「J.エドガー」J・エドガー kincyan1953さんの映画レビュー(感想・評価)
J.エドガー
デカプリオの演技とイーストウッドの監督は凄い。
我々日本人にとっては縁の薄いFBI初代長官である、J.エドガー.フーバーが、こんな人間だったに違いないとイーストウッドは描いている。もちろん多くの事象は事実に基づいて描かれているが、なぞの多い人物だったフーバーを、独自の解釈で正面から取り上げたのだろう。若いときにFBIを一から立ち上げた大胆な行動力、現在のFBIの州をまたぐという性格の成り立ち、そしてそれぞれのアメリカ現代史に出てくる事件との関連を、それぞれの年代のフーバーと伝記口述記述をする晩年とを行き来しながら見せている。イーストウッドの切り口はそれにとどまらず、なぜこのような性格の人物が出来上がったのかも、ここは彼なりの解釈もあるのだろうが、ヒントを与えている。24歳から晩年までフーバーを演じているデカプリオも素晴らしい。「アビエータ」のときも良かったが、素材としては「J.エドガー」のフーバーのほうが深みがあり、演じ甲斐があっただろう。秘書役のナオミワッツ、副長官のアーミーハマーもいい演技をしている。
ただし、娯楽作品を期待する人には薦めない。現代アメリカ史を少しでも知っているほうが、この映画を楽しめると思う。
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