「人間は、どのタイミングで大人になるのだろうか・・・」ヤング≒アダルト スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
人間は、どのタイミングで大人になるのだろうか・・・
主人公のイタイ女メイビスに、全面的に共感は出来ませんでしたが、でもどこか否定できない自分もいる的な、そんな微妙な線をうまく突いた映画だったなと思いましたね。
人生の勝ち組になれるのはほんの一握りの人間だけで、後は私も含めて大なり小なり人生の負け組に位置している訳ですが(その基準は人それぞれですが)、分かっていても地元の同級生に私負け組ですと認めることはまあ簡単には出来ないもので・・・。
だからと言ってメイビスのような行動も取りませんが、ありえない、イカレてると単純に笑うことも出来ないような、何とも心締め付けられる映画だったなと思いましたよ。
特にメイビスのようにあの美貌で、学生時代は女王の座に君臨していた女性だったら、尚更のことでしょう。
しかしそれを演じたのがあのシャーリーズ・セロンと言うのが、また何とも説得力のあるキャスティングでしたね。
今でも物凄い美貌ですが、学生時代は間違いなくクイーンだったと想像出来ますもんね、まさに近寄りがたいぐらいの美貌・・・周りからやっかみを受けるのもそれは勿論納得と言うか、高ピーな性格にもなりますよ、あの美貌なら。
ただ、現実を見ると、イタい、イタ過ぎる・・・37歳であの思考ですよ(苦笑)
きっと現実になかなか直面しない職業だったからこそ、現実を認めないまま今まで来てしまったのでしょう。
どうやったら元カレから子供誕生のメールを受け取ってあんな行動が出来るんだ・・・。
しかしまあここまで突き抜け感があると、憎めない、どころか愛着すら湧いて来るから不思議なものです、そこはジェイソン・ライトマン監督の手腕もお見事だったと言えるでしょう。
勿論シャーリーズ・セロンが演じたから憎めないのであって、現実的にはもはやサイコです・・・が、よくよく考えるとメールの送り主も・・・とにかく女って怖い生き物ですねぇ。
そんなメイビスの心を救う存在となった、学生時代はいじめられっ子で最下層に位置していたマットとの交流は(その妹も含めて)、この映画の肝と言えましたね。
そこを経て最終的に彼女が辿り着いた境地は、よくある成長物語とは違った彼女らしいラストシーンで、とても印象的でした。
マット役のパットン・オズワルトが、ホントいい味出してましたね。
彼の作るあの秘蔵酒を、一度味わってみたい(笑)