「霞のかなたに彼らは去っていった」J・エドガー グッドラックさんの映画レビュー(感想・評価)
霞のかなたに彼らは去っていった
霞のかなたに、彼らは去っていきました。答えは示されないまま、影だけが長く留まり漂うようでした。
不穏な伝説にいろどられた J・エドガー・フーバーですが、話は彼の内面が中心で、政治家は時代を象徴する人物として描かれる程度です。
科学捜査黎明期の様子はとても興味深かったです。時代のはるか先を行き、絶大な影響力をふるったエドガーですが、晩年には彼の手法は古び、焦燥感に心乱す姿は憐れです。
複雑であろう心模様が解説されることもなく淡々と描かれ、数少ない感情の発露に揺さぶられます。
彼をエドガーと呼ぶことを許された三人は、彼以上に謎めいて惹きつけられました。ジュディ・デンチ演じるエドガーの母、特に印象的でした。才能と危うさを内在する息子への思いは支配欲だけではなかったはずです。
時に熱演に過ぎるレオ様なので、老けメイクで抑えめになった表現は悪くないと思いました。アーミー・ハマー、本物の御曹子なんですってね、青年期の美しさは申し分なしでした。
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