「映像は迫力満点」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は迫力満点
レンタルDVDで前後編まとめて鑑賞。
始まってすぐ、原作と世界観がずいぶん違うことに気づく。エレンが不発弾の上に立っている。
不発弾!そういうモノがある世界なんだ。壁が壊されるときも、ヘリコプターなんぞが壁から落ちてくるし。
それから人類はそもそもこの100年、巨人と接触しておらず、調査兵団なんてものは壁が壊されてから結成された軍隊で(立体軌道装置も壁の破壊以降にハンジによって開発された)、しかも既に全滅してしまっている。
すなわち、エレンたちが入隊したのは確かに軍だが、兵士としてではなく単なる作業員として、なのだということ。
(DVDの字幕を表示させて見ていると、エレンの仲間たちに『作業員』と表示されている)
ということを踏まえれば、この映画に多く見られる「こいつら、なんでこんなにバカなの?」という批判は、「エレンたちは兵士ではなくただの作業員だから」統制がとれてなくて当たり前、ということになる。
でもさ。
そういう変更をしたのなら、しつこいくらいに説明しておかなくてはならないでしょ。
でもそれならなぜ彼らが立体軌道装置を装備しているのだ?という疑問も湧いてくるけど。
巨人の映像は見事。
超大型だけでなく、無知性巨人のただのおっさんおばさんぶりも含めて、映像的な表現は文句なし、と言って良いと思う。
ただ、巨人の恐ろしさ、巨人に対峙した時の人間の恐怖については、ずいぶん薄められてしまった。
熟練の兵士がチームで当たっても勝てるとは限らない巨人が集団で現れたときの絶望感がない。
地面で、しかも斧で巨人に立ち向かったりするやつがいるのが原因だが、それにしてもそいつが巨人を素手で投げ飛ばすシーンは何の冗談だ?
このシーンを見た時点で、制作陣がこの映画をマジメに創っていないことが感じられてがっかりした。
アルミンを庇って食われるエレン、絶望するミカサの眼前に現れるエレンの巨人、胴体が千切れて事切れた彼氏を錯乱して介抱する彼女など、原作から引用したシーンも多いけれど、銃で自殺する兵士のように、必然性がない場面で引用だけしてみました、ってシーンもあったりする。わざわざ叫んで巨人を呼び寄せてしまうエレンを見るに至っては、制作者が原作をリスペクトしているのかバカにしているのか分からなくなってくる。
ま、結論は後編を見てから、かな。