「控えめなおじさん。」ロラックスおじさんの秘密の種 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
控えめなおじさん。
日本語吹き替え版では、志村けんがロラックスおじさんの声を
あてていることで、一気に「変なおじさん」と化してしまう恐れが
あった本作なんだけど、観てみたらほとんど気にはならなかった。
冒頭からいきなりミュージカル仕立てになる凄いアニメで、なるほど、
だから本国ではテッドの声にZ・エフロンか~。なんて頷いてみたり。
内容は「いたってありきたり」なテーマを謳っていながら、
観せ方が上手いので、大人も子供も最後まで飽きずに鑑賞できる。
色遣いも綺麗でフワフワとかポワポワしたもの(漠然としてますけど)
が、お好きなヒトには堪らないんじゃないだろうか。
絵品作家が環境保護をテーマに描いた原作で、もちろんテーマは
環境破壊について。世界に一切の植物が無くなってしまい、すべてが
プラスティックや塩化ビニールでできたものになっているという設定。
当然新鮮な空気が無くなるので実業家オヘアが空気を売り捌いている。
国民はそれでも今の生活に大満足~♪
とばかりに歌ったり踊ったり、どうみてもバカとしか言いようのない、
おふざけモード全開で始まるのだが、細かく観ていくと、やはり本物の
木が見たい!とか、欲しい!とかいう人々がいたりするところがいい。
そこで、憧れの女友達に本物の木を見せてやりたい!と奮闘するのが
主人公のテッド。街外れに住むワンスラーという伝説の老人を探しに
街を出て行くのだったが…。
初めこのワンスラーの声を、誰があてているのか見当がつかなかった。
エライ関西弁だし(爆)、ミュージカルだから?歌なんかも歌っているし、
ハテ…この声は…?なんてしばらく映画そっちのけ(スイマセン)で考えて
しまった。あー!トータスか!と気付く頃にはロラックスおじさんが登場。
決して変なおじさんではない?このおじさんは、森の木の代弁者だった。
若い頃に街を出て、自身の開発品を売り捌いて金持ちになる夢を実現し、
森の皆と仲良く暮らしていたワンスラーだったが、彼が全ての木を伐採
してしまったことで、美しい世界が一変してしまう…という過去のお話を
テッドに聞かせるワンスラー。事態を打開すべくテッドのとった行動とは。
タイトルになっているわりには、ロラックスおじさんの影が薄い(爆)
必要以上にシャシャリ出ないし、意見も云わない。じっとワンスラーの
行動を見守り、進言するのだが、期待を裏切る事態に見舞われたらば、
ひっそりと去っていく。。なんとも、控えめなキャラクターだった^^;
どちらかといえばワンスラーとテッドの二大態勢で自然を取り戻す!と
いう、人間に対するアプローチ(環境保護への)が押し出された作品だ。
まぁそれが一番、言いたかったことなんだろうが。。
観せ方が巧いので、鑑賞後何かの苗を種から育てたくなること請け合い。
植生物が育たない環境で、人間が生きていかれるわけないじゃないという、
当たり前の幸福と一歩前へ。(宅配じゃなくてね)踏み出す勇気を促す作品。
(あのホワホワ感が堪らなかったわ。触りたい~♪埋もれたい~♪ってやつ)