高校2

高校2

解説

1967年のデビュー以降、現代アメリカ社会を独自の視点で見つめ続けてきたドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン監督が、映画「ミュージック・オブ・ハート」の舞台にもなったニューヨークのハーレム地区の進学校を題材に撮り上げたドキュメンタリー。革新的教育者デボラ・マイヤーが設立した同校が誇るユニークなカリキュラムをはじめ、父兄や職員が議論を交わす会議の模様や生徒会活動にも密着する。2011年、ワイズマン監督作を一挙上映する「フレデリック・ワイズマンのすべて」にて日本初公開。

1994年製作/220分/アメリカ
原題または英題:High School 2

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映画レビュー

日本の高校の狭苦しさ

2025年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ニューヨーク・ハーレムにある公立高校ながら、9割近くが大学に進む進学校の日常を追ったドキュメンタリーです。

 「このままでは落第だよ」と教師との面談で告げられ俯く生徒、「単なるジョークだよ」と、いじめを否定する子供などのどこにでもありそうな姿がある一方で、階級と人種問題の関係を冷静に語る生徒・当時のロドニー・キング事件(無実・無抵抗の黒人市民は白人警官に殺された事件)を受けて他校を交えた反暴力のデモを組織化しようとする学生・出産を終えて復学した女子高生・コンドームの使い方の講習など、他国とは言え30年前にこんな高校があったのかと驚くばかりだ。自分が過ごし、今もそれほど大きく変わっているとは思えない日本の高校が良くも悪くも何と狭苦しく見える事だろう。

 何より素晴らしいと思ったのはこの高校では、エッセイ(論文)の作成に力を入れており、卒業までの14編をまとめねばならない事だ。それは単なる「作文」ではなく、論旨の明確さ、修辞法、段落の切り方まで非常に細かな指導が入る論文で、曖昧な点は直ちに教師の指摘を受ける。文章力ではなく、思考力がこうして高校時代に鍛えられるんだな。文系であろうと理系であろうと必ず習得すべき力だ。僕は、学校でこんな事教えて貰った事がない。

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