ミッドナイト・イン・パリのレビュー・感想・評価
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教養必須、日本人にはなかなか
ヘミングウェイならウディ・アレンを殴る?
ウディ・アレンの映画は2、3本しか見ていないが、どれも男女のカップルが知的でお洒落で恐ろしく退屈な会話を延々と繰り広げてすれ違い、主人公がまた退屈極まりない思いを吐露しながら、どうしようもない日常がだらだらと続いていく…というパターンだったと思う。
本作も同工異曲で、パリを訪れたアメリカ人カップルが、延々とつまらない日常会話を繰り広げて行き違い、主人公は今度はパリに集まる過去の文化人たちと交流する夢に耽るというお話。この人は何本撮っても同じものしかできないのだろうか。
夢の中で出会う文化人たちとの会話には、知的クスグリがたっぷり仕込まれているようで、小生にはT・S・エリオットに向かって「ハリウッドではマリファナのスプーンで人生を測ってますよ」と主人公が語りかけるシーン(これはエリオットの「ぼくはコーヒースプーンで人生を測りつくした」という詩行のパロディ)と、映画監督ブニュエルに代表作『皆殺しの天使』のアイデアを吹き込んでやるシーンくらいしかわからなかったが、分かる人にしか分からない要素が多数あるのだろう。
しかし、そんなことが分かっても、特に映画が面白くなるわけでもなかろうし、それで得意になるのは、本作で軽侮されているソルボンヌ大学で講演する衒学野郎と同じではないかw
ハリウッドの中では、『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』等の巨額の制作費を投じて特撮を駆使した映画や、『ジェイソン・ボーン』のようなジェットコースター・ムービー等の対極に位置する、いわば日常系映画ということになるのだろう。
残念ながら小生には、いまだウディ・アレンの良さが分からないし、今後もずっと理解できないかもしれない。
追記)
久しぶりに見直して、この映画がいかに政治的メッセージに満ちているかを再確認した。
主人公は明らかに民主党支持者であり、フィアンセの父親は共和党右派である。本作の2年前、2009年に発足したオバマ政権はろくでもない無能政権で、米国内にはオバマ批判のティーパーティー運動が盛り上がるが、主人公はそれに批判的だ。彼の思想の健全性を疑った父親は探偵を雇って素行調査をさせており、主人公はそんな父親の取巻きと馴染めず違和感を抱き、古き良きパリに逃避している……という構図なのだ。
しかし、その古き良きパリがウディ・アレンを歓迎するかは極めて疑わしい。ヘミングウェイ『日はまた昇る』はまさにこの20年代パリからスペインを描いた傑作で、サブキャラクターの一人・小心翼々たるボクサーが恋人を横取りされたと勘違いして、嫉妬から主人公をノックアウトした挙句、許しを請うというバカげたシーンがあるが、ウディ・アレンがこのボクサーとダブって見えるのは皮肉なことだ。
内面のぐじゃぐじゃをぶちまけ続けているウディ・アレンを見たら、行動の作家が逆に彼をぶん殴ると思うのは小生だけだろうかw
大人のためのお伽話
いかにもウディ・アレンらしい映画
前知識なくても、見ていてすぐにウディ・アレンの映画だとわかってしまうほど、ウディ・アレン色が濃い映画。そもそも主人公がウディ・アレンの話し方そっくりである。
タイムスリップものなので、最後どういうオチがあるのかと思っていたが、オチはなかった。婚約者と別れたあと、コール・ポーターのレコードを売っていた店の女性との新しい恋の予感で終わるところがいい(ロダンの案内の女性でもよかったかもしれないが)。雨が降ってきて、雨のパリが一番と言っているので、主人公と趣味が合いそうでよいのではないか。
そういえば、ヘミングウェイが出ていたので思い出したが、ウディ・アレンの映画「マンハッタン」で、ヘミングウェイの孫のマリエル・ヘミングウェイが出ていましたね。
好きの詰め合わせ
花の都パリを舞台にしたオシャンティ映画。悩み多き脚本家が小説に挑戦するも、なかなかアイデアが浮かばず…。深夜24時の鐘がなるとクラシックカーがやってきて…というお話。役者が演じるとわかっていても、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ…。好きがいっぱい詰まった映画
車に乗ってタイムスリップ
パリに、1週間よりは1ヶ月!
古くはデュヴィヴイエ監督の
「パリの空の下セーヌは流れる」等の
パリ賛歌の映画は多く、
この作品も冒頭からパリ賛歌を
ムンムンさせているような印象だ。
NHKBS放映を機に3回目の鑑賞。
本来はタイムスリップ物は
リアリティ欠如の最たる物語なので
好みの映画は多くはないのだが、
何故かこの作品については
徐々に好きになってきてしまっている。
リアリティ欠如はどこへやら、
ライト感覚で、主人公憧れのパリ世界へ
観客をも魅入らせる見事な脚本に思える。
ウディ・アレン作品も随分観たが、
ストーリー性に重点を置く作家ではないので
正直各作品を詳細に覚えてはいない。
また繰り返して観てみようと思うことも
それ程なく「インテリア」は改めて、
と思っている位だったが、
この作品を契機に、また改めて彼の作品を
再鑑賞しなくてはとの誘惑に駆られた。
この映画では懐古主義の主人公に合わせ、
彼を過去のパリの世界へ連れて行く。
そして、更なる過去への
ノスタルジーの連鎖反応的展開も見せたが、
アレンの確たる想いは時代に限定されない
パリそのものに対してなのだろう。
それにしても、100年以上も前の場面でも、
セットではなく、ロケで撮影出来る
パリの雰囲気は素晴らしいの一言だ。
私も観光旅行で、
パリに1週間滞在したことはあったが、
出来たら1ヶ月程で良いので住んでみたい
との気持をかき立てられた作品でもあった。
2021.10.26追記
NHKの“100分で名著”を見ていて、
ヘミングウェイの「移動祝祭日」の
登場人物に似通っていたので調べると、
そもそもが、
この書籍をもとに製作された映画とのこと。
是非読んでみなくては!
真夜中のパリに魔法がかかる
あの頃は良かった
主人公ギルは憧れの1920年代へ迷い込み、そこで魅力的な女性アドリアナと出会う。1920年代はギルにとっては黄金時代だが、当代のアドリアナは更に昔の1890年代こそが黄金時代だと言う。二人で1890年代へ迷い込むが、アドリアナはこの時代に残ると言い出す。これがきっかけでギルはこれまでの自分の行いが逃避であった事に気付き、きちんと現実を見て前へ進んで行こうとします。
ギルの憧れは逃避でしたが、アドリアナの場合は逃避というよりは自分探しであったように思います。迷い込んだ1890年代で“愛人”としてではなく、“服飾家”としての自分を必要としてくれる事が嬉しく、ようやく自分の居場所を見つけたと思えたのだと思いました。
どの時代の人もそれぞれに悩みを抱えていて、遠い“あの頃”に思いを馳せていたというのが面白かったです。昔の事は美しく見えるのでしょうか?それとも、当代の人はその時代ならではの良さに気付けないものなのでしょうか?コロナ時代の今も、あと100年くらい経てば“あの頃は良かった”と言われるようになるのだろうか...
夢物語
気楽に見れる
落ちなし山なしの懐古趣味で過去のフランスに集まった芸術家・小説家を紹介する映画。テーマは「古き良き時代を思う」。で、主人公が後半にいっていたが、誰もが現実よりも古き良き時代や理想郷を思ってしまうものだと言うこと。ダリ、ピカソ、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド夫妻等の事を知っている人は楽しめるかと。見終わった後、軽くamazonのレビューを見て、映画を楽しむには背景を知っているかどうか、どこにテーマを見るかどうか、登場人物それぞれの象徴は何かを考えるかいなかで評価は分かれるのだなと感じた(自分は背景や登場人物の事をあまり知らず、物語の構造やテーマを深く考えずに見た)。
いつの時代でも懐古厨はいるんだね
雨の夜とパリのロマンチックファンタジー
「カイロの紫のバラ」のパリ版のような、ウッディ・アレン監督らしいファンタジー。
恋人の親、特に母親がウザすぎて笑った。結婚するということはあの母親ももれなくついてくる感じなのに、美人の恋人と結婚できるというだけで舞い上がっている主人公。他にも色々と見落としていて、男性だけど夢見る夢子だったw。まあ、だから夢見る時代にも行けたのかな。
ちょっと心寂しい夜に、こんな空想したら楽しいだろうなというような映画。
総じて、軽めでツッコミどころがあっておしゃれで楽しめた。
woody allenの映像って鮮やかで幻想的
ダリとかヘミングウェイとか出てきてうぉ!役者ってわかってるけど熱く世界観語ってる!感激ぃ!ってなった!
やっぱり歴史で語り継がれるのはその時代の良かったこと悪かったことのハイライトだもん。みたことない時代に想いを寄せるのは当然のことなのでは。私も自分の父親が語るバブルの時代を羨ましく思うしみてみたいもの。
ギルがタイムスリップ先でアドリアナに胸を高鳴らせてるのみてフィアンセがいて何しとんねん!とイライラしていたけど終盤にそのフィアンセも浮気してたことにお前はもっとひどいことしてたんかい!とイライラはなくなり。
woody allenの映像って街の明かりとかお洋服の色とか鮮やかで楽しいな。もっと他の作品を掘り下げてみたい。
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