あなたへのレビュー・感想・評価
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季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの
映画「あなたへ」(降旗康男監督)から。
今回は、オーソドックスに気になる台詞を選んでみた。
作品冒頭、夫婦役の高倉健さんと田中裕子さんの会話。
「いい音だ」と、風鈴の音に感激する夫。
「でも、秋になったら忘れずにはずさなきゃね。
季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの」と妻。
この会話が核となって、物語は展開する。
「いつもでも自分のことを思い出してくれるのは嬉しい、
だけど、時が来たら、私のことを忘れて、
あなたの人生を歩んでください」
そんなメッセージを伝え、妻は病気で死んでいった気がする。
ラストシーン間近に、夫が悟るシーンを発見して頷いた。
「女房にとって、自分はなんだったんだろうって、
そればっかり考えながらここまできました」と悩み続けたあと、
「あなたにはあなたの時間が流れてる、そう言いたかったんだと」
だから、墓に埋めずに「故郷の海へ散骨」という方法を、
「あなたへ」と書いた、夫宛てのはがきを残したに違いない。
全体には切ない物語だったが、夫婦とは?・・と考えさせられた、
静かだけど胸にしみた作品である。
安心して観れる映画
ちょっと物足りないけど、いいかなって感じ
静かな共感を積み上げつつ話が進みます。
かなり後半で漸く、綾瀬はるかの、見たことがあるポーズ(シチュエーション)の記念写真に萌えました。
そしてラストでは、そうきたかという意外性で納得し、引き続いて、次は草なぎくんのために北海道を目指すのだろうなと勝手に想像させられて、好感しました。
おそらく健さんと同じフレームにいることを意識過剰な、一部キャストの演技が残念でしたが、佐藤や余はさすがにしっかり、綾瀬もマイペースで演技していて、いい感じでした。
健さんのことはアンタッチャブルです(笑)。
日本映画
映画『あなたへ』を見ました。勿論、主演の高倉健さんは素晴らしいのですが、脇を固める、草なぎ剛さんや佐藤浩市さん、綾瀬はるかさんの演技も素晴らしかったです。そこにその人が本当に生きているような感覚にさせられました。
正に鉄板中の鉄板d(゚∀゚)b
昨今ではこれ以上ない鉄板の映画じゃないでしょうか(゚∀゚)
高倉健という日本映画界の至宝にして稀代の名俳優、ハリウッドでも好評価を得ていて、尚且つ邦画創世記から今に至るまで長年第一線で活躍してる役者を主役に据えてくそ映画なんて撮れるはずもなく、健さんが出演するというだけでもう名作間違いなしと言ってもいい(・∀・)
仕事が刑務官、しかも定年退職して再雇用された嘱託の刑務官という設定Σd(゚∀゚d)イカス!
受刑者の作業を監督しながらも、木工作業を趣味でやっていて、慰問に来た歌手と遅い結婚をし、奥さんが死んで遺骨を故郷の長崎の海に散骨すると言う、お涙頂戴的なベタな設定ではありながらも健さんが演じることでこの脚本自体が絵になると言うか命を吹き込まれるという感じがする(´・ω・`)
富山から長崎までなんて相当な長距離を車で運転してくなんて、年取った体には相当こたえるはずなのに、奥さんの遺骨を散骨してくれという遺言を全うすべく何の葛藤もなくそれを決意するだけでも相当なもの(;・∀・)
途中草なぎ君と佐藤浩市に会って、ちょっと手助けをするだけだったはずが仕事まで手伝ようになる下りなんて、実際に健さんが酔っ払いにタクシーと間違われてどこどこまで行ってくれと言われてそのまま従って送って行ったというエピソードと被るし、長崎の漁港に到着した時に焚火に当たるときもずっと立ちっぱなしなのも実際撮影所で焚火に立ちっぱなしで当たるというエピソードをそのまま再現してるような感じで、もう役を離れて完全に健さんそのものを映してる感じ(゚д゚)イーヨイイヨー
つうかもはや完全に健さん本人だろこれ(・∀・)イイ!!
草なぎ君が酔って健さんに絡んだりしても何も言わずただ黙ってるし、たけしが実は車上荒らしで盗難車に乗ってたということが発覚した時も何も言わないし、とにかく多くを語らず無口で、激昂することなくあるがままを受け入れるという姿勢が実に渋い( ´_ゝ`)
奥さんから送られた最後の絵はがきの「さよなら」ビエェェ。゚(。ノωヽ。)゚。ェェエン!!
そして古びた写真屋にある奥さんの子供のころの写真を見て一言「・・・ありがとう」。・゚・(ノД`)・゚・。
今は亡き大滝秀治も最初は船を出すのを渋ってるけど、熱意にほだされて散骨に協力して船を出し、そして散骨時には静かに合掌する(-人-)
大滝秀治の遺作としてもこれ以上ない傑作ではないかなと(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚(。_。(゚ω゚ )スペシャルウン
ところどころ挟まれる田中裕子扮する奥さんとのエピソードの落ち着いた感じもいいし、歌も素晴らしい(∩´∀`)∩
そして佐藤浩市が実は・・・っていう設定も、途中から何となく分かるけどちゃんとそれも回収している辺り好感度高いイイネ♪d('∀'o)
とにかく地味で静かで淡々と進んでく、何も事件らしい事件は起きないけど、地に足がしっかりついた大人の映画という印象。
文句なんてつけようがない上品な映画ですd(-∀-。)ネッ
本当の女の愛
本格的な日本映画のような
正直高倉健さんありきの映画かなという印象でした。各人物の心情が読みづらくもやもや感が残ってしまう部分が多かったです。亡くなった主人公の奥さんと結ばれた経緯などもう少し話を掘り下げて欲しかった。
しかしゆっくりしたペースで鼻に付くこともなく話が進む当たり最近あまり見かけない日本映画を見れたという点は良かったと思います。近頃の日本映画も娯楽性の方向が変わっていく中こういった古き良き日本映画のようなものが作られるのはどこか意欲的なものを感じました。
最初に高倉さんありきな映画と言っておいてなんですが、やはり俳優スターだけあってスクリーンの彼は何とも言えないオーラを感じました。高倉さんを大スクリーンで見るのはこの作品が初めてですが、劇場でこの人を見るだけでもこの映画を見てよかったと思えてしまいます。
これが本来の日本映画なんだなと思えるような作品です。高倉健をよく知らないという若い人は見てみるのもいいかもしれません。
健さんへのはなむけとなる健さんのための映画として企画されたのでしょうが、それがかえって墓標のようにも感じて淋しい限りです。
淡々とした作品で、寡黙な健さんにはお似合いの脚本だったかも知れません。健さんの凄いところは、画面に出ているだけでドラマになるというところです。 それにしても、なんて豪華なキャストでしょう。次々登場する主演クラスの俳優に、凄い凄い!とこころの中で絶叫してしまいました。
主人公の倉島英二が亡き妻・洋子を失い、今どんな気持ちでいるのか、そしてどれだけ洋子を愛おしく思っていたのか、時折カットバックされる洋子が生きていたときの映像と健さんの深い哀愁を讃えた演技で、涙ぐんでしまいました。
本作は、妻の散骨と2通目の遺言状の謎解きを目的とした典型的なロードムービー。健さんには、旅する姿がよく似合います。旅の途中には多彩な面々と関わり合いとなり、ヒューマンなドラマが紡がれていきます。
ただ、以外とあっさりと目的地に着いてしまうので、もっと波乱があればいいのにと思えました。主人公の英治が刑務官をしているだけに、元服役者などとの関わりで旅の行方が見えなくなるほどのアクシデントがあった方が起伏が盛り上がったはずです。
原作がそういう筋なら仕方ないのですが、どことなく今の健さんに遠慮しながら当たり障りなく、ただただ渋い健さんを描いていることが気になりました。恐らく本作を最後に銀幕から去ってしまうだろう健さんへのはなむけとなる健さんのための映画として企画されたのでしょうが、それがかえって墓標のようにも感じて淋しい限りです。
物語は、妻の洋子が、遺言状をなぜか2通残したところから始まります。「あなたへ…」で始まる1通は知人から、死後に英二に渡るように手配されていたもの。「古里の海に散骨して」と書かれていました。もう1通は現地で受け取ってほしいと、中身を伏せたまま、平戸の郵便局に送られていたのです。
妻の遺言を読むための平戸行きは、あまり乗り気ではなく受け身の姿勢で始まりました。でも旅の予期せぬ出会いが、洋子を失って深い悲しみのなかにある英二を変えていったのです。
元国語教師、イカめしを売る男と部下。結婚を控えた若い男女と船頭の老人。みんなごく普通の市井の人たちであるれど、それぞれに心に抱える悲しみや後悔の念を背負って生きていたのです。事情は違えど、倉島と似たような心境の人たちだったのですね。そんな出会う人達に、自分の悲しみを重ねて思わず相手の心を慈しみ深く包もうという英二の優しさにはグッときました。出会う人の悲しみに何か解決しようとする訳ではないのです。でも、そこにいてくれるだけで癒される気になってくるというのは、演じている健さんの人徳あってこそのものでしょう。
原作の背後には、種田山頭火の無常観に深く影響されています。英二が出会った自称元国語教師に語らせる種田山頭火と松尾芭蕉の違い。その問いかけに倉島は胸を詰まられます。それは英二に洋子の故郷の長崎・平戸までの行程が、放浪なのか旅なのか問いかけるものでした。
元教師の説明では、山頭火のように帰る場所のない旅をするのが放浪だとというのです。その点芭蕉は目的もはっきりしていて、きちんと戻るべき庵を構えていたので旅なんだとも。
富山の官舎から出発して、またそこへ戻るつもりだった英二ではありましたが、洋子を失った今は、英治の魂は山頭火のように寄る辺なき野を流離っていたのかもしれません。
けれども、旅先で悲しみを背負いつつも、賢明に毎日を振る舞い、働いている姿を見ているうちに英二は自問自答したわけですね。洋子との幸福だった過去の思い出ばかりに囚われていていいのか。洋子の残した二通目の遺言状に書かれてあったひと言も、実は、愛する夫の再起を促すためのものでした。
旅に向かわせた洋子の真意をくみとったかのように、英二は世話になったある家族のために行動を起こします。不器用な英二にとっては柄にもないことでしょう。そのちょっと意外で気張って見せた振る舞いが、いかにも健さんらしいというか、男らしくてグッとくるのですね。
出演陣で印象的なのはなんといっても大滝秀治。「久しぶりに、きれいな海ば見た」
という老漁師が語る平凡すぎる短い台詞に、心の目をパッチリと見開かされたと健さんも大絶賛。役者魂を見せ付けてくれました。
また、本作のキイマンとなる訳ありのイカめし販売員を演じた佐藤浩市の存在感も凄かったです。健さんとの共演は緊張したというけれど、結構競っていたのではないでしょうか。その販売員の上司役を演じた草彅剛のお調子のよさも絶品もの。それに比べて、元教師役を演じたビートたけしは、健さんとの共演に緊張したのか芝居が固かったですね。演じているたけしの気持ちまで伝わってくる芝居で、かえって可笑しかったです。
気持ちとしては、これで終わりとならず、健さんにはもう一本ぐらい頑張ってほしいですよねぇ~。
渋~い
このての作品は好みでないが高倉健久々ということで鑑賞。健さん渋いという声が多いが自分には渋すぎ。監督、主演が年寄では新鮮味を求めるのはムチャか。大滝秀治の「今までで一番きれいな海を見た」というセリフで満足しなければいけない。大滝は助演だから多くの作品に出演している。健さんは主演だから出演するには最低収支トントンにする責任がある。直接会ったことはないが、言動から推測するに責任感が強いだろうから、そうおいそれと作品を選べないのだろう。もちこまれた企画はみんな受け入れ、そこそこ稼いでしまう三池監督はエライ。その三池監督も最近本数が減っているようだから作品を選んでいるのかな。健さんには脇でいいからもっと多くの作品に参加して渋~いところを観せてほしい。
健さんへ。
「このヒトって、映画俳優、だよね?」
友人にそう云われてハッと気付いた。あーそうか。そうなんだ。
高倉健という存在は映画スターという存在以外の何物でもない。
歌を唄って詩を書いてブログをやって(これはやってるらしいが^^;)
舞台にもTVドラマにも出ているマルチタレントとはワケが違う。
健さんは本当の映画俳優、映画スターなんである。
どこでそれを感じることができるか。
私世代のような若輩者は、健さんのリアル壮生期を観てきていない。
彼の佇まいも台詞回しも、例えばあのCMの「不器用ですから…」が
板についてからは"ああいう芸風"の役者さんなんだと思っている人も
少なくないと思う。
ちなみに彼は、不器用どころかエラく器用なのらしいが^^;
今作で初めて高倉健を観た人(?)がどれだけいるかは分からないが、
極端に少ない台詞や動き、乏しいともいえる感情表現以外で(失礼)
圧倒的にこの人の持つ魅力に気付かされるのが、その「佇まい」だ。
御歳80歳を超えて、この立ち姿の素晴らしさ。
港町で、市場で、刑務所で、お土産屋で、食堂で、旅館で、車外で、
高倉健という、彼そのものが映画を構築していると言ってもいいくらい、
何処にいても何をいっても彼が映画(絵)になっているのだ。
何十秒も黙っているのに、観客に一秒たりとも視線を外させない俳優、
台詞の合間、合い間、に余韻を残しては、主人公の心情を正に伝える。
こんな風情を醸し出せる俳優が(名優といわれる中でも)いるだろうか。
いわゆる演技派で売る人ではないが(ホントすいません正直で)
そこにいるだけで「映画俳優」って凄いことだ、とただ思うのみである。
母親が彼の大ファン(私の親世代はもの凄く多いと思う)で、
そりゃもう、早速、付き合うことを余儀なくされた^^;観るつもりでは
いたけれど、これは時期を誤ると大変なことになったのだと後で知る。
公開間もなく観に行った私達は(満席とはいえ)まだ余裕があった。
それが大変、週が明けたら劇場チケット売り場は大混乱と化した(爆)
あっちこっちで罵声が飛ぶ。オバちゃんオジちゃん大騒ぎで押せ押せ
状態行列、「どうして観れないの?」「何で満席?」「駐車券出してよ!」と
もう~^^;劇場スタッフの皆さんが気の毒なくらいスゴイ有様だった。
もちろん今作以外の作品を観にきたお客さんからは「何で買えないんだ?」
(順番待ちになるもんね)…健さん、この騒ぎをご存じでしたか?^^;
さて肝心のお話の方(爆)は、至ってシンプル。
妻を亡くした刑務官が妻の遺言(海に散骨)に従い、長崎まで旅をする話。
道中で様々な人間達と出逢い関わっていくという、ロードムービーである。
その出逢う人々も豪華すぎるほど豪華で、チョイ役でカメオのように出演
する人もいる。みんな健さんが好きなのねぇ~。
受け身の立場で彼らの世話を焼いていた健さんが、妻の真実に目覚めた後、
重要な進言を、とある人間に残す…という、粋な設定。
緩急鋭いわけでもなく、淡々と物語は進行し、健さんの衣装すら変わらない。
せめて健さん、旅館では帽子と上着を脱いで欲しかったけどなぁ~^^;
景色の素晴らしさと健さんの佇まいの素晴らしさを味わえ、
あ~映画って(映画俳優って)こういうものだったよね、、、昔は。と、
改めて思い返す意味での秀作。高倉健は日本映画界の宝だと賞賛する。
(イーストウッド卿と並んで長生きして欲しい御人。明日の映画界のために)
これが映画だ
身近なことに重なる日常
さすが健さん、あの間が絶妙で素敵でした。
妻と夢見たキャンピングカーでの旅、明日への希望。
故郷への散骨を希望。
自分の親の話を見ているような気になりました。
愛情の表現はいろいろ、十人十色。
夫婦の形もいろいろ。
様々な思いでみる映画。
ただ散骨の骨がいかにも作り物だった点と旅が意外と近かった点、
少し引っかかりました(^^;
普段の自分の旅がおかしいのかもしれませんが(笑)
「あなたへ」の題名通り、妻との関係に主体を置いて他の描写を控えられていたので雑音が少なく見れました。
最近の感動物って感動の押し売りが多いけれど、これはそういう印象が少なくて見やすかったです。
良い映画に出会えました。
「あなたへ」は夫婦愛について、深く考えさせられる秀悦な作品でした。
「さようなら」の意味するものがあまりに深く謎めいていた為、映画の鑑賞後直ちに書店で原作を購入せずにはいられませんでした。
原作では、冒頭で倉島英二と余命わずかな洋子さんとの温かい夫婦愛が多くのページを割いて描かれており、長崎で受け取った2通目の手紙も、便箋3枚に洋子さんの英二への温かい思いがいっぱいに綴られていました。
映画では夫婦愛に関する描写が最小限に抑えられ、また2通目の手紙も「さようなら」の一言に変更されており、そのため、ある意味淡々とストーリーが展開していくことになりました。
監督、高倉健さん他出演者の方々はおそらく、原作を繰り返し読まれたに違いありません。
その作品は、私の心を、そして涙腺を激しく揺さぶる素晴らしい内容だったと思います。
その原作の、要とも言うべき上記部分をあえて変更したところに、私は、映画関係者のこの映画に賭ける熱い思いを感じぜずにはいられませんでした。
私は思います。
2通目の手紙を簡潔にした事により、この映画が、倉島夫婦だけの物語ではなく、劇場に同席した全ての夫婦&恋人たちに贈る、ラブストーリーになったのではないでしょうか。
それぞれが互いを思い、最後の別れに際し何を思い、相手に願うのか、しっとりと考える時間をくれたように思います。
エンディングの音楽と画面が止るまで、誰一人席を立たなかったことが、この映画の価値を明示しているのではないでしょうか。
素敵な映画に久々に出会えたことに、感謝して止みません。
一羽のスズメ
妻の遺骨を携え、一度も行ったことのない妻の故郷・長崎の薄香へ自家製キャンピングカーを走らせるロードムービーだが、それぞれのエピソードは淡白で希薄だ。その割に出来過ぎなぐらいリンクする。
妻との思い出の地も都合よくコース上に点在する。ご当地の催事がお決まりのように挿入されるこの手のタイアップは取って付けたような不自然さがあり、どうにかならないものか。
良くも悪くも健さんの映画。健さんを見る映画だ。高倉健の存在感は大きい。
倉島が〈鳩〉になるためのケジメとして、世話になった総務部長の塚本宛てに郵便物を投函する姿は倉島の実直さを偲ばせるシーンで、高倉健本人の人柄が重なる。
*〈鳩〉が何を意味するか、ここでは伏せておく。
妻・洋子がなぜ故郷の海への散骨を願ったのか、その真意は分からない。
洋子の絵手紙にはいつも一羽のスズメが描かれている。洋子は倉島の人生の一部に宿らせてもらった気持ちでいたのではないだろうか。同じ墓に入ることで倉島の残りの人生にまで介入することが無いようにとの配慮ととれる。
また、倉島と知り合う以前に愛した男への遠慮もあったかもしれない。
町の写真館で見つけた古い写真に拳で軽くコツンとやる仕草は、「余計な気を使いやがって」と「ありがとう」がないまぜになった倉島の気持ちの現れであろう。
絵手紙が「さようなら」と空に羽ばたき、倉島もまた〈鳩〉となって新しい人生へと飛び立つ。
いい話だと思う。ただ映画としてみたとき、話の芯がどこにあるのか掴みづらく、話の運びもリズムが合わなかったというのが正直な感想だ。10年後に観たら違うかもしれないが・・・。
あなたへ
今日は、予約して映画「あなたへ」を見てきました。
高倉健さんのファンなので当然です。
感動の物語なのでハンカチを持って行きましたが・・・使えませんでした。
役者さんは、超一流ばかり。あの、内容だと可愛そうです。
原作者の「森沢明夫」さんも、これで納得したのでしょうか?
小説と大幅に違います。半分です。
すばらしいストーリーなはずなのに、かなりカットされかなり書き換えられ、物語がどうして次はこうなるの?? つながっていません。
登場人物のそれぞれの人生ドラマも有るのに全てカットされ、なんだか話がつながりません。
一番の問題は、「あなたへ」って、郵便局留めの最後の手紙が、クライマックスで涙が止まらなくなる場面で、手紙が3枚ほど有るはずなのに・・・この映画では「さようなら」これだけ。
ぶち壊しです。
何の為に、「倉島英二」がキャンピングカーを急いで作って、思い出に振り返りながら旅をしたのか? 訳が解らず見ている方々に感じてもらえません。
こう言うのは、監督とか脚本家とか?が変えてしまうのでしょうか?
とっても、残念な映画になってしまって高倉健さんが可愛そうです。
健さんをスクリーンで観ることに意義があります
80歳の健さんに何を求めるのか?
それはまさに「健さんを」です。
映画自体は単なるロードムービーであり、
行く先々での人との出会いと触れ合いが回想シーンと
あいまって粛々と流れていくという映画です。
興奮する場面や刺激的な場面がでてくるわけでなく、
かといってここで泣ける、という場面もあるわけでなく
話が進んでいきます。
とはいえ2時間弱の映画を長く感じることなく
いつのまにかエンディングを迎えることができたのは、
自然体で無理がない作り方がされているからと思うと同時に
これが健さん映画の真髄なのだろうと再確認しました。
周りを見渡すと70歳前後と思われる方々が目立ちましたが、
こういう映画が良いんだろうな、と納得しました。
健さん
“高倉健”という永き俳優人生の巡礼の最終楽章とも云える境地
日本横断がメインとは云え、出逢いはとてつもなく多い。
殿や大滝秀治、石倉三郎etc.長年共演したベテランから、草なぎ剛、佐藤浩市etc.現在の邦画の主力株、はたまた、三浦貴大、綾瀬はるかetc.これから更に飛躍を期待される若手までヴァラエティに富んだ触れ合いである。
日本狭しと数多くの名優達と織り成す旅情記は、物語の範疇を越え、高倉健そのものの俳優人生の最終楽章を迎え入れようとする温もりにも感じた。
長い間映画史を牽引し続けてきた大スター・高倉健が今の邦画界に向けて巡礼する旅の締め括りとも云えよう。
故に主人公の口癖である「ありがとう」が言葉以上に重みを感ずる。
同時に
「これからの日本の映画を宜しく」というメッセージも帯びているからだ。
だとしたら、冨司純子や小林稔侍にも出逢って言葉を交わして欲しかったが、それではあまりにも贅沢過ぎる巡礼なのかもしれない。
ストーリーそのものの評価は〜ってぇっと…
ゴージャスな割りには無難な落語の人情噺をノンビリ聴いたような心持ち。
退屈はしないけど、感動もない。
談志師匠的に例えたら、
「オレの芝浜じゃなく、よりにもよって圓楽の芝浜を聴きに行きやがるようなものだ」
ってぇとこだろう。
(圓楽党のみなさんすいません)
故に同じ健さんの旅情モノの『網走番外地』での手に汗握るスリルも無ければ、『幸せの黄色いハンカチ』での怒涛の感動もない。
「人には優しくせなぁ〜あかんなぁ〜」
ってぇ了見がホノボノと通り過ぎていくだけである。
まあ、そういう癒やしにも似た後味やからこそ、眠れずに最後まで見届けられたんやとも思う。
また、元教師の殿やイカめし売りの佐藤浩市etc.裏に潜む人物像が見え隠れする描写力も効果的。
逢う人逢う人みなお人好しばっかしで旅自体は結構スムーズな中、一癖有る彼らの存在感が穏和な展開を救っている。
私はってぇっと、
孤高のキャラはそのままだが、不器用なイメージとは裏腹に、車内をオーダーメイドで改装したり、デジカメやケイタイetc.の機器を使いこなす姿を観て、
「不器用ですから…って、健さんおもいっきし器用やないか」
とツッコミたくなるギャップが興味深かった。
では最後に短歌を一首
『遺された 風鈴に聴く 旅の唄 荷を越えて鳩 海は流るる』
by全竜
しみじみ堪能。
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