あなたへのレビュー・感想・評価
全69件中、1~20件目を表示
ずっしりと心の奥底に届いた 素晴らしい映画でした
あなたへ
2012年公開
降旗康男監督
高倉健主演
もうこれだけで良い映画だとわかります
しかもその他の出演者の名前を見ればまた豪華な名優ばかりなのです
しかも本作公開の公開2年後に高倉健さん、2ヵ月後には大滝秀治さんがお亡くなりになられてそれぞれの遺作となりました
ずっしりと心の奥底に届いた
素晴らしい映画でした
自分が若い時に観ていたならこれだけ染み入るものをどれだけ汲み取れたかはわかりません
老齢になってからでもまだまだ元気な内であったならどうであったか
身体を壊して残りの時間を意識する年齢になったならより突き刺さる映画なのかも知れません
映画としても巧みで終盤になって観客が抱くであろう疑問がピタリと嵌まる見事さ
手紙の謎も皆さんの深いレビューで得心致しました
これからも折りにふれ何度となく見返したくなる名作だと思いました
広く深く、しみじみと
健さんが映って、健さんが動いて、話して、そして押し黙って、それが見...
グリーフ・ケア
グリーフ・ケアがテーマにある感じ。
家族、特に配偶者を亡くした人には刺さるだろうな。倉島のように、家の中にあるものを見るだけで故人との思い出が蘇ってきてつらいものです。
奥さんも亡くなるにはまだ若くて、これからも色々な思い出を2人で作っていくつもりだったんだろうなぁ…。
ビートたけしの存在がかなり異質だけど、意外な形で退場したのは、倉島の旅について考えさせるキーマンであり、ちょっと人間離れした存在として表しているのかなと自分では考えております。魔法使いとか仙人とか?
亡き妻の意図が倉島の旅に全て収まっており、美しい話だと思いました。
墓があれば、倉島は通いつめそうだから。
手紙が長文だと、ずっとそれを眺めて読んでそうだから、奥さんは何も残さないようにしたんだと思います。
「あなたにはあなたの時間が流れてる」という言葉や、ラストの種田山頭火の句が、それを表しています。自分のことを想うだけでなく、これからの自分の人生を生きてほしい、という思いが奥さんにはあったのでしょう。
南原も南原で異質な存在だったなぁ。
この手の映画は個人的にあまり見たことが無いので難しい…。
【我が人生で高倉健さんの映画を初めて劇場で鑑賞した作品。今作に出演したビートたけしさんや岡村隆史さんが、高倉さんの人柄に惚れ込んだ作品でもある。】
今作は、恥ずかしながら、高倉健さんの映画を映画館で観た最初で最後の作品である。
内容は人口に膾炙していると思われるので割愛するが、今作には故、大滝秀治さん、田中裕子さん、佐藤浩市さんという当時の邦画を代表する名優が僅かなショットに出演するために多数集まっている。
ロードムービースタイルの映画も面白かったが、健さんが演じた倉島が亡き妻の絵手紙に書かれた想いを叶えるために、旅する途中で出会ったビートたけしさん演じる男や岡村隆史さんが演じる男との遣り取りも面白く、その後NHKで放映された今作の制作風景を映したドキュメンタリー作品を見て(勿論、録画して偶に見返している。)、高倉健さんが共演した人達を思い遣り、時に高級な腕時計をさり気無くプレゼントしていた事を知り、改めてファンになった作品である。
残念ながら、この作品完成後程なくして、世を去られたのだが個人的に意義深い作品なのである。
勿論、鑑賞後に購入したパンフレットは大切に保管している。
<2012年8月30日 シネプレックス岡崎(現ユナイテッドシネマ岡崎)にて鑑賞>
映画らしい映画かな。
...............................................................................................................................................
妻に先立たれた高倉が、その遺言により遺骨を海に散布する話。
その旅で色んな人と出会う。
...............................................................................................................................................
まあ映画らしい映画かな。
でもいつも言うように、徘徊型の映画はあまり好きではない。
倉島が旅の途中で出会う、 草彅剛やビートたけしや佐藤浩市や余貴美子が演じる人たち、 これらのエピソードにいったい何の意味があるんだろう? そう思いながら見ていた。
BSテレビ東京で映画「あなたへ」を見た。
2012年製作/111分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2012年8月25日
高倉健(倉島英二)81才
田中裕子(倉島洋子)57才
佐藤浩市(南原慎一)52才
草彅剛(田宮裕司)
余貴美子(濱崎多恵子)56才
綾瀬はるか(濱崎奈緒子)27才
三浦貴大(大浦卓也)
大滝秀治(大浦吾郎)87才
長塚京三(塚本和夫)
原田美枝子(塚本久美子)
浅野忠信(警官)
北野武(杉野輝夫)65才
降旗康男監督78才
富山県の刑務官・倉島英二(高倉健)は妻・洋子を亡くした。
故郷の九州に散骨して欲しいという妻の遺言。
倉島は手製のキャンピングカーで出発する。
いわゆるロードムービーであるが、
倉島が旅の途中で出会う、
草彅剛やビートたけしや佐藤浩市や余貴美子が演じる人たち、
これらのエピソードにいったい何の意味があるんだろう?
そう思いながら見ていた。
高倉健晩年の作品にしては精彩を欠いている。
そう思った。
しかし、ラストシーン近くでやっとわかった。
主演は高倉健。
しかし主役は別の人だった。
ああそうか!
そうなのか!
イマイチパッとしないと思って見ていた映画の最後の最後にやっとわかった。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
いい映画だった。
鳩を飛ばす
公開当時に観てあまり印象に残らなかった。それが時を経て二度三度と観るうちに、ぽつん、ぽつんと、腑に落ちる小さな点が増えていく。豆電球がつくように。輝きがちょっとずつ増してくる、そんな作品です。
愛した女性と遅い結婚をした男、その妻を亡くし、弔い(海へ散骨してと遺言)の旅に出る。男も妻も、多くは語らない者同士。妻亡きあと、男は何を考えているのでしょう...二人がわかり合っていたのなら、なぜ妻は共に墓へ入ろうとしなかったのだろう。妻の本意は?自問自答しつつの旅は、男の痛みを治していく道でもある。
『あなたへ』というタイトル。
昔、健さんが自伝本『あなたに褒められたくて』を出された時の記憶をふと思い出しました。息急き切って読んだ末の、大ショック!健さんほどの人が、マザコンだったのか?と(大変失礼な表現でゴメンなさい)。でも先日引退表明した白鵬も、同じようなコメントで。「母に、よく頑張った、と言ってもらえたのが嬉しかった」。また別の番組では老教授が「妻を亡くした哀しみは、妻の前で輝いていた『自分』を失った悲しみだと気付いた」と。
あのショック。でもあれは健さんのせいじゃない。「高倉健」は、誰もが認める男の中の男。でも本に書かれた「健さん」は決して強くはなく、むしろとても繊細だった。それが私は無意識にショックだったのでしょう。弱く幼い人間は、守ってくれそうな人に自分のヒーローや守護神のイメージを勝手に着せ、拠り所にしようとしますから。
どんなスターやヒーローたちも、自分だけを照らしてくれる母や妻を太陽にして、生きている。
この主人公もそんな一人かもしれません。
真面目で仕事一筋の善人、不器用だが責任感の固まりのような男が、訳ありの女性と遅咲きの恋をし、結ばれて、幸せだった。ずっと二人三脚で人生を歩もうとしていた。男として一人の女性を守り通そうと決意していた。その覚悟、確かに愛かもしれない。
でも本当は、守り通していたのは、妻のほうだったのではないか。妻が太陽になり、寂しさや孤独に凍えないよう男を守ってくれていたのだとしたら。
むろん男は、自分が妻を守っていたと信じている。妻だって、経済的にはもちろんのこと精神的にも守られていたはず。でも太陽を傍におくことは、もしかすると太陽自身の自由意思を閉じ込めさせた部分もあったかもしれない。
妻の遺言は鳥の絵手紙。
「夫婦愛」というカゴに住む、つがいの鳥だったのか。安全安心。でも。魂には一個一個、個有の希求がある。カゴに押し込めきれない無意識の声に、どれほどの大人が耳を傾けられるでしょうか。
亡くなった妻は夫より一足早く、自分の声に向き合えたのかもしれません。妻亡き後を生きる夫にも、魂を成長させる促しを仕込んでから逝きます。
散骨のために夫を旅させる。
妻亡き後もなお、夫婦愛の思い出のカゴの中で生きるであろう夫を、カゴから連れ出す旅。貴方自身の魂の成長、その旅が始まりますよと、妻の声なきメッセージが響くようです。散骨の旅は、妻が準備してくれた夫の飛翔訓練だったのではないか。
功を奏して、道中いろいろな出会いがある。
袖ふれあうも多生の縁。
カゴは、もう長年で男を守るシェルターのような固い殻にまでなっていたかもしれない。縁にふれ、揺れ始め、殻が割れ始める。魂がまた動き始めた。
主人公よ、この妻の愛に気付け...!
ずっとその声がわたしの中では鳴り響いていました。彼の人生で、妻ほど彼の幸せを祈ってくれた人はいなかったのでは。それは肉体が滅んでも、継続している。でも男には聴こえない。「妻はわたしのことをどう思っていたのでしょう...」。
食堂の奥さんが、男に言った一言。
「夫婦といえど、全てはわからないでしょ。」
奥さん自身に向けた一言でもあったでしょう。こんな何気ないゆきずりの一言が、男の殻を一撃し、何かが溢れました。
「鳩を飛ばす」という隠語が出てきます。
主人公は食堂の奥さんの「鳩」になり、あるメッセージを、ある人に運ぶ。奥さんは主人公に、頼んだのではなく、ただ委ねた。主人公を動かしたのは何だったのか。
旅に出る前、主人公にとっての愛、それは人生の助手席に妻が座って居てくれること。大事な人を守ることだったかもしれない。でも愛とは、鳥を大事にカゴに囲っておくこと、だろうか。妻は妻、男は男の、魂の旅がある。孤独そうかもしれないが、そうではない。縁は一本一本、広い網目のように繋がっている。
主人公は自分が「鳩」になった時、自分も誰かの縁の一部だと、実感したのではないか。夫婦に限らず、誰もが広く繋がりあった網の一部だと。
自伝で健さんはスターであると同時に、人としての弱さを持ちながら生きていることを、わたしに晒してくれた。今ならわかります。弱さを見せられる強さ。でもほんとは弱いも強いもない。そう簡単には分けられない。
世界を動かしているのは法や政治、お金や同調圧力。でもそれだけじゃない。人は「鳩」を翔ばしあっている。小さな思いと気遣い。思いがけない縁で何かが起きる。意図せぬ愛となり、人が動き動かされ、助けられる。
魂がどうしたいか。
それに従って生きるしかない。誰かの幸せを祈りつつ。
カゴに押し込めるのは他人じゃなく、自分かもしれない。翔べるか不安な時は、この作品を思い出そうと思います。
心優しいあなたへ
切ないなぁ(涙)
それぞれの夫婦の形
昨日からの大好きな健さん作品、録りだめレンタルダビングDVD鑑賞も...
全69件中、1~20件目を表示