「家元のイリュージョン落語に通ずる笑いの世界」ミッドナイト・イン・パリ 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
家元のイリュージョン落語に通ずる笑いの世界
同じ議題、同じアメリカ映画やのに、先日観た『メン・イン・ブラック3』とは180°違うタイムトラベル噺で驚いた。
落語で喩えるならば、終始ドタバタ賑やかで誰しも親しみやすいMIB3が桂枝雀師匠の爆笑落語で、
対して気さくな掛け合いとシュールな世界観が広がり、客に高度な価値観を要求される今作は、立川談志師匠のイリュージョン落語に通ずる笑いに近い。
…って、昼間っから何を言うとるんだ私は!?
要するに、江戸の風が吹くように、パリの風が吹いていたのである。
…余計、解らんかな…。
不意に何の説明もなく、ダリやヘミングウェイ、ピカソ、モディリアーニ、シャネル、モネ、コクトーetc.名だたるカリスマが現れては、各々の逸話をネタに小刻みに盛り込み、通り過ぎていくウディ・アレン流のギャグ構築は、
「解るヤツだけ解りゃあいいんだ」と、置き去りを辞さない家元の哲学を彷彿とさせる面白さを感じた次第だ。
不条理な流れを追い掛ける快感というか…
って、やっぱり解らんかな…
そういう人は家元の『鉄拐』とか『疝気の虫』『居残り佐平次』を聴く事を大いに薦める。
では最後に短歌を一首
『恋醒めて 筆はさ迷う 花の街 神は気まぐれ 夢に居残る』
by全竜
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