「ひと捻り効いた“大逆転”」鍵泥棒のメソッド arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
ひと捻り効いた“大逆転”
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立場が入れ替わるという物語は『王子と乞食』に始まり、映画では『大逆転』とか『フェイス/オフ』とかたくさんあって、これもその系譜かと思いきや(何せ片方は記憶喪失って韓国ドラマかと思いましたよ!)そこは『運命じゃない人』の内田けんじ監督、ひと捻り効いた“大逆転”になっていた。
凄腕の殺し屋と思われる男と売れない役者で世を儚む男が銭湯で偶然出会って立場が入れ替わり、そこに堅物の恋愛音痴な女が絡んで、ストーリーは二転三転。
“大逆転”の物語ならこの女はどう絡んでくるのかと思ったら、まさかラブストーリーに着地するとは意表を突かれた。
『半沢直樹』の功罪かすっかり“デキる男”のイメージが出来上がってしまった堺雅人は売れない役者といわれてもちょっとピンと来なくて(勿論悪くはないのだが)正直他の俳優(もっとダメ男がしっくりくるような)でもよかったかもしれない。しかし、殺し屋(実は便利屋)の香川照之はやっぱり上手いわ、この人!凄腕の便利屋の時と記憶を失ってからのギャップの演じ分けはさすが。
恋愛音痴の堅物女の広末涼子はこのキャラクターの良さもあって好印象。
便利屋の記憶が音楽(ベートーベンの弦楽四重奏曲)で甦るというのも巧い!
匂いと音楽は記憶と強く結びついている。
フィガロの結婚の序曲、カノンなどクラシック曲の使い方も良かったし、車の警報装置の音、携帯電話の着信音といった音の使い方も良く考えられていたと思う。
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