「ウォール街の力学」マージン・コール odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ウォール街の力学
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サブプライム・ローンへの投資を証券化し金融商品として取引可能にしたサブプライム・モーゲージは金融工学による巧妙なリスクの分散、不可視化を図った画期的な商品だったが当初から関係者の間では危険視されていたとリーマン・ショック後の報道で知った。金融危機を描くならその辺の舞台裏を描いた方が興味深いが本作では破綻の危機を前にした投資銀行の幹部の落胆と葛藤の様を描いている。銀行ものだからと言って間違ってもNYの半沢ものなどと期待してはいけません。
ケビン・スペーシーだから何か秘策があるかと期待したが、ウォール街の力学に屈してしまった。
脚本・監督のJ・C・チャンダーさんの父はNYの投資銀行家だったので、いくら映画でも青臭い嘘は描けなかったのでしょう。
余裕もなく小心者の私としては金融投資関係は余り縁のない世界なので登場人物に対してのリアリティは云々できないが理工系の秀才がかなりいるらしいとは聞いたことがある、上層部は如何にもという人物像、もっともCEOはリーマン・ブラザーズの元CEOを暗喩しているようです。
確かに解雇は身につまされはしますが証券関係は景気次第で待遇が極端な業界なので致し方ない気もします。
首元まで資本主義経済にどっぷり嵌っているご時世では善悪で描ける単純な話では無いですし謎のUSBなどとサスペンス風に入ったものの、それほどの盛り上がりにも欠けている、いわばドキュメンタリードラマを観ている感じというのが正直な感想です・・。
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