「邪悪さに期待してはいけない」マレフィセント Mr.PoOooonさんの映画レビュー(感想・評価)
邪悪さに期待してはいけない
マレフィセントには邪悪なままで居て欲しかった。
そもそも元のマレフィセントというのは、魔女であり、妖精ではない。本作の予告編をみた時によぎった不安は的中でした。ストーリー展開が王様が悪、マレフィセントが善になるというプロットがまず個人的には少々不満だったのでそのままストーリーが進んで行ってしまったのが残念。
翼が生えていて元は良い妖精でした。という新たな設定はステファンと恋に落ちて裏切られ、姫に呪いをかけるためにしかけられた重要な設定だが、その翼が終盤戻ってくる意味がよくわからないし、優しくて母性のあるマレフィセントなんて!!と全く違うストーリーと分かっていてもなんだかモヤモヤしてしまう。元のアニメの三人の妖精が愛らしいキャラクターで大好きだっただけに酷い描写が多くてゲンナリ。
邪悪な魔女として、眠れる森の美女の前日譚のようなダークな雰囲気ぷんぷん香りだつ作品にしてくれたら良かったのに。
マレフィセントがキスをして呪いが溶けるのもすぐ予想がついたし、また従来のディズニーの展開を裏切りたいのが見えた。近年、ディズニーは現代的思想っぽさをいかに取り組むかに重きを置きすぎていると思う。確かに大事な事だし上手くいけばすごく面白くなる。けどそれがピンと来ないアプローチの仕方が来ると残念に思う。
個人的には古典ウォルト・ディズニーが大好きなので、昨今の名作を実写リメイクして伝統の真実の愛やお決まりパターンを自ら打ち破り現代的な味付けにする風潮がとても苦手である。
アリス・イン・ワンダーランドから始まる実写化リメイクの失敗は興行的には大いに成功しているから続々と作られているけど個人的にはあまり期待してしまうと良くないと思っている。
美術面でも今回アリスの美術監督が映画を監督したこともありその世界観が類似してるけどこのマレフィセントというモチーフにはもう少し違う世界観でも観てみたかった。
クリーチャーや妖精、ドラゴンのデザインがどこかで見たことのあるようなデザインなのもピンと来ない理由かもしれない。
(ドラゴンは「魔法にかけられて」で1度眠れる森の美女のオマージュのような描き方をしてしまったので鴉が変身するのに変更になったのかな?)
ただ、美しい映像は3D向けな画面だと思う。
リメイクされた中にも確かにいい作品もあるけどもっと違う視点があるのでは?と思う事が多いし今回も当てはまると思う。
ただ、エル・ファ二ングのオーロラ姫が可愛いすぎたので救われた。幼きマレフィセントも可愛いかった。
アンジェリーナも美しくハマり役とは思うけどもっと高笑いする"悪"なマレフィセントが観たかった。
きっと、元の作品を知らない、もしくはあまり好きではなかったという方には好評を得られる作品なのだと思う。