劇場公開日 2012年2月25日

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Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち : 映画評論・批評

2012年2月14日更新

2012年2月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほかにてロードショー

時を超えて私たちの傍にあるピナの華麗で仄かな運動

果たしてこれはドキュメンタリーなのだろうか。いや、事実に反しているとか勝手な作り込みがあるとかいうのではない。09年に亡くなったドイツの代表的な舞踏家であり演出家のピナ・バウシュについて、ビム・ベンダースが3Dで作ったこのドキュメンタリーは、舞台の上にあらゆる偶然や現実を紛れ込ませたピナの舞踏の精神に限りなく近づいた映画と言えるように思う。フィクションでもドキュメンタリーでもなく、魂の現実に向き合った映画。

そこでは彼女の舞踏団の代表作3本が解体され再構成される。かつての舞台、現在の舞台も接合される。3Dカメラは時には客席にあって全体を眺め、時には舞台上にあって間近からダンサーたちに寄り添う。そしてダンサーたちも観客になり、自分たちの舞台を眺める。そこにあることと遠くから眺めることが無媒介に接続され、現実の時間と空間がピナ・バウシュの時間と空間として変換されていくのである。

つまり、エルビス・プレスリー同様ピナもまた生きていると、この映画は語るわけだ。人間の身体の躍動を、水や椅子など様々な装置をその脇に置くことで制限し、装置と人間との間に生まれる空気の流れのようなものを呼び寄せようとしているかに見えるピナの舞台の、その空気の華麗で仄かな運動を、この映画は映し出そうとしている。そのための3D。時を超えて、それは私たちの傍にある。でも触れない。魂の触れ合いがあるだけなのだ。そこにピナがいる。

樋口泰人

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