「カルト作のオリジナルと比較して」フライトナイト 恐怖の夜 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
カルト作のオリジナルと比較して
オリジナル版は1985年。当時では既に吸血鬼や狼男等の往年のホラーキャラクターは古株扱いどころか時代遅れなイメージであり、それに新機軸のエッセンスを加えた作品が登場している。例えば「狼男アメリカン」や「ハウリング」、「バタリアン」等のぶっ飛んだ80年代らしい作品が数多く製作された年代である。その中の1つが「フライトナイト」だった。オタクが美女と恋仲になるという設定だが、せっかく出来た彼女を隣人の大人の男に取られ、挙句の果てにはそいつはヴァンパイアだったという奇想天外な物語で、コメディ色強めの個性的なカルト作品だった。
本作はオリジナル版の踏襲はしっかりとわきまえており、忠実過ぎる事も、妥当に行き過ぎる事もない、安定した作品だ。全てにおいて「適度」が当てはまる。それが良くも悪くもあるのだが、オリジナル版の様な風格の作品には到底ならないだろう。カルト作品と呼ばれる部類の作品などは、狙って作ろうと思っても作れない、「偶然」出来たものであるからだ。「悪魔のいけにえ」シリーズがパート2を除いてひどい扱いを受けているのは知っての通りである。本作は下手な事をして玉砕するよりかはという思想のもと、無難な路線に進路を変えたのだろう。それは幾分かは好転している様で、展開もスピーディーであり、トントン拍子で楽しめる。前半はサスペンス要素の多い流れであるが、後半はカーアクションありのアクション満載の物語であり、飽きること無く鑑賞する事が出来た。オチもやや無理があるが、主張する所は主張する様な展開で、オリジナル版との違いとして明確に描いている。CM出身の監督であり、短い中で表現をする事に注力するテレビCMで鍛えられたのだろう。今後に注目である。