ドライヴのレビュー・感想・評価
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殺られる前に殺れ
いきなり今年度最高の作品に出会ってしまったかもしれない。無駄なカーチェイスを省いた強盗シーンのオープニングでいきなり映画に引き込まれる。後部座席に座り、警察にびくびくする強盗2人組を尻目に無表情でハンドルを握る「ドライバー」。理解しがたいほど強烈で魅力的なアンチヒーローだ。
まず、その「ドライバー」役のライアン・ゴズリングが最高の演技を見せてくれる。「ブルーバレンタイン」、「スーパー・チューズデー」と彼の主演作を見てきたが、どれもこれも全く違う人物なのに忘れがたい。抑えきれない感情を表にさらけ出すディーン、希望を抱えていたのにある事件がきっかけで豹変していくスティーヴ。そして内なる情熱、怒りを押さえ込み無表情に金槌を振りかざす「ドライバー」。彼は本当にすごい俳優だ。若手の中でもずば抜けている。アイリーンと視線を交わしあい、少しだけほほえむ。その優しさにあふれるシーンがあるから凶行に及ぶ時の残酷さが際立つ。
小規模のコミュニティで起こる事件だからこそ、恐怖やスリルが観客にとって身近になる。鮮烈なバイオレンスシーンがやはり映画の肝となっているのだ。むしろ映画はそこからグッと面白くなる。エンディングに近づくにつれ「ドライバー」の運命を案じるようになる。あふれ出す愛情と狂気が見事に混ざり合い、最高にスタイリッシュな作品が完成した。
こんな映画めったに見られない。まだ見ていない人はいますぐ映画館へ足を運んで欲しい。
(2012年4月15日鑑賞)
ライアン・ゴズリングが高倉健に見えた
ただ単純なアクション映画やバイオレンス映画ではない。
孤高の男の熱く深いドラマである。
昼は映画のスタントマン、夜は強盗犯を逃がす天才ドライバー。
好意を抱いていた女性を守る為、ある仕事を引き受けるが、危険な世界に足を踏み入れる事に…。
登場人物も少なく、ストーリーはシンプル。
前半は非常に静かな展開。
そんな沈黙を突然破るバイオレンス。
日常の中の事件だって唐突に起こり、張り裂けそうな緊張感に包まれる。
そして遂に主人公の怒りが爆発し、一気にクライマックスへ。
暴力描写はなかなか強烈だが、淡々とした語り口との対比が、暴力の恐ろしさと哀しさを訴える。
ライアン・ゴズリング演じる主人公がとにかくクール。
無口だが仕事は完璧にこなし、女子供には優しく、きっちりケジメを付ける。
まるで高倉健か、東映任侠映画の主人公か、マカロニ・ウエスタンの主人公のような、ストイックで男気溢れる姿にしびれる。
別れのキス・シーンが美しく、悲しい。
ニコラス・ウィンディング・レフンの演出、映像、音楽、編集、ドライヴ・テクニック、全てがハイセンス。
キャリー・マリガンが可憐。
お久々アルバート・ブルックスが貫禄たっぷり。
最も危険で優しいドライバー
こちらはLAを舞台にした犯罪映画。
主人公は名前を持たない。エンドクレジットも「ドライバー」と出るだけ。
男は、車のメカニックとスタントマンの傍ら、犯罪者を犯行現場から逃がす運び屋もやっている。
車は逃走し、追撃し、物陰に潜み、クラッシュする。
車は生き物のように呼吸し、表情を変える。
特に、夜の街を疾走する主人公の車はとても自由で官能的だ。
男は、偶然乗り合わせたエレベーターで一人の女性に好意を抱く。
女性とその家族を守るために、出所した夫の運び屋を引き受ける。
小さな犯罪と思われたものが、暴力の連鎖を生んでいく。
主人公のライアン・ゴズリングとキャリー・マリガンが、
エレベーターの中で交わすキスシーンが切なすぎる。
映像、シナリオ、音楽、キャスト全てが噛み合って、
これほどの陶酔感を味わうことのできる映画はそうない。
泣きたくなるような美しい夜景の下で
筆記体の題字の印象通り、とても私的な感じの作品だと思いました。
一人で観るのがしっくりくる気がしましたが、誰かと語りたくもなりました。男の事、男が愛した女の事。
この男、どこからきたものか。研ぎ澄まされた冷酷と少年のような素朴さ。世慣れたようで、自分の気持ちに戸惑い後手にまわっていくようにもみえます。
そして若い人妻の儚げな美しさ。瑞々しい演技の中にドキッとするような老成した表情をみせるキャリー・マリガンはぴったりでした。
不思議なことに、空からの美しい夜景が一番心に残っています。緊張感がふと緩むからか、切ない孤独感がつのるからか、泣きたくなる美しさでした。劇場に足を運んだご褒美なら、甲斐があったというものです。
レザボアドッグズを思い出した
結構評判がよいようで、公開スクリーンの少なさも手伝ってか、平日昼間の映画館は結構高い年齢の映画ファンを中心に7割近い入り。
映画ファンはおもしろい作品をよく知っている。
物語は単純で、凄腕のカードライバーが闇組織に絡む金の運び屋を請け負ったことで、血なまぐさい話に巻き込まれていくというもの。
主演のライアン・ゴズリングの表情がいい。
巻き込まれながら、不承不承、人殺しをしていくのだが、手際よくそれを淡々とこなすのだ。圧倒的な強さと共に。
同時に、アパートの同じ階に住む若い母親に不器用な恋愛感情を持つ姿もいい。
全編ハードボイルドタッチながら、淡くそして、ひたむきな恋心を秘めて生きる男をライアン・ゴズリングが自然に演じている。
サスペンスフルではあるが、ひねった話ではない。
殺し合い描写も結構陰惨なのだが、カラッとした感じがする。
舞台がロサンゼルスだからかな。
美学より中身。
映画を観賞する時、ある程度の予習をしてから臨む人と、
そうでない人に分かれると思うが、私はたぶん後者の方。
どうしても興味惹かれる作品だと映画レビューを読んだり
するけれど、それで観るのをやめました。は、ほとんどない。
あ~だけど今作、またしても勘違いしていた。
かなりバイオレンスなのね!これって。私はこのドライバーの
やっている仕事が多種に渡ることから、もっと楽しい内容
なのかと、勝手に勘違いしてしていた。
トランスポーター好きの息子に推奨してやる!と意気揚々と
観に行ってしまったので。。アレ~?って感じ^^;
う~ん、好きな人は好きですよね、こういう感じ。
いかにもカンヌで監督賞とりそうな作品なんですもん。
フィルムノワール的、寡黙でクール、スタイリッシュ、
あの殺し方もそうなんですか?あれは猟奇すぎですよねぇ。
これはストーリーで楽しむ作品じゃなかった。
アクション…でもないな。あるにはあるけど大したことない。
雰囲気そのものを観る、という作品ですね。
R・ゴズリングって、なんかこういう役似合うのかもしれない。
この人、一見穏やかな顔してるんだけどね~
どうも奥底に秘めてる狂気があるのよねぇ(スーパー~もそう)
優しい人なのに、キレると怖い、A型人間。みたいな^^;
あの…酒乱、っていうのも同傾向ですかね。
穏やかな人ほど、怒らせるとハンパない。だからしょっちゅう
ブチ切れてるバカ野郎なんてのは、まだ可愛いもんなんです。
でも怖すぎるよ、、、ゴズリングぅ。。。
隣の女、K・マリガン。
薄幸そうな笑みが似合っている彼女、確かに守りたくなる?
かもしれないけれど、隣の男にあそこまでやられちゃあ(爆)
そりゃ、エレベーターから降りますわ!ドン引き…の後ずさり。
映像の美学。男の美学。となると、バイオレンスしかないのか?
なんか違う気がするんだけどなー。
いや、こういう男の美学を好きな女もいるとは思うんですが、
私だったら、甚だ迷惑なだけですね(爆)
バカ亭主を好きになって(おそらく一度で)子供出来ちゃって、
つまりは全部自分のせいでもあるんだから、隣のあんちゃん
巻き込んでないで、しっかりせい!(泣き顔なんか見せんなよ)
落とす女も、落ちる男もありきたり。
とくれば、映像の美学!で、押しとおすしかない!ってことか。
(なんか角川映画みたい)
うーん、オバちゃんはもっと中身が欲しかったのよ。
A・ブルックスの化けっぷりは面白かったけど。
(とにかく走りがもっと観たかった!それだけでもいいくらいだ)
スプラッターかよ
静から動はいいけどスプラッターは求めてない。「マチェーテ」はその気で観てるから血が散乱してもかまわないが、この作品の血はバランスをくずしている。キャッチコピーに「この愛のためなら、誰でも殺せる」とあるが、顔がグチャグチャになるまで踏みつけるのはエグすぎる殺し方。おそらく主人公の内面の狂気や悪魔が表にちょこっと出てきたのだろう。彼はこの町に来る前にも何かあって、この事件によって次の街へ行って、また狂気や悪魔がちょこっと顔を出すのだろう。
車窓を流れる光景に男の心情を語らせた傑作
手書き風のフォントによるオープニング・クレジット。しかもフォントの色はピンクだ。アクション映画にピンクだ。この時点で、ハリウッド作品でありながらヨーロッパ映画の顔を持つ作品ということが分かる。
ライアン・コズリングとキャリー・マリガンをはじめとしたキャスティングも、ヨーロッパ的なムードを持つ俳優で固められている。
ただし舞台はロスアンゼルス、70年代のシェビー・ノバや最新のマスタングGTなどホットな車が逃走劇を演じる。
冒頭の強盗を逃がすシーンが素晴らしい。
強盗とは、何があっても5分は待つという契約だ。
強盗が仕事を始めると同時に、リズミックな音楽にタイムリミットの5分が刻々と迫る時計の音が重なる。スティーヴ・マックイーンの「栄光のル・マン」のスタート・シーン以来の緊張感を味わった。
ダッシュボードに取り付けた3連メーター、ラジオの野球中継、警察無線を傍受するトランシーバー、それらが渾然となって決して爆走するだけではない静なる逃走劇を完璧にフォローし、これ以上望めないほどの緊張感が充満する。
これまでのカーアクション映画にはなかったタイプの逃走シーンだ。素晴らしいとしか言いようがない。
名もなく家族もいない寡黙な“ドライバー”。爪楊枝をくわえたライアン・ゴズリングが冷静な判断力を持つ用心棒的な雰囲気で、近頃とんと見なくなった物言わず頼れる男を演じて魅せる。
彼が心を許し、初めて家族を持ったような時間を得るのが、同じフロアに住むアイリーンと、その幼い息子との交流だ。
アイリーンと二人きりで夜の街をドライブするあいだ、さして会話もないが、二人の気持ちが近づいていく様子がよく分かる。ここはキャリー・マリガンが演技面でリードした形だ。
このアイリーンの夫・スタンダードが出所してきたことから、新たな展開を迎え、いよいよ本筋に入っていく。
スタンダードの不始末からマフィアに狙われてしまったアイリーン親子を、“ドライバー”は身を呈して守る決意をする。
プラトニックな愛を貫き、愛する女性のためなら何も厭わないという男の信念は古風だが、その一途さが彼の内なるエネルギーを解き放ち、狂気とバイオレンスを炸裂させる。失うもののない男の怖さが映像を支配する。
愛する女でさえ恐れる狂気。それでも構わない。男は女を守りたかっただけなのだ。ただ、敵に回した相手が悪かっただけなのだ。
ひたすら走り回るだけのカーアクション映画は多いが、3連メーターを取り付けたダッシュボードの向こうを流れる光景に男の心情を語らせた傑作。
ニコラス・ウィンディング・レフンという監督、お初だが、ラストの影の使い方といい、その手腕にしたたかなものを感じる。
ほんとうに痛みの伴うヴァイオレンス、そしてクライム・ストーリー。
男は車の修理工、そしてパートタイムでハリウッドのスタント・ドライバーをしている。だが裏では、強盗犯逃走専門のドライバー、「逃がし屋」。ある日同じアパート住む母と子と知り合う。束の間の幸福な日々。だが刑務所に入っていた彼女の夫が出所して、事態が一変する。更生しようとする夫に、再び強盗をさせようとする組織、そのいざこざに「逃がし屋」の男が巻き込まれて……。
無粋で全編にわたって緊張感に縛られる映画だが、いい場面はいくつもある。
例えば、前半の主人公とヒロインがスーパーで初めての出会って、彼女のアパートに行くまでの場面。頑な主人公の心が解れていくようすが、ヴァイオレンスが主題のこの映画のなかでは、ちょっとした場面だが、実に微笑ましい。逆に、組織の殺し屋がモーテルにいた男を襲撃する場面(ここはペキンパーの「ゲッタウェイ」でスティーブ・マックイーンとアリ・マッグローがホテルを脱出する場面を、すこしばかりだが彷彿とさせる)。逆襲する男の怒りと非情さが圧倒的な迫力で、スクリーンを覆い尽くす。また別の殺し屋と、エレベーターで鉢合わせになった場面。2人のキスシーン(ここ映画唯一のラヴシーンといっていい)を長いスローで観せたあと、男が殺し屋を踏み殺すシーンが連続する。男の暴力性に唖然とするヒロインと、その秘密を知られてしまった男の関係が、まるで砂の城が一気に崩れ落ちてしまった描写は魅せてくれる。
魅せてくれるわけは、台詞で登場人物の心境や場面の状況を語らせず、表情でそれを表現しているから。編集や場面の繋ぎのリズムは、おそらく北野武のそれに大きな影響を受けている、といっていいだろう。前半の暫く続く静かで幸せな場面も、後半の圧倒的にヴァイオレンスが支配する場面も、そんなリズムが支配しているから、観ている側は、北野の映画が好きならば、感情移入もし易い。
この映画には、北野の一連の作品や「GONIN」(1995)の石井隆からの多大なる影響が観て取れるし、彼らの映画を観ていれば、そんな目新しさも感じないかもしれないが、そこは登場人物たちの性格設定と、それと何よりロスアンゼルスという街の魅力に惹かれるからだろう。
とくにライアン・ゴズリング演じる男、名無しの「ドライバー」は、柔和な顔つきからは想像できないタフでエキセントリックな役柄を熱演している。ちょうど舞台設定が酷似しているウォルター・ヒル監督の「ザ・ドライバー」(1978)のライアン・オニール(こちらも偶然だが「ライアン」だ)を彷彿とさせるが、こちらはもっと感情で動く性格をしているので、感情移入がしやすい。またヒロインのアイリーンを演じたキャリー・マリガン。こちらも童顔だが、タフな性格を有する役柄。特に、出所してきた夫と「ドライバー」の間で揺れる女心を表情だけで演じることに成功している。そういえば、彼女と「ドライバー」のセックスシーンがないのも、この映画の清いところ。大抵の映画では、ここのところが済し崩し的に、観客にサービスされるところだけれど、それが無いのは、監督の見識だろう。
脇役もGJ。ロン・パールマンとアルバート・ブルックスははまり役。二人の、いつも苦虫を噛み潰した表情も秀逸。
そしてスクリーンに映し出されるロサンゼルスの夜の妖しさ。夜の場面が多いが、そんなストリートの暗く澱んだ雰囲気も思わせぶりである。だが、終盤でパールマンが追い詰められる海岸の場面が、一番、ロスアンゼルスっぽい。なぜなら、こういうロスアンゼルスを舞台にしたクライム・ストーリーには必ず海岸が、しかも夜の海岸がキーになることが多い。レイモンド・チャンドラー原作、ロバート・アルトマン監督「ロング・グッドバイ」(1973)もそうだった。
見終わった時には、ドライバーのファンに。
「スーパーチューズディ」に続き、ライアン・ゴスリングの作品。
ラッセル・クロウは、ライアンがアカデミー賞にノミネートされなかった聞いて、ご不満だったとか。
それも、納得。
見終わった時には、すっかりドライバーのファンになっていた。
単に、ドライバーのファンというよりは、ライアン・ゴスリングのファンにもなっていたみたい。
ジョニーやブラピのように、すっごい男前ではないけれど、暖かさがあり、気持ちの優しい好青年という印象。
作品中では、「トランスポーター」のようなルールをもつドライバー。
それが、彼がプロフェッショナルであることの証明のよう。
寡黙で孤独な、腕の良いドライバー。
ひょんなことから、隣人に恋心を抱く。
それから、巻き込まれる災難?!。
愛する人を守るためなら、冷徹に、容赦なく、躊躇うことなく振るわれる暴力。
悪者への粛清でもあるかのよう。
でも、それは、彼が生きてきた道でもあり、純粋さの証しでもある。
また、それは、きっと彼の生き様であり、優しさの裏返しでもあり、美学なんだろう。
彼は、今までどんな人生を送ってきたんだろう。
辛く苦しい生活であっただろうことは想像できるが、他にはどんなことが・・・具体的にはどんなことが・・・なんて、考え出すとキリがない。
そんな想像をすることも、この作品を観終わった時の楽しみのひとつでしょう。
研ぎ澄まされたガラスのような、スタイリッシュな映像もステキだった。
言葉に頼らない「間」や、ちょっとした表情がとても良い。
ヘルボーイ(ロン・パールマン)の悪役ぶり。
ニモお父さん(アルバート・ブルックス)のとことん悪い奴。
「17歳の肖像」のキャリー・マリガンの可愛いけれど、疲れた若妻。
良かった。
私は、この2作品しか見たことがないので、ライアンのいろいろな作品を見てみたいと思った。
特に、コメディタッチの彼も見てみたいな~・・・と。
とりあえずは、「ラースと、その彼女」と「ラブ・アゲイン」ですかね。
えっ?!
「16歳の合衆国」の彼だったの?!
う~ん。。。記憶にない。。。
最高のバイオレンス映画
お話も役者も車も音楽もなにもかも好みだし、素晴らしいのだが、表現に対する志の高さも素晴らしい。言葉に頼らず映像で示し、その映像での表現がまたすばらしくかっこいい。
何もかも絶賛したいんだけど、ヒロインの人妻が超かわいかったし、もしかしたらお前童貞じゃねえの?という疑惑もあるほど女には初心な主人公も最高だった。
カーアクションが、メタルギアソリッドのようなスリルというのもとても斬新だった。
久々の書き込みです
久々の書き込みです。この映画気になりまくっていましたので3月31日公開初日の初回上映に参じました。
…これは本当にぶっ飛びましたね!いつもより饒舌になった自分は同行した相棒と永らくこの作品について話しました。
個人的にはむか~しのデニーロ出演作をなぜか思い出しました。といいますのも、モーテルのくだりで振り返ったライアンゴスリングのあの表情に戦慄して、「あ~この役者、このさきも信頼できるすばらしい役者人生を歩むだろうな!」と確信したからです。
監督も本当に独特な世界観を醸し出していてグググッとその世界に引きずり込まれて、あっというまに作品は終わります。
この映画は絶対にDVDで観てはいけませんよ、絶対に劇場で観ることをお勧めします!
僕はリアルタイムでこの作品を劇場で観れたということに感謝しています。
斬新で懐かしいハードボイルド(゚∀゚)
これは虚を突かれたな~∑(゚ω゚ノ)ノ
表の顔はカーアクションで活躍するスタントマンで、裏の顔は犯罪者の逃亡に手を貸す敏腕ドライバー。
無口で無骨な男だが、旦那が服役してる状態の人妻に惹かれていく。
そんな中、その旦那が出所してきて質屋を襲う時の逃亡を手伝うよう依頼を受けるが、その旦那は質屋を出た途端に打ち殺され、共犯の女もまた殺される。
依頼したギャングが金を独り占めしようとしたことを悟り、ドライバーは復讐のために執拗に追い詰める。
前半はプラトニックな恋愛シーンで少し退屈に感じたが、中盤からの怒涛の展開かつ残酷描写はすごい!!(・∀・)イイ!!
エレベーターの中でキスをした後追っ手を執拗なまでになぐり殺して、そのまま彼女を逃がす辺りなんてもう最高の流れъ(゚Д゚)グッジョブ!!
彼女を守ったつもりがドン引きされた・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
いたたまれない(;・∀・)
その後返り血が付いた上着を脱ぎもせず、白昼堂々と歩いて次々に復讐をしていくシーンも(゚д゚)イーヨイイヨー
そして殺し方のえぐいことえぐいことガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
執拗なまでに刺しまくり切りまくり殴りまくり蹴りまくり(゚∀゚)
銃声とか斬るときの効果音をわざとでかくしてて、その残酷さがより強調されてる(∩´∀`)∩ワーイ
この流れは、車の運転手が主人公ということもあって『タクシードライバー』の影響がかなりあると思う。
体を鍛えたハンサムで残酷な殺し屋が次々とえぐい殺し方をするのは『アジョシ』に似てると思ったし、子供のとの交流、愛するもののために悪党に復讐するのは『シェーン』の影響もあるのかな~(^_^)
そしてラスト、刺し違えて復讐を成功させるあたりはオリジナルだと『ハムレット』かな?
最後生きてるか死んでるか分からないぼかした感じの終わり方もΣd(゚∀゚d)イカス!
とにかくBGMと効果音、そして陰影をうまく利用した心理描写がさすがです。
ライアン・ゴズリングとキャリー・マリガンをはじめ、役者はみんな良かったワチョ――ヽ(・∀・)ノ――イ♪
これは相当お勧めです。
バランスの綱引き。
ライアン・ゴズリングが抜群に格好いい!もうこの映画、それに尽きるんじゃないでしょうか。
寡黙な主人公(ゴズリング)は、裏稼業にも手を染める、多方面に秀でた“ドライバー”。
多くを語らぬ、感情を表に出さぬ、独白もなし。
淡々とした無駄のない所作。
覇気がない訳じゃないし、人との干渉を嫌う訳でもない。ただ、独特、個性的、無口。
この男は一体何を思うのか、どう行動するのか?
そういった機微をつぶさにナイーヴに表現するゴズリングの演技力。
映像的にもカットバックを多様した発端と結果の巧みな見せ方。
ゴズリングの視線の先に注視させるカメラワークの妙味。
全ての要素が寡黙であり且つ饒舌。…なんですが!
ただ!ただですね。
静から動へ転じる際への暴力描写がかなり極端過ぎませんかね?という。
無駄にエグいバイオレンスというか。
話のトーンとしては通常パートと暴力パートが同じ色彩ではあるんで、タランティーノチックな笑える血生臭さでもないし、かといって日常と非日常の折り合いの付け方が余りにもバランス取れてなさ過ぎるというか。
どうにも珍妙な映画に仕上がってしまったなあ、と。
そして、この血みどろ加減を“男の美学”みたいに祭り上げられても「ええ?」となりませんか?
んで、だからってこのバランスが楽しめなかったという訳でもないし。
んーと。何でしょうか。
この監督さんの映画、本格的に楽しめるまでには暫く腰を据えて付き合ってくしかなさそうだなあ、と感じました。
自分的には、そんなスタンスですかね。
さよなら415号室の怪物
スコア5.0判定はかなり出し惜しみしてるつもりなんだが、
今月2本目の5.0判定を出してしまいましたよ……。
だが、ムチャクチャ良い。
極力台詞を排し、視線や拳の動きなどの細かな所作や、
時計の音や革の軋み・背景音だけで状況を語り、緊迫感を煽る巧みさ。
メロディアスな挿入歌とスコア。それらと見事に同調する映像のテンポ。
車内の主人公の顔を照らす、オレンジの照明の艶っぽさ。
最初の10分間でもう溜め息が出るほど美しい。
シンプル。しかも極めて優雅に洗練されている。
終盤に入る前で少しもたつくが、
この美しさがほぼずっと続くのだから、
これを見事と言わずに何と言いますかアナタ。
そして主演のライアン・ゴスリングが本当に、
いやもうホントに、とてつもなくセクシーでカッコいい!
“男も惚れる男”たぁこの事ですよ!!
彼をカッコいいと思った事、いっぺんも無かったのに!(←微妙に失礼)
沈着冷静。用意周到。そして、寡黙。口ではなく行動で語る男。
マシーンのように動かない表情の皮膚の下で、
思考回路がバチバチと火花を散らしているのが見えるかのようだ。
序盤で完璧なマシーンぶりを見せる主人公だけに、
ヒロインとその息子との交流は温かみに溢れている。
やはり寡黙だが2人を優しく気遣い、微笑を浮かべ、時にはユーモアさえ滲ませる。
そして終盤での別れ。
エレベータ内でのキスは、
僕が今まで観た映画の中でも、とびきり美しいキスシーンだった。
暖かい照明に照らされた領域が二人きりの空間になるあの瞬間。
だがその直後の、身も凍る暴力。
いくら彼女を救う為とはいえ、彼女が自分に恐怖を抱き、
離れて行く事を彼は見越していたのだろう。
それでも怯える彼女の顔を見て、
惹かれ合ってはいても所詮は住む世界の違う人間同士だと痛感したのだろうか。
ここから先の彼は怪物同然だ。
血染めのジャンパーも脱がず、薄気味悪いマスクを身に付ける。
波打ち際、マスクを被った主人公が灯台の光に照らし出されるシーンのあの不気味さ。
人から恐れられて当然の、非情な怪物。
フランケンシュタインの怪物の有名な台詞を思い出した。
「我々には死がお似合いだ」
人間になる願いを棄てた悲しい怪物の物語だ。
彼は、415号室に戻らなかった。
クールでバイオレント、エレガントでロマンティックな傑作。
観賞後、男なら無口になること請け合いです。
<2012/3/31観賞>
シンプルさが良いね!
昼間はスタントマン。
夜はその天才的な運転テクニックで、強盗犯の逃亡をたすけるドライバー。
寡黙で孤独な彼が、より凶悪な事件に巻き込まれていくサスペンスなんだけど、素晴らしくシンプルでイイね!!
正直言っちゃえば、ストーリーは読める。突然の暴力シーン以外には驚く部分はないし、オイラの大好きなドンデン返しもない。
登場人物も最小限にまで抑えてあって、サッパリしすぎなくらい無駄がないんだ。
しかし何故だ?その、奇をてらうことのないストレートさクラシックさが、面白かったぞ!!
序盤のカーチェイスシーンの、凝りすぎず潔いドライバー視線の映像とか、流れる70〜80年代っぽいポップスが、なんだかノスタルジック。
また、その中に彼自身の孤独や刹那的なモノを感じたりもした。
彼が生まれて初めて恋をした人妻ってのもコレまた言葉少なな女性で、この2人が静かに過ごす時間が美しくて痛々しかった。
過去や因縁を表すシーンを除くと本当にセリフが少なくて、それでも伝わってくるモノが多かったな。
そして、その「事件」に巻き込まれてから彼の目的はただひとつだったから、以降ただひたすら、ひとり闘う彼の姿を描く!
いいじゃな〜い!好きだなこういうの!
いや違うか…「こういうの」でスベったら、見ててイラつくほど最悪だろうから「好きだなこの映画」に訂正するわ〜!
ただ、ひとつだけお願い。
殺人シーンは、出来れば銃などの武器を使って「一思いに」やって頂けませんかね…?
台詞を切り詰めて観客の想像力に訴えかける、男の美学を描いた作品。
タイトルから、派手なカーアクションを期待するムキには、地味に思えるでしょう。もちろん本業がカースタントに、裏稼業が「運び屋」とくれば、誰だって「トランスポーター」シリーズを想像してしまいます。
だけど車が飛んだりしないし、クラッシュする車の量もは控えめ気味。
本作の感じは、フランス映画のバードボイルドへのオマージュがたっぷりで、通好みの作品といえます。寡黙な主人公をヒーローに押し立てて、その背中で男の美学を語るのです。主人公の優しさは、木枯らし紋次郎に似て、身返りを求めずヒロインから去って行くところはかっこいい!だから、主人公には名前も明かさず、孤独なキャラが似合っています。演じたライアンによると、当初はもう少しセリフのある役だったというが、ニコラス監督と相談するうち寡黙なキャラになっていったのだとか。
監督が切り取るロサンゼルスの街のあやしい魅力を切り取った映像に、ライアンがよくマッチしていて、作品の世界観を完璧に作り上げていました。
主人公は、昼はスタントマン、夜はドライバーとして強盗の逃がし屋という二つの顔を持つというのが本作の要。この二重性には意味が込められているようです。ライアンがいうには「自分の中にオオカミ男のような面を持っていて、それが出てしまうことを常に恐れ、人から距離を置いて生活している。しかし、ついにアイリーンの目の前で、冷酷で残虐なオオカミ男の面が出てしまうんだ」と分析しています。
普段は寡黙で優しくアイリーンに接するけれども、向かってくる敵には容赦しない。そんな突如として放たれる容赦ない暴力性を織り交ぜる緩急のリズム付け方は、すごく通好みの展開だと感じました。
そんな主人公が惹かれていく人妻アイリーンへの淡い恋心は、終盤にふたりの強い絆を感じました。そのシンボルが主人公が着ている背中にサソリが刺しゅうされた白いジャケット。ライアンがこだわったのはヒーローのマントだったそうで、さすがにマントを羽織って乗車は無理なので、ジャケットになったそうです。返り血を浴びて、紅く染まっても決して脱ごうとしなかったのは、ジャケットの色には、ヒロインとなるアイリーンにとって彼が白馬の騎士であるという意味が込められたそうなのです。
その白馬の騎士を待ち焦がれる可憐なアイリーンがまたいいんですね。マリガン演じるヒロインのいかにも幸薄げなところが抜群に魅力的なんです。『17歳の肖像』で注目を浴びて以来、彼女は最近役に恵まれていて、『SHAME -シェイム-』の妹シシー役でも、本作とはまた違った幸薄さを感じさせてくれますから、ぜひ見比べて下さい。見比べるときっと彼女の演技力の凄さを感じるでしょう。
ところで主人公が放つ暴力シーンは、かなりのスプラッターな表現なので、血を見るのが苦手な人は注意が必要です。
台詞を切り詰めて観客の想像力に訴えかける、ムダのない演出と編集。独特の照明に映し出される過激な暴力表現。そして男女の秘めた思いの交差。決してハッピーエンドに終わらないところは、男の美学を雄弁に語りかけてくる作品でした。
ただ30万ドルも主人公に投資しておきながら、主人公を抹殺しようとする投資家の心理がちょっと理解できませんでしたね。そして、100万ドルもの大金をネコババされたマフィア組織が、結局ラストまで登場しないのもハリウッド映画らしくない設定でした。「ワイルド・スピード シリーズ」ならもう冒頭から派手にドンパチするのが相場のところ。本作は主人公の身の回りの人物だけでドラマを組み立てているところが、評価が分かれることになるでしょうね。
思いがけず涙腺が…。
今年の劇場20本目は一足お先に試写会で。この手に弱いんですよね。ラスト若干ですが涙腺が緩んでしまいました。コピーにあるクライム・サスペンスというよりもフィルムノワール×ハードボイルド、且つ監督デンマーク出身、脚本イラン出身の為か所謂ハリウッドものと一味違う印象です。 R15なりの暴力シーンもありますが其々短く、80年代ポップスを思わせる音楽とともに淡々とラストへ向かいます。もちろん主役二人の関係が軸になっていますが、少ない台詞と表情で一度きりのキスシーンからの疾走…。
ちなみに2011カンヌ監督賞受賞作です。★4.0 http://coco.to/4034
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