アルゴのレビュー・感想・評価
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陳腐だけど「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉がピッタリ
CIAが18年間隠し続けたイランからの外交官救出作戦と言う事実を下にした映画です。
1979年11月4日に発生したイランアメリカ大使館人質事件の裏に、こんな物語が隠れているとはねぇ。カバーとして使った身分が、映画撮影スタッフと言う事で、荒唐無稽で、コミカルな印象を受けますが、実際には緊迫感溢れるものでした。
イーグルクロー作戦の失敗はよく知られていますが、こんな作戦があったとは。もっとも、成功したこの作戦が、アメリカの成功として日の目を見ることがあまりなかったのは、容易ならざるこの作戦に協力をしたカナダの成功として当初は語られていたためでも有るのだと思います。それ抜きにしても、在イランカナダ大使は、自ら&家族&大使館職員の身を危険に晒してでも6人を守ったと言うのは賞賛されるでしょうね。
多分、映画向けに物語は脚色されているので、特にラストがアレほどまでにギリギリだったのかはちょっと眉唾なところはありますが、それでも、周りは全て敵という状況の下での救出作戦は緊迫感があります。ずーっと、ドキドキしていましたよ(苦笑)。
ところで、監督・主演のベン・アフレック。一時は、イモだなんだと言われていた頃があるんですが、この作品ではその評価は当てはまらないかな。かなりいい作品を作ったと思います。
エンドロールに、当時のアメリカ大統領であるジミー・カーター氏のコメントが流れます。それはそれで、中々凄いです。
あ、それと劇中でよく語られる言葉に「Argo, f●●k yourself!」と言うのがあるんですが、これってアメリカではピー音が流れるんでしょうかね?
ポスト、クリント・イースト・ウッド
ノンフィクションの映画が、フィクションに思えるのがものすごい。
とてつもなく長い年月をへての救出。
本人達はそうとう精神的にきつかったんだろうな。
偽物の映画アルゴ作戦が奇跡的に思いつきでの救出劇は、本当の映画みたいだ。
役者や風景が良く似ていた。
ベン・アフレックのこの作品におけるリサーチ力は半端じゃない。
ベン・アフレックにはこの調子でこれからも映画を作り続けてほしい。
途切れぬ緊迫感。アルゴ撮影隊の大脱出!
1980年、革命に巻き込まれたイランの米大使館員達を国外脱出させる為、
CIAが彼らを偽SF映画の撮影隊にでっち上げたという実話を映画化。
この劇中に登場する偽映画『アルゴ』、偽チューバッカやら偽C-3POが登場する
安い『スターウォーズ』みたいな映画なのだが(笑)、
それはあくまで偽映画の話。本作自体は文句ナシに面白い!
スゴいね、ここまでスリルとサスペンスが持続する映画は久々でした。
派手な見せ場はほぼ皆無なのに、中弛みは一切無し。
冒頭の大使館襲撃シーンから終盤まで
ピンと張り詰めた空気を維持し続けた手腕は見事。
一番怖いのは、現地の人間が何を考えているか、いつ爆発するか全く予測できない所。
自分は正義だと信じる人間が集団になった時の暴力性といったら無い。
刺すような視線、街中の首吊り死体、群集の中を車で進むシーンの恐ろしさ。
相手が現地語を理解できようができまいが関係なしに、
一方的に自分の主張を押し付けてくるのも恐怖だ。
おまけに『アルゴ』作戦を疑問視するCIA内部の人間によって、脱出はますます困難な状況に……。
クライマックスはそれら幾つもの危機的状況が秒刻みで襲い来る。
観ているこちらの呼吸まで浅くなるほどの、凄まじい緊張感!!
主人公の上司や、作戦に最も懐疑的だった大使館員が奮闘するシーンは感動モノだった。
実際にあそこまで危機一髪の状況だったのかはかな〜り疑問だが、
サスペンス映画としては大正解なので無問題ッ!(笑)
にしても皮肉なのは、
敵も味方も皆、メディアに踊らされて右往左往してる点。
事の発端は米英がイランを支配する為に擁立した傀儡政権のトップが強権的な男で、
更には急速に欧米化を進める姿勢がムスリムの反感を買った為だった。
米英にしてみれば、人心を掌握できる体(てい)の良い偶像を仕立て損ねた形。
また、大使館を占拠したイランの過激派はメディアを
利用して自分達の正義を主張し、要求を通そうとする。
そして主人公らも、映画やマスコミをフル活用して大使館員を救おうとする。
メディアというものがどれほどの影響力を持ち、そしてそれが現実でどれほど利用されているか……。
考えてみると恐ろしい。TVや新聞に一度載ってしまえば、
それがどんな大法螺でも、何だって事実に見えてしまうのだから。
以上!
緊迫感溢れるサスペンスが観たいという方にオススメですよ。
<2012/10/27鑑賞>
地味だけど面白い。
持続する適度な緊張感の中に、
アメリカのヒーロー精神と、
互いを受け入れる寛容の必要性を、
"映画のチカラ"でまぶして巧みに織り交ぜたスリリングな脱出劇。
派手さは無くとも、
堅実な見応えに満ちていた。
★エンドクレジットの合間に元大統領!
人質解放作戦の帰趨もハラハラドキドキの連続で抜かりはなかったものの、本作の真価は、主人公の心理描写が素晴らしかった
本作は、1979年イランで起こった米国大使館人質事件を題材にした実録サスペンスです。20年前に起こった事件なのに、先日のカイロの米国大使館を彷彿させて、昔の出来事とは思えない緊迫感を感じさせてくれました。カイロでは犠牲者が出ただけに、イランでの米国大使館襲撃で、誰も死者が出なかったことが奇蹟に近いと思います。
アフレック監督は、当時の映像をふんだんに使い、まるでドキュメンタリーのように、いやもっと生々しく、タイムマシーンで当時の報道番組を見ているかのように、忠実に事件のあらましを再現していました。そのこだわりは凄まじくも、エンドロールで綴られる当時の本物の写真と本作の比較するシーンでは、登場人物も、背景となる街角も、描かれるエピソードも、かなり精巧にそっくりに再現されていることに驚かされました。
そのこだわりになかに、アフレック監督が映画製作にかける熱いパッションを感じずにいられません。抜群の臨場感ときめ細かいストーリーテーリングを堪能しました。お勧めの作品です!
さらに事件のあらましの全体像を進めつつ、個々の登場人物の心理描写にも手抜かりがないことが、アフレック監督作品の演出の凄いところなんです。本作でも特徴的なのは、主人公のトニー・メンデスのエモーショナルな心の動き。人質救出の発案から実行まで、全てトニーが軸になって活躍するので、その部分だけでも充分なのに、伏線として彼の個人的な家庭事情も挿入。妻や愛する息子と別居状態にありながら、命がけのの任務に赴かなければいけない葛藤の表現が素晴らしいのです。自分はこれから死ぬかもしれないというのに、その大事なことすら、愛する家族に伝えられないことがいかに辛いことか!
人質解放作戦の帰趨もハラハラドキドキの連続で抜かりはなかったものの、本作の真価は、トニーの誰にも語れない孤独なこころの描写に尽きると思います。だから、任務が終わって、国家から内密に勲章が授与されることになっても、それよりもトニーのこころが動いたのは、いつもと変わらない平穏な家族との再会だったのです。
妻や息子からすれば、パパがどんなに危険な仕事を終えてきたのか知らないわけで、そこだけ見る分には、何気ない普通の出来事にしか見えません。しかし、トニーと共に過酷な人質救出作戦を一緒に体験してきた観客としては、息子を抱きしめるトニーの深い安堵の表情に感動を禁じ得ない訳ですね。小地蔵なんて、目がウルウルしっぱなしでした。
どんなに過酷なクライム・サスペンスを描いていても、決してロマンティック・ドラマを忘れないのが、アフレック監督の真骨頂なのだと思います。
物語はカナダ大使邸に身を潜めた大使館員6人を救うため、CIAの人質救出のスペシャリストであるトニーが呼ばれます。散々既存の対策案を批判するトニーだったのですが、彼にも有効な対策が全く思いつかなかったという実情には驚きました。
時間だけが空しく過ぎていくなかで、イラン政府はシュレッダーにかけた職員名簿を、国内の児童を総動員して、人海戦術で復元していきます。このままでは、6人が大使館から逃げたという事実が明るみに出るのは時間の問題ということが描かれて、ストーリーは次第に時間と争うクライム・サスペンスと化していくのでした。
さて、奇想天外なニセ映画計画は、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか。確実でいて、微妙さを大切にするアフレック監督は、手抜きせず描いていきます。
専門家のトニーでなくてもずさんに思える政府の救出案の議論。それだけにトニーの苦悩も深まるばかりでした。だからこそ、人質救出作戦のアイディアを思いつくひらめきの瞬間は、なかなかの名シーンだと思います。ネタバレすると、息子の勧めでテレビ放映されていた『猿の惑星』を見て、これだと偽装を思いつくわけです。それにしても要所で、家族との関係をぬかりなく絡ませてくるのですね。
トニーは、『猿の惑星』の特殊メーク担当者であるジョン・チャンバースを訪ねて、レスター・シーゲルというプロデューサーを紹介してもらいます。このふたりがタッグを組んで、ニセ映画の実務を担っていくことになります。ふたりの会話は実に愉快で、自分たちの映画作りを卑下するブラックユーモアに富んでいました。だから、ふたりと打ち合わせのため、トニーがハリウッドに滞在するシーンは、人質事件の緊迫感とはまるで別世界の脳天気さ。アフレック監督は、深刻化する人質事件とまるで緊迫感のないハリウッドを交互に描き、対比。ニセ映画作戦のあり得なさを際立たせるのでした。
トニーがイランへと足を踏み込めば、ドラマは再びシリアスな展開へと戻っていきました。
本国では、派手な記者発表を開き、それに基づく記事が各メディアで出て、イラン当局の撮影許可も取れるなど、偽装映画の仕込みは順調に進んでいきます。しかし、実際に現地に入って、カナダ大使館に潜伏する6人を、ロケハンクルーとして偽装し、連れ戻す作業を担当するのは、たったひとりトニーの仕事でした。現地でバレたら命はありません。 出発前夜のトニーが悲壮感を浮かべるシーンも、なかなかいい演技でした。けれども弱腰の政府は、直前になって計画を撤回。現地に入っていたトニーに帰国命令を出します。6人の帰国に必要な航空券も、ドタキャンされてしまいました。
絶対絶命のピンチに立たされるなか、それでもトニーは独断で計画を強硬しようとします。同時並行でイラン当局は6人の存在に気付き、カナダ大使館を捜査。ニセロケハン隊の行方を追い始めるのです。そこからは秒単位での紙一重なすれ違いシーンの連続で、ドキドキハラハラのしっぱなし!クライマックスとなる空港での手に汗握るスリリングな出国シーンが、とにかく圧巻でした。飛行機が離陸する瞬間まで、あわやと思う感じだったのです。
【実話】の強みが発揮された作品
これは良い方向に想定外の面白い映画だった♪
キャストは主演・監督のベン・アフレックの他は今ひとつパッとしなくて、プロデューサーのジョージ・クルーニーが一番メジャーという(笑)
プロモーションも地味で、ほとんどCMや広告も見ないし、まさに【B級】臭がプンプンの映画だと思ったよ(笑)
それが、実際観てみると、予想以上に楽しめた内容だった。約2時間があっという間に過ぎた感じだね。うん。
そもそも題材が良かったよね。
まるで嘘のようなドラマチックな展開でありながら、これがまさかの実話だという...。
ちょっと無茶な設定は、フィクションだったら「ありえねー」と興醒めなのだろうけど、【実話】という前提があると良い方向に作用するんだよね。「え?無理だろ?!」ってハラハラする結果となって。
嘘のような救出・脱出劇が展開されるストーリーは目が離せない感じだったよ。
ただ、惜しいのは、メリハリが弱かったことだな。
主演のベン演じるCIAエージェントの「ヒーロー像」を強調するならもっと突っ込んで描いて欲しかった。
脱出するチームの姿をフィーチャーするなら、もっとその葛藤や苦労、メンバーのパーソナリティを見てみたかったところ。
結果的に事実のストーリー展開を追っていくに終始してしまって、映画としての面白味に欠けるんじゃないかと感じたよ。ドキュメンタリー映像ではないのだからね。
尺が足りないのだったら、本国の協力者やCIAという組織のゴチャゴチャはあえて切り捨てて、シリアスな脱出劇にもっと時間を割いても良かったのではないかと思ったな。
でも、何といっても「ウソのような実話」の脚本は強かったな☆
ストーリーとスリルを楽しむ映画
実話をベースにしているということで、
観終わった後は、本当にそんなことがあったの?という感想である。
前半の大使館占拠はありそうな話であるが、
その後の話はちょいと考えられない。
ましてや、天下のCIAが関係してそんなことするの~という内容である。
日本だったら国民を愚弄して云々と議論がありそだ。
前作の「ザ・タウン」ほどのスリルと緊張は味わえなかったが、
それでも、かなりハラハラする映画になってます。
是非、観てください。
上質なスリル感
10/5のワーナー・ブラザース試写室で観ました。実話ベースとのことですが、ある程度、当時の時代背景を知っていると、より楽しめます。
当時のファッション、インテリア、小道具等に至るまでのディテイルにこだわる姿勢は、脱帽です。
使命を果たすために命を懸ける現場と、責任を取ると、一旦、決めたら、決してぶれない上層部(国務長官、CIA長官、そして、大統領!)。
何も決められないどこかの国の内閣と比較してしまいました。
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