劇場公開日 2013年7月6日

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モンスターズ・ユニバーシティ : インタビュー

2013年7月3日更新
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11年ぶりの再タッグ!石塚英彦&田中裕二が語る“理想の相棒”とは?

「トイ・ストーリー」シリーズのウッディ&バズをはじめ、「ファインディング・ニモ」のマーリン&ドリー、「カーズ」シリーズのライトニング・マックィーン&メーターなど、名コンビが繰り広げる夢と友情の物語こそ、ディズニー/ピクサー作品の神髄であり、醍醐味だ。そしてこの夏、あの凸凹コンビが11年ぶりに復活。“怖がらせ屋”のモンスター・コンビ、サリー&マイクの青春時代を描いた「モンスターズ・ユニバーシティ」が公開される。前作は、国内で興行収入93億7000万円を記録した「モンスターズ・インク」(2002)。そして、日本語吹き替え版にはタレントの石塚英彦&田中裕二が再登板することに。ファン待望の再タッグを果たしたふたりが、“理想の相棒”像を語った。(取材・文・写真/内田涼)

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その多才ぶりで幅広い活躍を見せる石塚と田中だが、やはり基盤となっているのが「ホンジャマカ」、そして「爆笑問題」というコンビでの活動だ。ともに20数年のキャリアを誇り、今も絶大な人気を誇っている。

「相棒……、というよりは僕ら芸人は“相方”って言葉がしっくりきますけど、うちの恵(恵俊彰)は僕と性格がまったく違うんですよ。同じ番組で共演したり、同じステージに立つと、常に僕にないものを補ってくれる。コンビを組む前は、ピン芸人でしたが、ひとりじゃできなかったネタがふたりならできる。可能性が広がるという意味でも、相方というのは、やっぱり必要な存在だと思いますね。本当にサリーとマイクみたいでしょ?」(石塚)。

これには田中も「そうそう」と大いにうなずき、「この映画のテーマでもあるけど、最終的には相手を信用しているかどうかが大切だと思いますよ」と語る。「相方の太田(太田光)は世間的にはちょっとおかしな人、というイメージかもしれませんが(笑)、実際にはいい加減なことは一切しない、ズルが大嫌いな男なんですよ。だから、一番信頼が置けるし、常にコンビのためにいろんなことを考えてくれる。例えば、僕がピン芸人だったら、仮にある程度の才能があったとしても絶対に消えていた。それこそコンビの妙だと思うし、マイクとサリーがうまくいっているのも、お互いのバランスがうまく取れているからでしょうね」(田中)。

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映画は前作からさかのぼり、怖がらせ屋のエリートを養成する名門“モンスターズ・ユニバーシティ”を舞台に、サリーとマイクの出会いを描いた。幼い日に社会科見学で訪れたモンスターズ・インクが忘れられず、「将来、立派な怖がらせ屋になる」と決意した目玉がひとつの怪物マイク(田中)は、持ち前の根性と努力で、ついに大学の門をたたく。一方、毛むくじゃらの巨体モンスター・サリー(石塚)は、怖がらせ屋の名家に生まれ、大学でもエリート街道を邁進。しかし、マイクはその愛らしい外見が、サリーはエリート意識ゆえの怠慢が災いし、退学のピンチに立たされてしまう。

モンスターズ・ユニバーシティに負けない厳しい競争社会である芸能界で、わずかなチャンスをものにし、長年第一線で活躍する石塚と田中のふたりも、夢の岐路に立ち、思い悩むサリー&マイクには強く共感しているという。

「今は『とにかく夢を持たなきゃ』って風潮も強いですけど、明確な夢や目的に向かって一心不乱に突き進めること自体、珍しくてラッキーなこと。ほとんどの人は、自分が何をしたいか、この先どうなるかなんてわからない。でも、だからこそ人生は面白いんですよ。僕が演じたマイクだって、そう。怖がらせ屋を夢見た彼が、相棒・サリーにとって最高のパートナーになる過程は、若い人たちだけじゃなく、社会で働く世代にも響くヒントになると思いますよ」(田中)。

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「本当にそうだよね。夢って人それぞれだし、自分なりの『こう生きたい』という思いを大切にすればいいと思うんですよ。100%の実現なんてありえないけど、今の若い人たちと接していると、そこにこだわり過ぎている気もするなあ。まずは一歩前に自分から動かないと! この映画はそんな勇気をくれるんじゃないかな」(石塚)。

ちなみに11年ぶりのカムバックで、前作よりも若い大学生役。それでも「僕は精神年齢が中学3年生のままですから。自分でいうのもなんですが、老けた印象もないし、同窓会でオーバーオール来ているやつなんていないですよ(笑)」(石塚)、「僕は中2で止まっていますよ。まあ、今回もオファーをいただき、ホッとしましたけど」(田中)とプレッシャーはほぼ皆無。この軽やかさも、夢を引き寄せ、自分らしく生きる近道なのかもしれない。

「信じれば夢はかなう」というクラシカルな発想から一歩踏み出し、「誰もが、自分でも気づかない適材適所の能力や才能をもっている」という現実的なメッセージにたどり着くのが、「モンスターズ・ユニバーシティ」の魅力であり、いつだって夢物語では終わらないピクサーらしさでもある。

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