「外連味たっぷりな豪快チャンバラアクションに大興奮」るろうに剣心 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
外連味たっぷりな豪快チャンバラアクションに大興奮
友人からの勧めで、2021年6月現在、劇場公開されているるろうに剣心の最新劇場版を観に行くことになりましたが、過去作を観ていなかったので今更ながら鑑賞しました。有名作品ではありますが、私は原作もアニメも観ていないので事前知識はほぼ無いと言っていいと思います。
結論、これは今後の「時代劇」を塗り替える作品になるかもしれませんね。
ストーリーが面白いのは当然として、何より驚かされたのはワイヤーアクションも使用した豪快なチャンバラアクション。とにかく速い!!とにかくカッコいい!!時代劇の殺陣には今までなかったようなアクロバットな演出が多くて視覚的にも楽しめる。今後の「時代劇の殺陣」の常識を変えるかもしれない作品だったと思います。
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幕末の動乱期に「人斬り抜刀斎」として恐れられた緋村剣心(佐藤健)。明治維新から10年の月日が流れ、剣心は「不殺の誓い」を立て、人を切ることができないように刃が逆についた逆刃刀を携えて放浪の旅をしていた。剣心が東京に来ていた折、「神谷活心流 人斬り抜刀斎」を名乗って辻斬りを行う者がいるということで、神谷活心流師範代の神谷薫(武井咲)は刀を携えて歩く剣心を怪しみ、声を掛ける。
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現実の明治時代の東京を舞台としたストーリー。着物で生活する庶民と、洋服を着て生活する貴族。日本古来の文化と文明開化によって諸外国から流入してきた文化が入り乱れる非常にカオスな時代です。このカオスな時代設定と、その時代設定に説得力を持たせる作りこまれた衣装やセットなどの小道具を見ると、「金掛かってんなぁ」「よくできてるなぁ」と思いますね。これだけ大掛かりなセットやエキストラに至るまでの何百着の衣装や小道具を用意するのはかなり大変でしょうから、製作陣の「るろうに剣心の世界観を完璧に作り上げるぞ」という意気込みを感じられて良かったです。
役者陣も素晴らしかった。剣心を演じる佐藤健の演技は特に素晴らしく、普段の穏やかな表情から戦闘シーンのキリッとした表情に切り替わるところは本当に良かった。『仮面ライダー電王』を思い出しますね。普段の気弱な表情が、「イマジン」に憑依されることで別人のように切り替わるのが非常に印象的な作品でした。佐藤健さんは「顔の切り替え」は本当に上手いです。
また、個人的に好きな俳優さんである香川照之さんがめちゃくちゃ印象的な敵キャラとして登場しているところも良かったですね。ああいうキャラを演じるは香川さん以外に考えられない。すごかった。
そして何より素晴らしかったのは、今後の時代劇に影響を与えるかもしれないとすら感じたワイヤーアクションも使った迫力満点で外連味たっぷりな殺陣です。
映画マニアとしても知られるライムスター宇多丸さんが「時代劇は観る人も撮る人も減って、時代劇の技術は途絶えてしまった」とおっしゃっていました。時代劇の撮影方法が今ではほとんど手探り状態になっていますが、この時代劇の殺陣に現代的なアクション要素と撮影技術を存分に取り入れた本作の殺陣は、伝統的な殺陣とは全く異なりますが、外連味たっぷりなアクションになっていて観ていて非常に面白い!!
ストーリーも、原作未読の初見さんに優しい構成になっていました。全く事前知識が無くても、世界観にしっかり入り込めるようになっていたのは素晴らしいと思います。
「漫画原作の実写映画」はあまり評判の良くない映画が多いように感じますが、本作は例外だと思います。非常に面白かった!!オススメです!!