スパルタの海
劇場公開日 2011年10月29日
解説
家庭内暴力を起こした少年・俊平が、非行少年や不登校児の更生施設として知られる愛知県美浜市の戸塚ヨットスクールに送り込まれる。入校初日から校長の厳しい体罰を受けても反抗を止めない俊平だったが、嫌々ながらもヨットの訓練に参加するようになる。俊平はそこで、壮絶なしごき、突然の仲間の死、卒業していった仲間アッコへの恋など、さまざまな経験を積んでいく。1982年、生徒の相次ぐ死亡事故で校長ら関係者が逮捕される事態に発展した「戸塚ヨットスクール事件」の影響で公開が中止された青春映画。2011年劇場初公開。
1983年製作/105分/日本
配給:アルバトロス・フィルム
スタッフ・キャスト
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2012年5月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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『3年B組金八先生/第2部』etc.深刻化する非行問題へのメッセージ作品の決定版として注目されていたが、生徒の死亡事故が相次いで発生。
日常の暴力による過失致死として戸塚宏校長を中心に、幹部が逮捕されたのが原因で公開を中止し、永久封印された曰く付きの作品である。
(詳しい経緯は、天野ミチヒロ著:放送禁止大全を読むことを薦めたい)
情緒不安定で見境なく暴れまわる問題児達に真正面から向き合い、躊躇せず喰らわす鉄拳制裁は、ゆとり教育への強烈なアンチテーゼのようで、観る者を圧倒させる。
この頃の伊東四朗は、伝説のコントキャラ・ベンジャミン伊東時代と『伊東家の食卓』時代との中間地点。
『おしん』の親父夜明け前に、笑いなしで突っ走る極端な振り子の振れ幅は改めて凄いと云わざるを得ない。
頻発する未成年犯罪の凄惨なニュースが途絶えない現在、劇中に繰り広げられる体罰の嵐を容認している自分と、否定している自分に両方気付く。
自ら悪者となって、憎悪の対象になる事で生徒達の反骨精神を呼び覚ますのは解るが、必ずしもハングリーな生徒ばかりではない。
昔から、
《人間、死ぬ気になれば、何だってできる》
って云うけど、
《こんな辛い思いするなら死んだ方がマシだ》
っとも云う。
あいにく人間の性根は圧倒的に後者である。
弱者は海に蹴落として目を覚ませば良いってワケではないハズである。
いくら問題児やからといって檻にブチ込むのは明らかに筋違いだ。
早朝ランニングで、コーチがタバコ吸いながら、
「たるんでんじゃない!!」
って竹刀振り回したけど、食わえタバコのアンタも充分たるんどるやないかと思ってしまう。
しかし、奇麗事を並べてみても、劇中で親達が藁をもすがる想いで懇願する実態を垣間見ると、教育の難しさを痛感する。
やっぱりシゴキの必要性を一部容認する了見が我が心に居座っていやがる。
ヤなざわつきである。
いつにも増して支離滅裂な文章やったけど、まぁいいや…。
では最後に短歌を一首
『教(狂)育に 揉まれし狼(イヌ)へ 贈るムチ 甘えを断ちて 荒波に問う』
by全竜
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