「オンナの業の物語。」マレフィセント ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
オンナの業の物語。
ノリにノッているディズニーが、アナ雪のヒットに乗じて
さらなる古典の名作を大胆にリメイクして観せた実写版。
アンジーありきの物語であることはもう言うまでもないが、
こんな良い魔女を観てしまうと、今後の魔女意識に変革が
起きるんじゃないかと(起こりませんかねぇ)いささか不安?
アンジーという人はどちらかというと邪悪な顔立ち(失礼!)
だということが本作でよく分かる。全体的に整っているが、
どの部分も強烈な大きさだ。だからデビュー当時も怖い役、
攻撃的な役が多かった。その演技力は親譲りで上手かったが、
彼女が一転して柔和なお母さん顔になってきたのは、やはり
今のパートナー(ブラピ)と出逢ってからかな~という気がする。
オンナって、オトコで変わるのよ(爆)
そう考えると、マレフィセントの行いにも説得力が出てくる。
愛する人(真実の友)に裏切られて、心も身体も傷つけられた
妖精(やはり強烈なヴィジュアル)は、やがて王になった男の
娘へと恨みを募らせ、彼女の誕生祭で永遠の呪いをかける。
冒頭からマレフィセント中心に描かれる物語に説得力があり、
あ~これなら恨まれても仕方ないわね、と観客の共感を得る。
でも、何の罪もないんだよ、オーロラ姫には!
あ、もっというとそのお母さん(王妃)なんて、さらに可哀想!
嫉妬心をその異性でなく、相手の同性に向けちゃうところが
オンナならではの恐怖…この復讐劇こそオンナが為せる業。
さて、呪いをかけたものの、彼女は姫が気になって仕方ない。
この辺りでアンジーの魅力が全開になる。子供好きで堪らない
その表情や、一つ一つの仕草がまるきり母親。臨時キャストで
登場する実の娘が怖がらないのも(そりゃそうだ)十分に頷ける。
再度愛に目覚め、姫にかけた呪いを悔い、やがて王と対決する
までの展開には殆ど釘付け!突然現れる王子もマヌケ扱いで、
あのフワフワ浮かんで行くところなんか大笑い^^;
マレフィセントに傅くカラス男(S・ライリー)が従順で饒舌、
やっぱりどの男をとってみても、アナ雪と同じで全く立場が弱い。
もう現代版では、総てが女性上位。白馬に乗るのは女王様か?
アナ雪を絡ませた雰囲気ながら、こちらは大人や母親びいきの
内容となっており、立場が重なると感動すること間違いなし!
大胆な変更に賛否が分かれるだろうが、現代版にするというのは
こういうことなんだろうと思う。新解釈として非常に巧い作りだった。
(誰かと思えば第9地区!?凄い出世してる。南アフリカの星ね)