「【葛城ミサトと渚カヲル】」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【葛城ミサトと渚カヲル】
ニア・サード・インパクト後の戦いの世界が描かれるが、キーパーソンは、葛城ミサトと、渚カヲルだと思う。
「新劇場版:破」の最後で、ミサトは、碇シンジに叫ぶ。
「自分自身の願いのために行きなさい!」
その結果として、ニア・サード・インパクトが起きたのではないのか。
更に多くの命が失われたのではないのか。
それは、シンジだけの責任ではないはずだ。
自分自身の父親への反発心は、シンジの父親に対するものと同じはずだ。
自分自身にも想う人がいるのだ。
だから、ミサトは、シンジのチョーカーの起爆装置を押すことは出来なかったのだ。
だが、自分自身に運命づけられた使命は使命だ。
カヲルは、「新劇場版:破」のエンドロールの前に言う。
「碇シンジ君、僕が救う」と。
カヲルは、ピアノの連弾を通じて、シンジと心を通わせ、未だ理解に至らない罪の意識を軽減しようとする。
そして、カヲルは同時に、サード・インパクトのきっかけとなったのはシンジだと告げ、「やり直す(リセット?)」方法を示唆する。
しかし、それは、罪の意識を利用して、人を導くことと何が違うのか。
それは、本当に救済なのか。
また、綾波レイの別のクローンが、綾波レイを失った喪失感を軽くしてくれるのか。
13号機で、2本の槍を手にするカヲルとシンジ。
しかし、そこにあったのは、2本のロンギヌスの槍だけで、カシウスの槍はない。
カヲルは、シンジの望みは、自分が考えていたものと異なっていること、更に、碇ゲンドウの思い描く世界と、自分の考えていた「やり直す」世界が異なっていることに気づき、そして逝く。
残された、シンジが望んだ世界と、ゲンドウが思い描く世界とは、何なのか。
物語は、綾波レイのクローンも巻き込んで、少しずつ焦点を絞りながら、進んでいく。