かぞくのくにのレビュー・感想・評価
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全てを悟っている兄ソンホ
父親が朝鮮総連の幹部ゆえに「帰国事業」によって「人質」となった兄ソンホ。あの国での生活を始めてからそう時間の経たないうちに、「抵抗しても無駄であり、自分はコマのひとつに過ぎない」ことを理解したのだろう。治療を受ける目的だったにも拘らず、検査しただけで戻されると言うことは、最悪の結末(死)に近づくと言うことだ。何と嘆かわしいことか。
ラストシーンで、言葉を発することなく、兄ソンホの腕をギュッと掴んでいるリエの気持ちを考えると胸が熱くなった。
あの国のデブっちょファミリーを何とかしないと。
1959年から20数年にわたり 約9万人以上の在日コリアンが 北朝...
1959年から20数年にわたり
約9万人以上の在日コリアンが
北朝鮮へ移住した。
「帰国者」と呼ばれる
彼らが日本へ戻るとこは
困難を極めている。
と言うオープニングで始まるドキュメンタリーぽい映画でリアル感がある。
在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督が、自らの体験を題材に描いたドラマだからだろう。
時代は1997年の夏。
25年ぶりに会う一つの家族と友人たちとの物語。
25年前、在日コリアンのソンホは、朝鮮総連の重役を務める父の勧めにより、わずか15歳で、北朝鮮の「帰国事業」によって、当時「理想郷」と称えられていた北朝鮮に渡る。
妹と両親と離れ離れになる。
そして、監視付きで病気療養のためソンホが25年ぶりに日本へ戻り、家族は再会を果たす。
予想通り切ないが、ラストシーンがいい。
母宮崎美子が、限界の愛を手渡している。
題材が題材なだけに、
断られるのを覚悟で台本を渡して
キャスティング打診をしたそうですが、
「ぜひとも自分にやらせて下さいね」って、宮崎美子は逆に頼んできてくれたそうです。
監督がラジオでのインタビューで言っていました。
この我々の日本国が、植民地支配の結果をいまだに引きずる、否、引きずらせている「大変な負の遺産」。
朝鮮戦争で大儲けをしたけれど、
日本はあの戦争の片棒を担いでしまって、
北と南の破滅的な分断と、知らぬ存ぜぬの旧宗主国=日本が出来上がってしまった。
どんなことがまだこの社会の暗がりで続いているのかを、
この異作は教えてくれました。
安藤サクラ、井浦新、そして宮崎美子。
迫真の演技でした。
お釣りの小銭をビンに貯めると、僕はフラッシュバックしますね。
かぞくのくに。真実に背を向けたらいけない。
ぜつぼうのくに
病気療養の為に北朝鮮から25年ぶりに日本へ帰国したソンホ(井浦新)は監視員(ヤン・イクチュン)と共に、家族の待つ実家で特別滞在期間の3ヶ月を過ごすことになる…
父が朝鮮総連で働く一家にとってソンホは人質同然であり、直ぐに家族団欒とはいかず…気丈に振る舞う両親と我慢する妹のリエ、痩せ細ったソンホは何を求め・何を語るのか?日本では異常な家族の形でも、北朝鮮本国ではありふれた家族の形なのかもしれない、家族の日常が変化していく。劇中、兄妹の会話の先に仄かな希望が見えるのだが…
我慢するリエの心が決壊し、一人で地団駄を踏むシーンにこの映画の全てが詰まっている。安藤サクラと観客の気持ちが一つになる瞬間、私の涙が溢れだした。
テンポの悪さでのめり込めなかった
訴えかけたいことはよく伝わったし、リアリティもあった。
特にヤン同志のキャラクターはその目的の上で強くワークしていたように感じたし、安定の「宮崎美子の母親役」は見ているだけで琴線に触れるものがあり脚本にハマっていたと思う。
実体験に基づいているという事で、事実に何を加えることで作品として成就するかという選択は成功していたのではないかと思う。
一方で、演出とは分かるが映画としてのテンポ感が自分にハマらず、物語にのめり込むことを阻害する部分が多かった。
25年ぶりに息子に会う母親はともかく、幼少期以来25年も会ってなかった妹が終始ここまでニタニタするかなというのがちょっと不自然に感じた点、兄が唐突に発言をしたり無言を貫いたりする点(その理由も一定の説明はされているが)、同窓会のシーンの展開等、芝居で状況説明されるものが全体的に唐突でぎこちなく感じてしまった。
「なんか分かりやすくニヤニヤしてるぞ」「急に喋り出したぞ」「急にギター弾き始めたぞ」それぞれ、数秒のタイミングやコマ割りが自分にハマれば問題ないのだろうが、それがハマらなかった。
役者がそれぞれ良い味を出していただけに、このテンポの悪さが残念に感じられてしまった。
理想に燃えて北朝鮮に子供たちを送る在日朝鮮人
「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」を見て、やはり見ないといけないヤン・ヨンヒの作品。
理想に燃えて北朝鮮に子供たちを送る在日朝鮮人。日本とは国交がないが、彼らには国交があり行き来できるのである。
彼らの気持ちを思うと、北にいることや日本にいること、それぞれに強い思いとやるせなさがある。
20131208@TV
突き放したような諦めたような でも確実に怒りを含む複雑な表情
うーん、、
以前、舞台出身の方の作った映画「愛を語れば変態ですか」のレビューで、「映画ではない」とレビューに書いていた方がいまして。私も、これは舞台をそのまま映像にしただけで映画ではないな、と、共感したものです。
この「かぞくのくに」に関しては、これは、、どちらかというとドキュメンタリーに近いのかな、と。映画というより。
『悪人』で見せた満島ひかりの母役同様、宮崎美子はもちろん良いですし、やり場のない怒りと兄への想いに引き裂かれるサクラ、すっかりやつれて寡黙になったアラタ、皆いいんですけど、「演者たちが達者=映画」って訳じゃない。
あと、手ぶれっぽいカメラワークも苦手(それは個人的なことだけど)。
鑑賞後、若干、モヤモヤする。革命でも起こって独裁が終わらない限り、だって、大して変わらないでしょ。
「家族の絆」というよりは、どちらかというと儒教の影響を強く感じただけだったな、、
横断歩道を歩く安藤サクラ。
荒井晴彦が映画秘宝で褒めていた作品
井浦新も、安藤サクラも、ヤクイクチェンも、宮崎美子もとても良かった。真摯でよかった。スーツケースは自由の象徴で、お土産持参で北朝鮮へ帰国する二人はスーツケースを持たない。考える自由があると言うこと。考えられると言う事だけで自由。、
北朝鮮への帰国運動につは本当に不思議、血と骨に出てきた帰国運動は、この時代よりもっと前で初期の事だったとおもうが、このくらいの年代でのこの物語は本当にありえな話としかおもえないが、めちゃくちゃリアリティがあった。
テーマを広げず焦点を絞った展開がよかったと思う。一個人それぞれの思いはあり、強くあり、泣いたり、叫んだり、抗議したり、話し合ったり、しても、どうにもできないことがあると思い知らされる。そしてそれは、北朝鮮だから、だけの話ではない、と、思えてならない。
朝鮮語が上手いのか下手なのかわからないが
感情が麻痺した国民
監督の自伝的作品
無口な北朝鮮から帰国した兄。無口ではなく、しゃべれないという現実と...
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