劇場公開日 2012年1月7日

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フライトナイト 恐怖の夜 : 映画評論・批評

2011年12月27日更新

2012年1月7日よりTOHOシネマズ有楽座ほかにてロードショー

VFXは派手で3Dも楽しいが、オリジナルにあった不安感や切なさはきれいに払拭

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これは、かつてオリジナルを見て心を痛めた少年が「もしこうだったらよかったのに」と思って作ったリメイクなのだろうか。

オリジナルでは、主人公のガールフレンドは隣に住む性的経験豊富な吸血鬼に無意識のうちに心惹かれるばかりか関係を持ち、主人公の母親は彼とは別世界に住み、主人公が愛するホラー番組のホストは実は臆病者で、クラスメイトの孤独なオタク少年は切ない決意をする。そして主人公は最後に、隣家の怪事件よりもガールフレンドとのセックスを優先する大人に成長する。オリジナルは、そんな誰もが思春期に抱く恐れと不安、心痛む出来事がたっぷり盛り込まれ、しかもそれを観客が笑えるようにコミカルに描いていたから、愛され続ける映画になったのだ。

しかしこのリメイクでは、ガールフレンドも母も隣人に惹かれることなく、最初から主人公の味方。落ちぶれたホラー番組のホストは、ラスベガスの人気イリュージョニストに現代化され、吸血鬼退治には個人的な動機で参加する。オタク少年は孤独ではなく、かつて主人公を含む仲良しトリオだったという設定。オリジナルにあった不安感や切なさはきれいに払拭されていて、そこで冒頭のような仮説に至った次第。その分、VFXは派手だし、飛び出る3Dも楽しいのだが。

今、ホラー映画をアップデートするとはどういうことなのか。リメイクとは何なのか。そんなことを考えさせてくれる。

平沢薫

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