「シンジ君とのシンクロ率100%!「Q」uestionだらけの問題作。」ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
シンジ君とのシンクロ率100%!「Q」uestionだらけの問題作。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の第3作。
前作『破』から14年後の世界を舞台に、長い眠りから醒めた碇シンジの新たなる戦いと葛藤を描く。
総監督・エグゼクティブプロデューサー・原作・脚本・画コンテ・デザインワークスを担当するのは、前作と同じく庵野秀明。
本作ではイメージボードも担当している。
こういう映画のレビューが一番困る。なぜならほとんど意味が分からなかったからだ。
『エヴァンゲリオン』は庵野秀明の作家性が強く出たインディペンデントな側面のある作品ではあるが、ここまで巨大に成長したシリーズで、まさかこれ程までにぶっ飛んだものを作るとは、庵野秀明の頭がおかしくなったとしか思えない。
意味不明な用語や思わせぶりな描写、説明不足な空白期間など、そもそも観客に理解させようとして作られた映画だとは思えない。
こういう物だと割り切って、シンプルな頭に切り替えて映画を噛み砕くと、昔からあるロボットアニメの構図で作られた、単純な物語であることに気付く。
ミサト率いる良い者軍団と、ゲンドウ率いる悪者軍団の対立。ゲンドウの目的は人類の滅亡であり、その目的を達成すると死んだ奥さんを蘇らせることが出来る…らしい。
シンジは世界を元通りにするために奮闘するも悪者に騙されてしまい、友人であるカヲルを犠牲にしてしまう…
うん、わかりやすい!
こういうものだと割り切れば、個性的なキャラクターが派手なアクションを繰り広げる面白いロボットアニメだ!
とはいえ、これは新参者で特にエヴァに思い入れの無い人間だからこそ割り切れるのであって、20年近くエヴァファンをやっている人からすれば、とんでもなく邪悪な作品だと思う。
エヴァファンの方々にはお悔やみ申し上げます…
いや、これを楽しめるからこそ、エヴァファンなのかも。どうなんだろう…
ライブ感で繰り広げているとしか思えないシナリオは賛否両論あって当たり前。
『破』のラストでカヲル君がサード・インパクトを止めたはずなのに、ニア・サード・インパクトとかいうもので世界が滅んでいたのは何故〜?
次回予告と内容が全く違うのは何故〜?
誰もシンジくんに詳しい説明をしないのは何故〜?
特に映画開始30分の意味わからなさはヤヴァイ。
「ヴンダー」とかいうエヴァの世界観に合ってない空飛ぶ戦艦と、『グレンラガン』とか『エウレカセブン』に出てきそうな新キャラクター達がわけわからんロボット?と熱いバトルを繰り広げるが、意味が分からないのでただただポカン。
眠りから覚めたばかりのシンジ君と全く同じ気持ちで戦闘を眺めることが出来ます。まさにシンクロ率100%!
カヲル君の言っていることも何一つ意味が分からん!
シンジ君が「カヲル君、言ってる意味が分からないよ!」と声を張り上げるシーンがあるが、ごもっともだよ!
まさにシンクロ率100%!
とにかく、色々と無茶苦茶な作品だが個人的には嫌いじゃ無い。
こじんまりと纏まっていた『序』と比べれば断然こちらの方が楽しめた。
次回が最終回らしいが、本当に終われるのか?
少なくともテレビシリーズで空白の14年を埋めるとかしないと意味わからんことになりそうなのだが…
まぁ、今年中には公開されるらしいのでたのしみにしておきます!