「おじさんかわいそう」アーティスト 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
おじさんかわいそう
マンガ家とはいえ人気商売の端くれなので、落ち目の惨めさは非常に身につまされる問題だった。どの映画を見てもそういった境遇で描かれるのはもがけばもがくほど泥沼で、この映画でも底なし沼に沈む場面で自ら描いている通りであった。そんな落ち目の場面で新作映画がスカスカの客入りだったが、新潟ではアカデミー賞を取ったこの映画自体の客入りもレイトで5人、結末のハッピーなダンスも全く祝福できない気分だった。
サイレント映画で物語りに集中できるか不安だったけど、そんなことは全くなく最後まで楽しめた。特に犬がとてもかわいかった。ヒロインは顔立ちがギスギスしていてスターのオーラがまるでないのが残念だった。絵作りや演出など美意識が徹底していたけど、それが好みかどうかはまた別問題で、しかしそれでも重厚な感じはお金を払って映画館で見てよかったな~と思えた。
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