「この地方検事の人柄があっての一本」とらわれて夏 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
この地方検事の人柄があっての一本
<映画のことば>
被害者の心理は複雑なものです。頭を整理するのに、数年かかる。
今の主張を記録に残す前に、実際に何が起きたか、よく考えては?
脱獄犯を匿うのは重罪です。
子供に違法行為を強要すると、養育権を失うことにもなる。
もちろん、やってることを見れば、もろに匿ってしまっているのですよ。アデルとヘンリーは、脱獄犯のフランクを。
しかし事情聴取を進めて、フランクとアデル・ヘンリーとの本当の関係性に気がつくと、そのままストレートに、アデルとヘンリーがフランクを匿った犯人と決めつけることには躊躇を感じたのだろうと思いました。くだんの地方検事は。
それで、やんわりとはぐらかして、結局はアデルの供述を調書化して、証拠として残すことをしなかった…そんなところだろうと理解しました。評論子は。
評論子が在学した学校(大学法学部)の刑法の教員が、まるで壊れたテープレコーダー(今風にはICレコーダーというへきか?)のように、「法律の解釈・運用に携わる者は、斬られれば赤い血が流れる人間でなければならない」という趣旨のことを、繰り返し繰り返し言っていたことが思い起こされます。もう20年近くも前のことになりますけれども。
そういう言い方をするならば、きっと、「斬られれば赤い血が流れる」ような人柄だったのだろうと思いました。この地方検事は。
見終わって、なんとも温かな気持ちになれるのは(『エヴァの告白』の入国管理官?とは好一対の)この地方検事の温かな対応というのか…粋な計らいというのか…それによるんだろうなぁと思います。
そういう視点からも、佳作であったと思います。評論子は。
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