エンディングノートのレビュー・感想・評価
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砂田麻美の凄味に嗚咽を忘れる
こんなものを見せられて、平常心を保っていられるはずがない。初見では、嗚咽を漏らした。だが、鑑賞回数を増やしていくごとに、自らの父親が旅立つまでをカメラにおさめた砂田麻美の明確な意志というものに凄味を感じ、嗚咽を漏らすよりも、彼女の仕事ぶりを細かく検証し、感嘆…を繰り返した。ただただ、砂田親子に喝采をおくりたい。
父親の最期を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー
末期がんを宣告された父親の終焉までの足跡を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー。
以前、ある方が「がんはいい死に方だ。逝く方も遺される方も準備ができる」と言っていたのを思い出す。この言葉通り、本作ではがんが主人公の身体を徐々に蝕みつつも、家族と一緒の生活を送り、落涙や放心を繰り返しながら、双方が別れの準備をしていく様がつとめて朗らかに記録されている。美しくも切ない家族の物語。
本作のように、遺される者の悲哀や落胆だけでなく、逝く者の死への葛藤と受容も描かれている作品は珍しいのではないか。ハナレグミの「天国さん」がたまらなくいい。パートナーや家族、自分の両親と観て欲しい、素晴らしい映画。
強いて難癖をつければ、まさに死の際の演出とナレーションの2点。臨終の場面、「表現者」と「実の娘」の間で揺れ動く気持ちは分からないではないが、末期がんの父親に被写体となる覚悟を決めさせたのなら、監督本人も最後まで加虐的なドキュメンタリストとしての覚悟を決めて欲しかった。またナレーションは監督が担当しているが、声がアニメ声すぎる。予告編を読んでいるプロの男性のほうが良かったのではと思う。
【高度経済成長期を担った敏腕営業マンが、ステージ4の癌を告知され、終末を迎える姿勢に頭を深く垂れたドキュメンタリー作品。家族を愛して大切にしていたからこそ、あの終末を迎えられたと思った作品でもある。】
ー 癌の末期の方のドキュメンタリー作品という事で、重いトーンかと思いきや、ステージ4の癌を宣告された、故、砂田さんの姿を娘さんの是枝監督の当時助手であった砂田麻美監督自身が飄々としたトーンでナレーションを担当し、父の死に向かい会っている姿が印象的なドキュメンタリー作品である。-
◆感想
・映画の対象となった砂田知昭さんが、バリバリの営業マンで、役員まで上り詰め、退職を迎える姿から物語は始まる。
ー 休日もなく、接待ゴルフをし、会社に貢献する姿。高度経済成長は、砂田さんの様な方々に寄って成し遂げられたのだなあ、と思う。そして、定年退職の日に皆に送られる姿。
だが、御夫人とは土日も厭わず働いてきた結果の溝が出来ている・・。-
■だが、砂田知昭さんが、ステージ4の癌告知をされてからの、自らの終末に向かっての精緻な段取りをする姿は、心に響く。
ー この方が、周囲になるべく迷惑を掛けずに終末を迎える過程を、自ら”to do 1"から精緻に計画して行く姿。
自分の事だけではなく、周囲の事も考えた用意周到な計画。そこには、砂田さんの人間性が見て取れる。自分の葬儀を”シンプルに、コストを掛けずに”行う事を考える姿勢。ナカナカ出来ない事ではないであろうか。
砂田さんがサラリーマンとして、役員まで上り詰めたことが良く分かるし、人柄も伺える。
宗教も仏教から変えている。ここまで、遺される妻や、子供たちの事を考える事が出来る人は、稀ではないだろうか・・。-
・更に驚くのは、砂田さんが、身体が病に侵されて行く中でも、母や妻と共に伊勢旅行をしたり、ギリギリまで生の喜びを享受している姿である。
ー 医者も驚いている。-
・だが、年を明ける事が難しいと医者に告げられた時に、妻が涙ながらにアメリカに居た息子に連絡を取るシーン。
ー 砂田さんの息子さんが、急遽、孫を連れ日本に戻って来る。そして、彼は父親譲りの聡明さで、総てを仕切って行く。勿論、砂田さんが書いていたエンディングノートが元になってはいるのだが。
砂田さんご夫婦が、キチンと子供を育てていた事が、良く分かる。-
■”to do 10"のご夫婦だけの会話のシーンは可なり沁みる。涙がボロボロ出る。
妻からの感謝の言葉・・。夫からの感謝の言葉。
<今作は、日本の高度経済成長期を担った男の、見事なる生の終活を描いたドキュメンタリー作品である。
故、砂田さんの妻や家族を想っての、終活プランを実行していく様。
それを支える息子さんを主にした、家族の姿。
砂田さんが、激烈な仕事をする中で、如何に家族を愛して、大切にしていたからこそ、あの終末期の迎えられたのだろうと思ったドキュメンタリー作品である。>
死に際は美しくありたい
多分、劇場で観たはずなのだが、ネトフリに入っていたので改めて観た。
良いドキュメンタリーだし、監督の実娘は大変だったであろう。
主演(なのかな)の父親は、昭和の営業マンで、ある意味素晴らしい人生だったのではないか。良い終末を迎えたのだと思う。
敢えて、医師としての辛口目線で言えば、
ある程度の財力が無いと、このような最期はむかえられない。
医療麻薬を使っているような様子は無いので、そこはどうだったのか?
ヘリコバクターは陰性だったのか?
を知りたい。
自分もこのような最期にしてもらいたい。
上映当時に楽しみにしていたのだが結局観れず終いでいたものをやっと観...
上映当時に楽しみにしていたのだが結局観れず終いでいたものをやっと観れたのに先ず一つ感動。
我が親父も昭和一桁生まれのそれは気骨のあった人だったが高度成長期を支えて来た人達に通じている様な潔さや散り際の清さを改めて思い知る。
いつか必ず訪れる我が身のエンディングも清く潔く在りたいと願う。
男の美学を見せつけられる
ドキュメンタリーながら、終わりが分かっていながら、
全く退屈しない、常に涙流しっぱなしの作品。
でいて、時々のユーモアで救われる。
「段取り命」のサラリーマンが、
自分の死に際まで段取る。
まさに美学の骨頂。
「孫と一生懸命遊ぶ」という課題とか、
「葬儀に呼ぶ近親者リストの作成」とか、
自分の終演を正に「演じる」姿は、
月並みだが、男の中の男である。
この人の美学に圧倒されたまま進むと同時に、
ずっとカメラを回し続けた、
監督である娘さんの、父への愛が溢れている
素晴らしい作品。
ドキュメント系で、こんなに泣けるものは初めて。 「不幸せではなかっ...
ドキュメント系で、こんなに泣けるものは初めて。
「不幸せではなかったよ」という言葉。
日本男子の最上級の愛情表現だとおもった。
死は避けられない。100%の死亡率である。
その死をどのような心境で迎えるのか。
自分で意識して迎えるのか。
思いがけず迎えるのか。
それは自分の病を受け入れることから始まるし、自分そのものを見つめることにもつながる。
するべきこと to do 1~11までの項目は人それぞれだと思うが、それを実行する残される側の決意や意思もあるだろう。その双方の信頼関係を強く感じた。
ただ・・・教会を選び、洗礼受けることに対して、経費だけで選ぶことには疑問だが、それも個人の選択である。その辺りのことをもう少し知りたかった。
泣けた~(ToT)
いや~、泣けました。
涙がぼろぼろ出て止まりませんでした。
お父さんはどんな役者よりかっこよく見えたし、お孫さんは
本当に可愛かったです。
『家族愛』がズーンと感じられたよい映画でした。
死に方としては、非常に理想的なのかもしれません。
家族に見守られて息を引き取れるのは羨ましい。
さて、小生はどのような幕引きをしようかな。。。
破顔一笑
いや本当恥ずかしいです。
最初から最後までずっと泣いてました。
本当ずっと泣いてた。
こんなに映画館でボロ泣きしたのは初めてかもしれないってぐらい。
最期なんかもうハンカチで口押さえてないと嗚咽が漏れそうで耐えるのが必死でした。体まで震えちゃってるし。
鑑賞後も気持ち落ち着ける為に、そのまま個室トイレに十分ぐらい篭ってましたw
いや~、もう、内容に関しては何も言うこと無いです。感想とかも。
ちょっとマトモなこと書けそうにない。
本当に良かった。それだけ。
映画でこんな感情揺さぶられたのって、そんな経験ないですもん。
まさかここまで揺さぶられるとは思わなかった。
自分でも戸惑ってるぐらいです。
あー、あーダメだ。
思い出したらまた泣きそうになってる。
暫くはこの状態に陥りそうです。
生きる事は素晴らしい!家族は有り難いを再認識した!
ガンの告知を受け、闘病生活を送る患者の臨終真近かな日々の生活を淡々とフィルムに納めたその家族の勇気と、彼らの生き様に感動した。そして、その患者の娘こそがこの映画の監督と言うのにも驚きを憶えた!
人が亡くなると言う事は、誰でも1度は通る事になる人生の大きな節目である。
死んだ後に何処へ行く事になるのかは、本当のところは不明だ。
しかし、この世に生を受けた瞬間からその最後の臨終の日を迎える迄の旅をひたすら命或る者達は黙々と日々続ける事になっているのだけは確かな事である。
何処へ行くかは、解らないのだが、その解らない目的地へと歩み続けるとは、或る意味滑稽と言うか、生きている意味さえ解らなくなっても不思議ではない現象とは言えまいか?鶏と卵では無いが、生きる事が出来るから死ぬ事になるのか、死が約束されているが故に
生が残されているのだろうか?
命ある者にとって自分の生れた瞬間を記憶している人間は少ないので、死を迎えるその瞬間に備えると言う事は、人生の中で最も重要で、意味深いイベントだろう!
それこそ、自分の死をプランニングする事は生きた証を証明する行為であり、死を見つめる事こそは、生きる事、自分の人生、自分の歴史そのものを深く省みることだ。
そして、もの凄くプライベイトな問題でもあるのだが、これを惜しげも無く包み隠さず、家族全員が映画として公開すると言う事を受け入れたと言う、このご遺族の勇気に先ず感謝したい!
この映画を観る事で多くの方々が、自分の就活ならぬ終活についてはっきりと、そしてきっぱりと向き合う事とはどう言う事かを思い知らされる事だろう。
と同時に生きる事に真摯に向き合う事が出来るだろう!
人の一生涯を振り返る事は余りにもドラマ性に満ちて、これを観ているとドキュメントなのか、上手く作られたドラマなのか解らなく成る気さえした。
家族だからこそ言える事、家族だからこそ言えない事が存在するのも事実だ。
定年を迎えてから、亡くなる迄の2年間の変わりゆくその姿は同じ人とは中々信じられないものがあった。人はその死に対して覚悟が出来るのか、覚悟などはしたつもりでも結局は何の意味も役目も果たせないままのものなのだろうか?
就活なら10数年前にリストラを経験し、その後は、転職する機会が増えた自分にとっては、慣れっ子になっているが、平均寿命的に考えれば人生の折り返し地点を経過した私は、そろそろ本気で自己の人生の終活を始めるべき齢を迎えつつある事に気づかされるのだ。
そしてこの映画を観て一人でも大勢の方々が、御家族の方達とより充実した人生を生き直す事が出来る様に只願うのだ!今年最高に泣けました!思わずお孫さんが祝ってくれる誕生日の歌声に合わせて、声を一緒に出してハッピバースディを唄ってしまった!
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