劇場公開日 2015年8月1日

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「駆逐されるはどちら側か」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5駆逐されるはどちら側か

2015年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

まずは、簡単に一言。「普通に面白かった」ですかねぇ。うん。普通に、面白かった。

ん~~、いや、あの、もう『進撃の巨人』って言ったら発行部数が累計ンー千万部の圧倒的超絶的人気を誇るモンスターコミックでしょ。それを原作としたのが今回の実写映画な訳で。
で、だから当然、賛否あって当たり前。
熱烈な原作ファンからの熱い?厳しい?視線がどっち側に転がって評価されるか?賛なのか?それとも否か?というのは、もうどの原作付き映画にもやってくる試練で、どうしたって一回は潜らなきゃいけない通過儀礼。エンカウントは絶対に免れないっていう、まあそういう部分ですわな。
それで、じゃあ実写版『進撃の巨人』はどっちなのか?となると、絶賛の方々より批判の方々の方が多いのか?てのはちょっと判断付きかねますが、まどっちにしても批判側の声が最も大きかったのは確かじゃないかなと(自分がネット媒体やSNSの感想から受けた印象では、てことですけど)。

「設定変えるな!変えるにしてもこんなんじゃ納得できない!」「なんでリヴァイ兵長出さないの!?」「こんなの俺の(私の)思ってた巨人と全然違うし!」「立体機動装置の動きがダメ!なってない!なんだありゃ?」「ミカサなんであんな感じにしたんだよ!?」等々。
ありゃ~、これは痛恨だなあ。反感買っちゃったなあ、という印象で。

あー、いやすいませんね。「で?だからお前は何が言いたいの?」て話ですよね。「貴様の感想を言えよ」って話ですよね。はいはい。
えー、こんなこと言うと暴言にも取られちゃうかもしれませんけど。「一回、その垣根を取っ払ってみませんか?」てちょっと思ったんですね。いや、取っ払わなくてもいいか。えーっと、そうですね。
自分、もう原作のことは無視して鑑賞したんですね。自分もちょっと原作齧ってはいるもんですから、大体の内容と大体の主要人物(エレン、ミカサ、アルミン、ハンジ辺り)は把握してますし、確かに劇中「はあ?なんだよそりゃ」て思った部分もあります。ありました。

それでも、まず物語冒頭の牧歌的な街並みの作り込みには感心したし、巨人のスケールには驚かされたし、無慈悲に人間が捕食される描写も、極端なグロは避けつつもしっかりと描いてるし、何よりもクライマックス、エレンの巨人化暴走には熱くなりましたよ(逆に原作読んでない人には何のこっちゃ分かりませんよね)。

つまりは「普通に面白かった」と。まあそういうことなんです。

ただね、ちょっと今回思ったことがあって。いや、今回も思った、ていうのが正しいのかな。
この『進撃の巨人』に限らずなんですけども。邦画の大作映画ってのは、こう規模が大きいことだけに捉われ過ぎてませんか?と常々感じていまして。小さい部分、局所的な展開を割りかし大雑把に描いちゃうというか。
んー。んーなんと表現したらいいのかな。とても難しいとこなんですけども。もう少し俯瞰鳥瞰の視点から一回物語を見渡して、なるべく小さい部分を丁寧に足していってもいいんじゃない?て。
こういう部分でハリウッドって名前出してアメリカ大資本と比べてしまうのもアレなんですけど、向こうさんの大作に勝てないのは、そういう部分も多分にあるんじゃないの?て、今回も思っちゃいました。今回も(怒らないでくださいね)。

以上です。

ロロ・トマシ