来ないけれど、彼等はそのどうしようもなさをそれぞれに受け止めていくしかない。
登場人物は自分にとって決して身近な存在というわけではないけれど、観ているうちに彼等の気持ちに寄り添っている自分に気付く。それを可能にしているのは、それぞれの気持ちを丁寧にすくい上げるような脚本と演出だと思う。それに応えた役者陣も素晴らしい。特に、里美を演じた田畑智子と良太を演じた窪田正孝は強く印象に残る。
そして、忘れてはいけないのは、卓巳の助産師の母親の存在だ。
やっぱり、命預かる人の存在は強く大きくて、彼女自身の存在自体が何があっても生き続けるというメッセージになっていると思う。(助産院のみっちゃんの舌打ち、最高だったな!)
それぞれが静かに前を向くラストもいい。
性と苦悩と苦悩する生き方
コスプレSEXに耽る主婦と高校生、貧困に喘ぐ同級生…。 タナダユキ監督が、「俺たちに明日はないッス」「百万円と苦虫女」とは違う重厚な演出で、性と苦悩と模索する生き方を描いた群像劇。 登場人物がそれぞれ抱える問題は深い。 アニメとコスプレが好きな主婦・里美は、決して幸せとは言えない結婚生活と執拗に子作りをせがむ姑と不妊治療の重圧から逃避するように、アニメのイベントで知り合った高校生との情事にますますのめり込んでいく。 高校生の卓巳は、里美との関係に後ろめたさを感じ、一度は別れを決意するが、やはり忘れられずヨリを戻す。しかし、ネットで関係をバラされ、不登校になり、自分の殻に閉じこもる。 卓巳の友人・福田は、痴呆症の祖母と団地で暮らし、絶望的な貧しい生活の鬱憤を晴らすかのように、卓巳への嫌がらせを続ける。 息の詰まる閉塞感、周囲の偏見、思い通りにならない人生の不条理…。 体の関係でしか安らぎを得られず、心の闇を行動にする事でしか自分自身を見出せず、悲しみと孤独の中に呑み込まれていく。 やるせなく、痛々しいながらも、現状から抜け出そうと必死にもがく姿は、紛れもなく“生”への衝動だ。 コスプレ姿や全裸のラブシーンを演じきった田畑智子は賞賛モノ。毎日映画コンクール主演女優賞、キネマ旬報主演女優賞第2位は納得。無視した日本アカデミー賞は重罪。 葛藤を抱える高校生に扮した永山絢斗と窪田政孝の若手二人の佇まいも素晴らしい。 助演陣もナイスサポート。原田美枝子は助産師である卓巳の母を演じ、卓巳は母の仕事を手伝い、出産を通じて“生”への意味を大きく持つ。福田のバイト先の“ワケあり”先輩・三浦貴大も出番は少ないながら印象的。 感動とか清々しさとか爽やかさを感じる映画ではないが、痛切な余韻が深く残る秀作。
ふがいなくしたたか。
一見ふがいなさを抱えているように思われる登場人物たちだが、実のところ 腹黒くしたたかに生きてるのが最大の魅力。主演二人の全裸姿もお見事だが、 耐え難きを耐える窪田正孝が会心の演技。須らく生きて団地の外へ飛び出せ。 出所は選べないが人生は自分で決めろと空が語り、みっちゃんが律する快作。
WHAT A WONDERFUL WORLD!
人が己の意志の力で行動を選択して生きていくその人生の過程で遭遇する出来事を運命と呼ぶのなら、その人が生れ落ちる、この世に誕生してくる家庭環境や、国や時代も、肉体的条件などを含めたその総ての中で、自己の選択が不可能な出来事や、物事を宿命と呼んだら良いのだろうか? よく物の例えに、人は皆平等だと言われるけれども、人生で同じ環境と同じ運命を持った人間など存在しない事を思えば、人生に平等な事などどこに有ると言うのだろうか? 全く公平な事など有りはしない、不公平の塊で人生を始め、その不公平な生き難い人生を全うして行かなくてはならないのが人生なのだよな~とこの作品を観ていて、この不公平感を思う時、果たして人は本当に自分自身の選択の意志行動に根ざして生きているのだろうか?と終始答えの出る事の無い疑問の渦の中にスッカリ巻き込まれながら本作を観ていた。 と言う訳で、さすがは、2011年本屋大賞2位、そして山本周五郎賞も受賞した同名のこの原作はロングベストセラーに輝いていたが、なるほど心を揺さぶられる良い作品だったと言える。 映画の神様であるあのチャーリーチャップリンが、「人生とはクローズアップで観れば悲劇だが、ロングで観ると、それは喜劇だ」と名言を残しているけれども、さすがはチャップリンだ。彼の言葉は、この作品の登場人物のその総ての人間達の生き様にも当てはまる気がした。登場人物の皆が、それはまるで喜劇の様に、信じられない程に、生きるのが不器用な人間の物語が繊細に紡ぎ出されてゆくのだ。 ノックアウトをくらったような気分で映画を観終わったが、しかし同時に、気持の良い余韻を私の心に運んで来てくれる秀作だった。 主人公の卓巳を演じた永山君は瑛太の弟だったのだね、観ていてあまり似ている感じがしなかったけれども、ナイーブな年頃の卓巳を熱演して魅せてくれたのはとても有り難い本作の数ある収穫の中の1つだったが、彼の母親を原田美枝子が演じているが、この彼女のキャラが、ベタベタとしていなくて、さっぱりしていて、実に良いのだ。女親でも有るけれども、助産院を営みながら女手一つで、卓巳を育て上げる父の役目も併せ持つのだ。 そして、卓巳に、「あんたも、大切な命の1つなんだから、生きていてよ!」とだけ言い残し、後は全く説教の1つも無いのだが、その代わり男子高校生の息子に、自分の助産婦の仕事を出来る範囲で助手として使う事で、出産現場に立ち会わせているのだ。これほどに素晴らしい教育が他に有るのだろうか?そして卓巳と杏のコスプレエッチ写真や動画が流れた時に母親の助産院で働いている助手が「バカな恋愛をした事の無い奴なんて、この世の中に居るんですかね?」と言う場面が素晴らしいのだ。このセリフは、恋愛と言う言葉から、他者には理解出来ない、矛盾した愚かな行動と言うセリフに置き換えられる様に思うのだ。人がこの世で生きる事は本当に素晴らしく、輝かしい意味の有る事だと感動を新たにする!生きている誰もが、出産と言う苦労の末にこの世に誕生させて貰えるのだから、これを奇跡と呼ばずに何と呼べるのか?そしてその奇跡の力を信じて希望を持ち、空を見上げて生きて行きたいものだ。ふがいない奴などは、この世の中に本来は存在しないのだ。 みんな懸命に生きているのだ!例え愚かに人の目には映っていたとしても!
見ごたえあった
大変力のこもった作品で、出演者や作者の意気込みが伝わるし、印象的な場面やカットが多く充実した作品だった。しかし、出産や性について、前向きなメッセージがほとんど感じられなかった。生きているのが辛くてしかたがない、好きで産まれて来たわけではない、といった思いが丁寧に描かれていて、そういう作品なのだろうけど、自分とは意見が合わないと感じた。 アニヲタの田畑智子は見事な脱ぎっぷりで気合を感じさせる一方で、本当にアニメが好きでどうしようもないというような幸福と不幸と背中合わせで、しかし情熱たっぷりといったヲタらしさは全くなかった。そんなヲタばかりではないという意見もあるだろうけど、あまりに情熱が希薄でヲタを簡単に遊び道具にしている感じがした。 そして子供を本当に望んでいる登場人物が、田畑智子の義母や頭のおかしい妊婦だけだった。子供を本当に愛しく思いたい、家族が増える喜びに希望を抱いている登場人物が皆無なのはとても残念に思った。そこは大前提とした上で、様々な問題を描いてこそなのではないだろうか。 不幸で寂しい人の群像劇で、げんなりした。しかし、友達の流出画像をコピーして学校に撒き、それでいて彼の事を大事に思っているという描写はひどく矛盾たっぷりで、心が苦しくなる感じがすごくよかった。
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