ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン : 映画評論・批評
2012年4月24日更新
2012年4月28日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー
アメリカンおばかコメディのお約束を堪能させてくれる
「ハングオーバー」をはじめとしてバチェラーパーティ絡みの名作(迷作)は多いのに、なかなかお目にかかれないブライズメイドの物語。そもそも新郎と悪友たちが熱い友情で結ばれているバチェラーパーティのどんちゃん騒ぎと違って、全員が初対面のこともあるブライズメイド。しかも女同士とくれば妙な緊張感が全編に溢れていそうで敬遠したくなるのも事実だ。
でも、アカデミー賞2部門候補となれば俄然気になるのが人情。メイド・オブ・オナーを任されたアニーは、仕事もプライベートもお先真っ暗なアラフォー間近な崖っぷち女。助演女優賞候補になったメリッサ・マッカーシーは小柄なのに重量級。集客力は低そうだけど、そこはオスカー候補になった脚本。たがいに花嫁の親友を自負するアニーとセレブ妻ヘレンのあいだにビミョーな意地の張り合いが生まれるものの、初対面同士に緊張が生まれるのは何も女同士に限らない。トラブルは次々起きても、いわゆる“意地悪女”がいないあたりは女性が手がけた脚本ならでは。それでいて、マッカーシーが演じるちょっとアブない武闘派キャラといい、ブライズメイズを襲うお下劣な事件といい、笑撃シーンのかずかずもちりばめながら、最後は愛や友情に胸を熱くさせてくれるというアメリカンおばかコメディのお約束を堪能させてくれるのが最高!
現実に少々お疲れ気味の大人女子なら、アニー同様、彼女を気にかける心優しい警官に、思いがけずときめくというお楽しみもある。せっかくだから、ブライズメイズが次々に結婚してシリーズ化するってことでも、女性版「ハングオーバー」を目指してほしい。
(杉谷伸子)