ふがいない僕は空を見たのレビュー・感想・評価
全21件中、1~20件目を表示
弱い人間は逃げたくても逃げられないのか。
劇場公開時鑑賞。
複数のストーリーが関連している、好きなタイプのお話。素晴らしい作品だと思うが、ただし性愛の部分が個人的には雑味に感じられた。いい悪いはともかく、溺れてしまう/縋ってしまうのはわからなくもないが、オタク活動自体は単なる道具立てのように見えてしまい、必要性が薄く見えてしまった。
【”生きててね、生きてそこに居て”と不甲斐ない僕に母は優しく言った。今作は、生きる辛さを抱える人々を描くことで、逆説的に、この世に”生”を受ける尊崇さを描いた作品である。】
■無気力な高校生の卓巳(永山絢斗)は、友人に誘われて訪れた同人誌の販売会で、コスプレ好きの主婦・里美(田畑智子)と出会う。
卓巳は里美との肉欲に溺れていくが、同級生の七菜(田中美晴)に告白されたことで彼女との関係を絶とうとする。
しかし、ふたりの情事が里美の夫(山中崇)と義母(銀粉蝶)に知られ…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
ー 今作には、多くの厳しき日々を送る男女が描かれている。ー
・中々、子が出来ない事を義母に責められる里美。彼女は、その鬱屈した想いをコスプレにのめり込むことで、紛らわせている。そして、知り合った卓巳と男女の関係を持ってしまう。
- 銀粉蝶扮する義母の、彼女に子を要求する姿はホラーのようである。-
・里美との関係がSNSで拡散してしまった卓巳。彼は、学校に行けなくなってしまう。
・卓巳と仲の良い振りをしつつ、男に逃げた母の代わりに、認知症の祖母の世話をする、福田(窪田正孝)
- コンビニでバイトする彼は、卓巳の母(原田美枝子)が気遣って作ってくれた弁当を、無表情に捨てる。そして、賞味期限を過ぎた弁当も捨てる姿。自分が、食に飢えているのに・・。ー
・そして、福田は同じコンビニでバイトするどこか屈折しているあくつと共に、卓巳と里美のSEX写真を嬉しそうにばら撒く。
- 様々な鬱屈を、発散しているのであろう。-
・福田に対して、”学が必要”だと説く、コンビニのバイトの先輩、田岡(三浦貴大)。病院の息子で、金持ちだが彼も又、闇を抱えている事が彼の言葉と、その後に発覚した事実から分かる。
■前半は、観ていてキツイシーンが多いが、原田美枝子演じる助産婦でもある、卓巳の母の、巨木の様な”人間肯定的存在感”が際立っている。
彼女は、卓巳を責める事無く”生きろ”と励まし、認知症の祖母が水道を出しっぱなしにしてしまった、福田の家に弁当を届ける。(彼は、その弁当を貪り食う・・。)
<ラスト、卓巳は母の言葉に後押しされ、学校に行く。いつの間にか、横には福田が並走している。学校に付き、静まり返った教室で揶揄いの言葉を投げつけられるも、彼はその生徒の前に行き、照れ臭そうに微笑む。
そして、彼の担任の女性のお産のシーン。
卓巳は母たちの、助力もあり無事男の子が生まれる。
今作は、多くの生き難い日々を過ごす人々の姿を通じて、この世に”生”を受ける尊崇さを描き出した作品である。>
2.95タイトル負け
タイトルは5点、というかこのタイトルだけで飯が食える。
だが、内容は総じてあまりいいものではない。
個人的に良かったシーンは、何かを変えるために勉強するところ。そして、あの必死さはもし続くのであればあらゆる才能を凌ぐだろうと思った。
あと、「生きて、そこにいて」もいいセリフだと思った。
コスプレ変態ブタ女の話は割愛して、東京グール男の話に専念します‼️❓
自業自得の変態不倫話には興味がありません。
環境が招く不幸話には共感と同情とが交錯します。
短編を有機的に繋げる限界を感じます。
なんとなく見捨てがたい映画です。
トホホだけど、なんとなく、心意気だけ買いたいです。
監督、腐らず、頑張りましょう。
品質は低いですが、次があります。
演技は、良い、そう思います。
余韻に浸れる映画でした
出演者の全てが良かった◎
特に脇役、さいとう助産院で働く助産師のパワーあるセリフとド直球ナイスなツッコミ!あっぱれ!!
時々映る風景、夕暮れの空、電線、木々、、
初めはもの寂しいやるせない空も、だんだん青空になってゆく。
校庭でたくみとあんずの盗撮コピーを2人(窪田正孝と女友達)がばら撒くシーンは、凄く悪い事をしているのに、朝日の中でとても美しい描写に感じました◎
母役(原田美枝子さん)もとても素晴らしかった。
息子が不登校になり、ネットやポストに嫌がらせをされても、落ち着いていてブレないし、全ての子供が幸せになるように祈る。
自分だけ不幸な振りしてんじゃねえよ!!
すみません。
不幸な振りをしていました。
完全に濡れ場目的でこの映画を観たことも、この場を借りてお詫び申し上げます。
本当に、申し訳ございませんでした。
僕は、幸せでした。
この映画の主人公といっても決して過言では無い、団地に認知症の祖母と住む青年(窪田正孝)の台詞です。彼の姿が、頭に深く刻まれてしまった。
もう、不幸な振りをしないことを誓います。
周囲に不幸をばら撒いている、頭パッパラパーな方達に、ぜひこの映画を見て欲しい。
命とは、人間の命とは、いったい何なのだろうか?
不妊症の女性。授くことない命。
その姑。生まれてきて欲しい命。
団地に住む子供。望まなかった命。
それでも、どんな命でも、
この世に生まれてきたことは素晴らしい。
生きているだけで、ただ、生きているだけで良い。
それだけで、構わない。
生きよう。
濡場が多くて最初のほううんざりしかけたんだけど、あんずのバックグラ...
濡場が多くて最初のほううんざりしかけたんだけど、あんずのバックグラウンドが明かされていく辺りから引き込まれた。人生ハードモードの人ばかりで見ててしんどいんだけど、一方では救われるような。そんなお話。助産院の助手の女性の言葉がすごい好きだった。「バカみたいな恋愛したことないやつなんて、この世にいるんすかね。」そうだそうだ!
重いテーマのフルコース
序盤はほぼAVのように二人が絡み合ってます。
噂に違わぬ田畑智子の濡れ場でした。
この二人の馴れ初めの展開も、視点変えて映してるのが面白い。
やがてこの二人に問題が起きると、別の話が立ち上がります。
卓巳(永山絢斗)の同級生福田(窪田正孝)の貧乏話。
このエピソードが非常にリアルで訴えるモノが多い。
母は離婚して外に男を作り、呆けた祖母をバイトして養う高校生。
耐え難きを耐えているのに何も好転しない。
そして彼が、彼の母に発する。
「何でオレ生んだんだよ」
里美(田畑)は姑から執拗に子作りを要求されるも伴わず、
助産院の息子:卓巳は誰が好きなのか分からず、
福田は自分が生まれてきたことを恨み、
卓巳の母(原田美枝子)は助産院の非力さを感じながらも、
それでも生きることが大事と訴える。
生きることは辛いけど、生きていることが大事。
そのテーマを台詞無しで突きつけられた。
だからラストのお産で泣けた。非常に深い話でした。
一作の映画なのにオムニバス映画に観える作りもスゴイです。
なんで俺を産んだの?欲しがるの?
やるせない物語。なのに、鑑賞後は、ああ、また生きていこうかと、こんなどうしようもない現実なんだけど、生を讃歌したくなる作品。
映画のキャッチコピーが、鑑賞後に胸にジーンときた。性と生。切っても切り離せない、自分の意志だけでコントロールできそうで、できない複雑なもの。
そして、正義面する人の異常さ、後ろ指さされる人々の、その人なりの光の部分。
”男”を育てる母と、”お坊ちゃま(おバカちゃま)”をつくっちゃうママゴン、子を食い物にする妖怪。孫とペットと混同している婆。そしてこれから子を産もうとするおバカ男女ども。たくさんのどこにでもいる親子が出てくる。
どうしようもない、選べない現実の中で、それでもわずかだが自分で選んだ未来を掴もうとする、ほのかに希望が見えるラストが嬉しい。
演出的にも、時折挟み込まれる台詞がとっても効いていた。そしてやっぱり、福田の、助産師・助産師助手の言葉の重み。
とりあえず、パートナーはしっかりと選ばないとな。
バカな恋愛繰り返して、痛い思いして自分と向き合ってでないと本当の宝は見つけ出せないのだろう。
良い映画です。前半がもっと短ければ☆5つなんだけど…。
前半は良かったけど、
前半部分の田畑智子目線と永山えいと目線の話は凄くよかった。
後半からの窪田くん目線の話が、いらなかったその分長く感じたし、この映画に窪田くんの貧困エピソードはいらなかった気がする。
それがなくて、その分短くなったら凄くよかったと思う☆
ちょっと長かった
ちょっと長かった。
小説自体が連続短編になっているから、映画でも同じ出来事を視点を変えて描いている。だから体感時間が長くなったのかもしれない、と思って映画時間を見たら2時間は超えてて納得だった。笑
見終わってから知ったけど、「百万円と苦虫女」の監督の作品なんだ。
登場人物の行動にそれぞれ説明がなくても、演技と演出でそれとなしにわかるのが確かに似ている。
どしんっ
始めはただの不倫映画かと思いきや全く違いました。
皆それぞれにふがいなさを感じながら、それでも日々我慢して葛藤しながら生きていく。
ただ生きているだけで良いんだ、そんな勇気が貰える映画でした
俳優の皆さんの演技も上手すぎて現実を見てるかのようでした。
心が沈む…
なぜ逃げ出さないのか、鳥肌が立つシーンが多い…。
やり切れないことがいっぱいで心が沈む…
元気な時にしか見ちゃいけない作品だな(*_*)
と、思うくらい演技が素晴らしいってことね。
すごい世界観。
出演陣は皆上手いが群像劇としてはバランスを欠いてる
出演陣は皆上手いのだが,群像劇としてはバランスを欠いているというか詰め込みすぎの印象.主役陣も熱演だったが,監督は窪田正孝などの周辺を描きたかったのかな.
追記】田畑智子さんのぬぎっぷりにただただ驚嘆(`´)!!!
さよならみどりちゃん・・での星野真理さん。
TAKESHIS・・での京野ことみさん。
そして・・本作での田畑さん!
(※TANKAの黒谷さんはチト違う気がする・・。)
特に田畑さんの汚れっぷりは凄いぞヽ(^o^)丿
驚いた・・驚いた⌒(^・^)⌒
映画の『スジ・脚本』としては・・
(原作書未読ですが)なかなか奥深い?まさに邦画向きなのかな?と思います。
星☆評価は・・
DVD準新作基準で(*^^)v③(旧作基準では④)
DVD買う度 ◎◎◎◎◎(田畑さんの裸体が、絶妙に生々しい♪)
モ1回見たい度 ◆◆◆◆
おすすめ度 *(※幸せな物語では無いかなぁ???)
デートで見る度 ◇
観た後の行きたいお店】
コンビニヽ(^o^)丿
劇中の・・オリジナルアニメソング???
田畑さんの歌声、かわいかったヽ(^o^)丿
追記】】】
もう一度良く見直して・・・
なかなか良いな。と印象変わりましたヽ(^o^)丿
主人公あんずの気持ち・・分かりませんが・・、でも切なかったです。
再記ですが・・邦画ならではの秀作に思います(*^^)v
性と苦悩と苦悩する生き方
コスプレSEXに耽る主婦と高校生、貧困に喘ぐ同級生…。
タナダユキ監督が、「俺たちに明日はないッス」「百万円と苦虫女」とは違う重厚な演出で、性と苦悩と模索する生き方を描いた群像劇。
登場人物がそれぞれ抱える問題は深い。
アニメとコスプレが好きな主婦・里美は、決して幸せとは言えない結婚生活と執拗に子作りをせがむ姑と不妊治療の重圧から逃避するように、アニメのイベントで知り合った高校生との情事にますますのめり込んでいく。
高校生の卓巳は、里美との関係に後ろめたさを感じ、一度は別れを決意するが、やはり忘れられずヨリを戻す。しかし、ネットで関係をバラされ、不登校になり、自分の殻に閉じこもる。
卓巳の友人・福田は、痴呆症の祖母と団地で暮らし、絶望的な貧しい生活の鬱憤を晴らすかのように、卓巳への嫌がらせを続ける。
息の詰まる閉塞感、周囲の偏見、思い通りにならない人生の不条理…。
体の関係でしか安らぎを得られず、心の闇を行動にする事でしか自分自身を見出せず、悲しみと孤独の中に呑み込まれていく。
やるせなく、痛々しいながらも、現状から抜け出そうと必死にもがく姿は、紛れもなく“生”への衝動だ。
コスプレ姿や全裸のラブシーンを演じきった田畑智子は賞賛モノ。毎日映画コンクール主演女優賞、キネマ旬報主演女優賞第2位は納得。無視した日本アカデミー賞は重罪。
葛藤を抱える高校生に扮した永山絢斗と窪田政孝の若手二人の佇まいも素晴らしい。
助演陣もナイスサポート。原田美枝子は助産師である卓巳の母を演じ、卓巳は母の仕事を手伝い、出産を通じて“生”への意味を大きく持つ。福田のバイト先の“ワケあり”先輩・三浦貴大も出番は少ないながら印象的。
感動とか清々しさとか爽やかさを感じる映画ではないが、痛切な余韻が深く残る秀作。
ふがいなくしたたか。
一見ふがいなさを抱えているように思われる登場人物たちだが、実のところ
腹黒くしたたかに生きてるのが最大の魅力。主演二人の全裸姿もお見事だが、
耐え難きを耐える窪田正孝が会心の演技。須らく生きて団地の外へ飛び出せ。
出所は選べないが人生は自分で決めろと空が語り、みっちゃんが律する快作。
WHAT A WONDERFUL WORLD!
人が己の意志の力で行動を選択して生きていくその人生の過程で遭遇する出来事を運命と呼ぶのなら、その人が生れ落ちる、この世に誕生してくる家庭環境や、国や時代も、肉体的条件などを含めたその総ての中で、自己の選択が不可能な出来事や、物事を宿命と呼んだら良いのだろうか?
よく物の例えに、人は皆平等だと言われるけれども、人生で同じ環境と同じ運命を持った人間など存在しない事を思えば、人生に平等な事などどこに有ると言うのだろうか?
全く公平な事など有りはしない、不公平の塊で人生を始め、その不公平な生き難い人生を全うして行かなくてはならないのが人生なのだよな~とこの作品を観ていて、この不公平感を思う時、果たして人は本当に自分自身の選択の意志行動に根ざして生きているのだろうか?と終始答えの出る事の無い疑問の渦の中にスッカリ巻き込まれながら本作を観ていた。
と言う訳で、さすがは、2011年本屋大賞2位、そして山本周五郎賞も受賞した同名のこの原作はロングベストセラーに輝いていたが、なるほど心を揺さぶられる良い作品だったと言える。
映画の神様であるあのチャーリーチャップリンが、「人生とはクローズアップで観れば悲劇だが、ロングで観ると、それは喜劇だ」と名言を残しているけれども、さすがはチャップリンだ。彼の言葉は、この作品の登場人物のその総ての人間達の生き様にも当てはまる気がした。登場人物の皆が、それはまるで喜劇の様に、信じられない程に、生きるのが不器用な人間の物語が繊細に紡ぎ出されてゆくのだ。
ノックアウトをくらったような気分で映画を観終わったが、しかし同時に、気持の良い余韻を私の心に運んで来てくれる秀作だった。
主人公の卓巳を演じた永山君は瑛太の弟だったのだね、観ていてあまり似ている感じがしなかったけれども、ナイーブな年頃の卓巳を熱演して魅せてくれたのはとても有り難い本作の数ある収穫の中の1つだったが、彼の母親を原田美枝子が演じているが、この彼女のキャラが、ベタベタとしていなくて、さっぱりしていて、実に良いのだ。女親でも有るけれども、助産院を営みながら女手一つで、卓巳を育て上げる父の役目も併せ持つのだ。
そして、卓巳に、「あんたも、大切な命の1つなんだから、生きていてよ!」とだけ言い残し、後は全く説教の1つも無いのだが、その代わり男子高校生の息子に、自分の助産婦の仕事を出来る範囲で助手として使う事で、出産現場に立ち会わせているのだ。これほどに素晴らしい教育が他に有るのだろうか?そして卓巳と杏のコスプレエッチ写真や動画が流れた時に母親の助産院で働いている助手が「バカな恋愛をした事の無い奴なんて、この世の中に居るんですかね?」と言う場面が素晴らしいのだ。このセリフは、恋愛と言う言葉から、他者には理解出来ない、矛盾した愚かな行動と言うセリフに置き換えられる様に思うのだ。人がこの世で生きる事は本当に素晴らしく、輝かしい意味の有る事だと感動を新たにする!生きている誰もが、出産と言う苦労の末にこの世に誕生させて貰えるのだから、これを奇跡と呼ばずに何と呼べるのか?そしてその奇跡の力を信じて希望を持ち、空を見上げて生きて行きたいものだ。ふがいない奴などは、この世の中に本来は存在しないのだ。
みんな懸命に生きているのだ!例え愚かに人の目には映っていたとしても!
全21件中、1~20件目を表示