劇場公開日 2012年2月18日

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「映画だからこそ、より自由に、もっと豊かに」ものすごくうるさくて、ありえないほど近い cmaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5映画だからこそ、より自由に、もっと豊かに

2012年2月22日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

あの ダルドリー監督ということで、期待して観に行きました。
海外ベストセラー原作の佳作に出会うと、映像による「翻訳」は、言語による「翻訳」以上に、オリジナルをより自由に・豊かに描きうるのだなあと感じます。例えば、同監督の「愛を読むひと」がそうでした。原作未読ですが「めぐり会う時間たち」も、時空を融通無碍に越え、豊かな物語を紡いでいたと思います。
本作は原作(の訳書)を読んでから臨みました。三層の物語が絡み合い、読むのは少々大変でした。個人的には(認識不足もあって)911よりドレスデンのパートが印象的深かったです。「ドレスデン運命の日」を観返したくなりました。
さて、映画。こちらは911にあくまで焦点を置き、語るべき物語をくっきりと打ち出していたと思います。その分、祖父の物語であるドレスデンともう一つの物語は、背景としてぐっと後退していました。やや盛り込みすぎの感がある原作から枝葉を適度に刈り取る等「自由な翻訳」が成功しています。けれども、同監督ならば、映画による「豊かな翻訳」も本作以上に十分可能だったかと思われ、少々惜しまれます。マックス・フォン・シドーが素晴らしいだけに、もっと観たかったという気持ちがひとしおでした。
それから。幕切れの「up」を「引く」と訳した字幕は、どうにも違和感があります。「up」以外の何ものでもなく、むしろ和訳は不要かと。物語の肝ですから。
ちなみに、予告でガンガン流れていたU2は登場しません。というか、U2の余地がない、まったく似合わない映画でした。(私はU2好きです。本作については、です。)U2を期待した人も少なくないと思いますし、予告は本編と乖離していたのでは、という思いが残りました。

cma
きりんさんのコメント
2019年10月25日

「UP」は「上がれー」ですよね。

まだ胸がいっぱいで、感想をレビューできるかわかりませんが。

きりん
miya1225さんのコメント
2012年2月26日

”幕切れの「up」を「引く」と訳した字幕は、どうにも違和感”というコメントを見て、今やっと納得することが出来ました。

あの装置を「引く」と人が落ちる光景になってしまう。映画館で「?」となっていました。後で一緒に見た友人に、もどっていく姿だと言われ、一応納得しましたが、腑に落ちず。

そして今やっと、自分が勘違いした理由がわかりました。ありがとうございました。

miya1225